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ふつうの崩壊
ふつうがくずれさっていく。
日常が変わっていく。
でも何が変わったのかはよく掴めない。
はじめて会う人はマスクをしていて
口元がわからないから、
きっと次に会ったときに思い出せない。
行きたかった国に行けない、ずっと日本にいるのも悪くないかもしれないけど。
シンガポールに行ってしまった姉が帰ってこれない。次に会うのはいつなんだろう。
ふつうがくずれさっていく時に
はじめてふつうってなんだろうと思う。
飛び去るような毎日の中で、
じっと何かを見る機会が抜け落ちていくと
大切な普通がわからなくなっていく。
一つのウイルスが発生した世界の中の、
日本にはいつも通り夏がくる。
けれどその夏には、
楽しみにしていたオリンピックも、
友達といくはずだった花火大会も、
高校最後の甲子園も、
先輩と吹くはずだった吹奏楽コンクールも、
来ることはない
いつもなら、のふつうがない
はじめていつもの夏を知ることができる
ふつうの崩壊と共に
いつものふつうが静かに顔を出す
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