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生命表象学

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細分化された科学領域を、生命とその表現形態から包括する新しい学問のための試論
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スピリチュアルを語るリスク

聖地のフィールドワークや瞑想などを研究実践しているので仕方ないのだが、神秘体験や超自然的について人から尋ねられることが増えてきた。講演でもそうだし、個人的に聞かれることも多く、返答に困ることもある。いつも感じるのだが、スピリチュアルについては伝え方がとても難しい。普段は迂闊に"不思議な現象"については語らないようにしている。 特に聞く準備が整っていない人や、理性的に物事を考えるのが難しい人には語ることを避けるようにしている。だから個別に語りかけるわけではなく文章という形で示

“E”の問題

■■漠然とした不安「このままでは地球は長くは保たないのではないか–」。 この警告はすでに50年も前に発せられていた。1972年に出されたローマクラブの「成長の限界」という研究報告には、地球の許容量に比べて今の文明があまりに多くの課題を抱えていることが既に指摘されていた。それから半世紀近く経ったが、地球が抱える問題は一向に解決しそうにない。20世紀には私たちはまだ解決すべき問題が何かが見えていた。豊かになるためにどの政治経済システムを採択すべきか。核戦争による崩壊のシナリオを

地球の緯度と頭蓋骨

 地球の緯度と頭蓋骨の形状との間にある相関性について考えている。佐野博士は太陽の入射角と頭蓋骨の形状に関係性があり、太陽の入射方向とは直角の方向へ人間の頭蓋骨が延びていく性質があるのではないかとの仮説を立てている。  つまり緯度が高ければ高いほど、太陽は真横から差し込むので、人は顔を横にそむけるため、頭蓋骨が前後に長くなり、鼻が高くなるという白人(コーカソイド)のような形状を生む。そして赤道直下では真上から太陽が射すので頭が平べったくなり鼻が低いという黒人(ネグロイド)のよう

脳と太陽

太陽や光が脳に与える影響についての整理とメモ。 脳の三大神経伝達物質として「ノルアドレナリン」、「ドーパミン」と並んで「セロトニン」がある。 ノルアドレナリン神経は、どれだけ鍛えても強くなることはないという。これは危機管理センターのような役割を果たしており、脳の中に危機があると、脳全体にアラートを出す。しかしそれはアラートを出すだけなので実際に何かを解決することはないという。 セロトニンは幸せホルモンとも言われており、ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑えて、心のバラン

シュタイナー「健康と食事」より

19世紀の哲学者フォイエルバッハは「人間は食べるところのものである」と述べた。 人間が生命活動を維持するためには、「蛋白質」、「炭水化物」、「脂肪」、「塩」の4つが必要である。 ◼︎塩は人間の思考ともっとも深く関係するものであり、塩が脳に達することによって我々はものを考えることができる。 人間は塩を自然の中にあるままに使用することはできない。塩は舌の上で溶けて、胃腸の中に入るが、そのまま胃腸の中に留まって脳まで至らなければ人間は低脳になる。塩は霊的な状態になってから脳に至る

新陳代謝する身体

●細胞の更新について   細胞は私たちの身体を構成する基本単位である。人体の細胞の数は約60兆個と言われているが※1、一方で成人の細胞の数が37兆2000億個という数値が2013年の学術誌に計算結果が掲載された。  一体どれぐらいの細胞が日々生まれては消えていくのだろうか。一説によると、毎日死んでは新しく生まれる細胞の数は、約3000億個であるという※3。また別の説では、全細胞約60兆個の150分の1にあたる約4000億個が死んでいくというものもある※4。  細胞が入れ替わる

5-10まなざしから生命表象学へ

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」10    まなざしの高度を変えていけば、風景は様々なスケールへと変化し、実は無関係と思われていたものが総合的に関係しているということがわかる。風景というのは、自然と人間の両方の表れである。風景とは一部分だけ取り出すことはできず、自然も人も全てが関係付いているで具体的な世界の把握の方法である。  しかし近代文明以降の20世紀は、それを細分化して一つ一つに焦点を当てることを選択した。そのことでまなざしの解像度を上げて詳細に把握し、

5-9まなざしを引くと全てが関係している

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」09    これまで繰り返し風景とは「場所」と「人間」との関係性で生まれるということに触れてきた。この両者の関係性をより理解するために、私たちのまなざしの高さを頭の上よりさらに高く上げていき、風景を縁取る枠をずっと遠くへ引いてみる。そうすると色々なものと複合的に関係している風景が見えてくるだろう。  まず「場所」というものを考えてみる。場所をみているまなざしを上空へずっと引いていくと、私たちが場所と呼んでいるものは全て「地球」の

5-8私たちはどこへ行くのか

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」08   なぜ生命が進化を目指すのかということに、現代科学はまだ答えを出していない。宗教はそれぞれによって様々な解釈を持っているが、その中でも明確な理論を持っているのは仏教ではないかと思う。仏教の世界観というのは現代の素粒子論や分子生物学のように、この世界の一切のものはそこにとどまらずに生成と消滅を繰り返しているという輪廻転生がベースになっている。そしてその根底には「心」が関係していると釈迦は考えていた。  釈迦は生命というも

三元論という補助線

 先日、韓国に居る僕の風水の師匠である金キドク先生に習った三元論は非常に興味深い。彼の三元論は陰と陽と中庸という三元論で世界は成り立っているという補助線を持っている。  宇宙の基本的な単位である「気」は、主に4つの性質を持つ。それは上がる、下がる、広がる、集まるという4つだ。この中で「広がる」という性質が「陽」で、「集まる」という性質が「陰」であるという。こうした原理を理解していると風景へのまなざしが変わってくる。  例えば国民や気候風土の気質にも当てはまる。日本人は元来陰の

遺伝子組み換えの輪郭01

●遺伝子組み換え作物に関する抵抗感   遺伝子組み換え作物に対する抵抗感はいつ頃から私たちの中に生まれて来たのだろうか。私たちの嗜好性や嫌悪感といった感情的な部分は、生理的なものだけではなく心理的な要素から来ていることが多分にある。遺伝子組み換えという概念がなかったころは、嫌悪感など生まれなかっただろう。社会的表象が生まれたときに、それに対する是非の概念も誕生する。それが引き金となり我々の感情的な部分を支配するようになることもまた避けられないことではある。  こと遺伝子組み換

拙作インスタレーション「地球の告白」について

■半世紀の地球  2018年の幕開け。ユーラシア大陸の最西端に位置するポルトガルのロカ岬に僕は佇んでいた。海へ沈んでいく夕日を見ながら、遠く離れた地へきた自分と地球のつながりを意識する。この2018年から2020年にかけて、この世界は大きな節目を迎えるだろう。そしてそんな中で自分が身を捧げるのは特定の国の特定の価値観ではないのだろう。そんなことを個人的に考えていたが、そこでの予感が思わぬ形で結実することになろうとは、その時は想像もしていなかった。  2018年から遡ること

永遠へのまなざし

 中世から近代へと移り変わりの中で提出された問い___。つまり「世界は善なるものか、それとも悪なるものか」という問いを進めると次に何が立ち現れるのか。世界が善なるものであれば問題なし。しかし悪なるものであれば、そこには「救い」が必要になる。  その救いとは、神の絶対的秩序が地上へ実現することであり、「永遠なるもの」を手に入れるということである。この世界が永遠の秩序を獲得したのであれば、それは悪からの救済を意味する。近世西欧の神秘思想ではそのように解釈したのではなかったのだろう

近代でのまなざしの大転換

 ヨーロッパが中世から近代を迎えようとする頃、人々が世界に向けるまなざし、つまり世界観に大きな転換点が訪れた。最も大きな衝撃を与えたのは16世紀にコペルニクスの唱えた地動説であったのは言うまでもない。しかし、世界にとってより切実な問題であったのは、創造主である神はこの世を善なるものとして生み落としたのか、それとも悪なるものとして生み落としたのかという問いであった。   この世が善なるものであれば問題はない。しかし悪なるものであるとすれば、創造主の意図は一体どういうものなのか。