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シュタイナー「健康と食事」より

19世紀の哲学者フォイエルバッハは「人間は食べるところのものである」と述べた。
人間が生命活動を維持するためには、「蛋白質」、「炭水化物」、「脂肪」、「塩」の4つが必要である。

◼︎塩は人間の思考ともっとも深く関係するものであり、塩が脳に達することによって我々はものを考えることができる。
人間は塩を自然の中にあるままに使用することはできない。塩は舌の上で溶けて、胃腸の中に入るが、そのまま胃腸の中に留まって脳まで至らなければ人間は低脳になる。塩は霊的な状態になってから脳に至るとシュタイナーは考えている。
塩は特に前脳に働きかけ堆積する。
前脳は

◼︎炭水化物はエンドウ豆やインゲン豆、小麦、ジャガイモなどに含まれているが、これら炭水化物のおかげで我々は人間の形姿を保っている。つまり炭水化物は人間の外姿を形成する働きを持つ。
炭水化物は植物の実から得られる。実は胃腸のなかで消化され、ただ力だけを頭に送る。消化されて脳に至ったときにはすでに精妙なものになっているが、ジャガイモのような塊茎のものは脳のなかではじめて消化されるため、頭は消化のためにエネルギーを使いものを考えることができなくなる。
炭水化物が胃腸に堆積して脳まで至らなければ人間は衰弱する。
炭水化物は後脳に働きかける。炭水化物をわずかしか消化できない人は後脳にまで至らず、声がかすれ明瞭に話しことができなくなる。
炭水化物は言語に関するものに働きかける。

◼︎脂肪は炭水化物が形成した人間の形姿に対して内実を与えるものである。脂肪は肉体の中に堆積していくが、それがいきいきとしたものにとどまるためにはエーテル体が重要な働きをする。
またアストラル体がエーテル体の中で活動するとき、脂肪は消化され、脂肪によって体中に油がさされる。
起きている間は脂肪は油をさす役割を果たすが、我々が眠ってアストラル体が外にあるとき、脂肪は消化されず堆積していく。
脂肪が正常に蓄積されない人は病気になる。脂肪が不足している人は、体内に実質を有さないので精神的になる。そうなると妄想が生じる。また脂肪の摂取量が少なすぎると、肺病、結核になる。
脂肪は直接体のなかに行くのではなく、血液を通って頭の後方に行き、頭から全身へ分散していく。

◼︎蛋白質は人間でも動物でも生まれる前の卵の状態で有していて、根源的で基盤となるものである。母体内では蛋白質の小さな塊から生命が出発する。蛋白質から他のすべてが身体のなかで形成される。
食事にはいつも蛋白質が含まれていないとならず、蛋白質の摂取量が少なすぎたり、正しく消化できないと消耗し死んでしまう。



シュタイナーは人間を肉体(物質界)だけの存在としては捉えておらず、より高次の部分を持っているとしていた。
彼によると、人間は「肉体(物質体)」、「エーテル体(生命体)」、「アストラル体(感受体)」、「自我」の4つから成るとしている。
この4つの中で可視的なのは肉体のみで、残りの3つに関しては不可視であるとしている。

◼エーテル体とは肉体の基盤になる生命体のことで、それは肉体の崩壊に対して戦っている。このエーテル体がなければ肉体は栄養摂取、生殖などの生きることを可能にする部分を有しなかったという。
エーテル体は主に植物と共有する部分であり、肉体でいうと腺などの栄養摂取や生殖に使える器官はすべてエーテル体から出来ているという。
植物は物質体とエーテル体の二つの部分から成り立っており、アストラル体を持っていない。
植物は人間が吐き出す炭素を受け入れて、自らの器官を形成し酸素を放出するが、それには太陽の光が必要で、それはエーテル体によって行われる。
エーテル体は肉体を構築するが、それをアストラル体が妨げている。

◼︎アストラル体とは、快と苦、欲望、衝動、情熱といった心の営みすべての担い手で、人間は動物とアストラル体を共有している。
アストラル体は肉体でいうと神経組織を作っている。
太陽光線と人間のアストラル体は対峙するものであり、太陽の外的な光に対してアストラル体は内的な光である。
この内的な光は人体に部分的な破壊をもたらすが、そのことによって人間は意識を有することができ、植物よりも高次の存在になることができる。
人間は自分の中に太陽の光が構築した植物を取り込むが、それをアストラル体は常に破壊する。それによって人間には神経組織が組み込まれ、人間の生は意識的なものになる。
アストラル体によって引き起こされた破壊は自我に引き継がれる。

◼︎自我はすなわち自己意識のことで、この自我があるからこそ人間は地上の事物すべてを凌駕しているとシュタイナーは述べている。
自我は血液循環を司っており、血液の活動は自我と関係している。
アルコールは自我と血液に直接影響を及ぼす。

◼︎植物は、「根」、「茎」、「葉」、「花」から成り立っている。根は下にあって、土壌に似ており、多くの塩分を含んでいる。花は上にあり、暖かい空気に似ている。花は、油と脂肪を含んでいる。つまり植物は下部に塩分をを有し、上部に油を有していると言える。
それが人体に取り込まれると逆転する。
根を食べれば、根の塩分は脳に至り、脳を刺激する。逆に花を食べれば、胃腸や下腹部に作用する。
ジャガイモのような根ではなく塊茎は、完全に頭には至らずに舌と喉に作用する。



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