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三元論という補助線

 先日、韓国に居る僕の風水の師匠である金キドク先生に習った三元論は非常に興味深い。彼の三元論は陰と陽と中庸という三元論で世界は成り立っているという補助線を持っている。
 宇宙の基本的な単位である「気」は、主に4つの性質を持つ。それは上がる、下がる、広がる、集まるという4つだ。この中で「広がる」という性質が「陽」で、「集まる」という性質が「陰」であるという。こうした原理を理解していると風景へのまなざしが変わってくる。
 例えば国民や気候風土の気質にも当てはまる。日本人は元来陰の気質を持っている。菜食を好み、口数少なく、手先が器用で、感情を表に発散せず、外に表現することよりも内を充実させることを好む。陰は変化を嫌うという「homo」の気質である。
 その反対として韓国人は陽の気質があるのではないか。肉食で、よく喋り、喜怒哀楽を表に出し、外に向かって自分をアピールする。陽は変化を好むという「hetero」の気質である。
 もちろんこれは全体論の話で、個別に見るとその気質はバラバラであることは言うまでもない。ただ個別の性質だけを取り上げると、全体で帯びる性質が見えなくなることがある。
個別の集合が必ずしも全体とは限らず、その個別が成立するための場というのがまずはあるのではないか。気が集まりやすく変化のあまり無いような陰の場、気が散じやすく変化の多い陽の場が最初にあり、その場の影響を人も物も動植物も受ける。
 そうした陰陽の性質がなぜ生まれるのかというのは分からないが、そうしたものがあるということだけは分かる。陰の中にも陽があり、陽の中にも陰があり、そしてそれらの変曲ポイントとして中庸の場がある。これが一番重要な場だ。ここを突いて活性化することで、その場の調和が取れる。
 風水ではその中庸のポイントをいかに探しあてるかが重要で、古来からうまく機能している都市や世界遺産などは全てこの中庸の場所にある。鍼灸でも中庸のポイントがツボや経絡と呼ばれる位置であり、そこを突いて活性化することで、身体のバランスを取っていくという。
 物語の構造でも同じ三元論で読み解くことが出来る。変化を好む性格の登場人物、変化を嫌う性格の登場人物。そして中庸を取り持つ登場人物。この前の二者あるいは三者によって物語は進んでいく。
 天と地も同じであり、天が気が散じる陽、地が気が集まる陰である。そしてその中庸にいるのが人である。人はその変化と変化しないものを取り持つ役割があり、それが出来る人がシャーマンとなる。

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