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WebメディアやSNSを更新したい(知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ライフハック)~ 総務からはじめる、障害者雇用ノウハウ ~

はじめに(チームより)

「こどもたちのために、日本を変える。」事業開発、政策提言、文化創造の3つの軸で、こども・子育て領域の社会課題解決活動と価値創造を行う国内最大規模のNPOである「認定NPO法人フローレンス(詳しいご紹介はこちら>>)」において、総務関連チームで障害者雇用スタッフのサポートを担当しているジョブコーチ*1の和田です。自己紹介はこちら>>

知的障害・発達障害のある社員が持つ悩みに対して、本人やサポーターが今日から取り入れられる「ちょっとした、お仕事ライフハック」をご紹介しています。

フローレンスの障害者雇用についての視察や講演などの問い合わせは、 https://florence.or.jp/contact/ の取材・広報申込みフォームよりご連絡ください。


▼本日のお悩み
「社外に公開するWebメディアやSNSがあり、障害のある社員に更新作業をお願いしたいです。どのような仕組みにしたら良いですか?」

ライフハック①細かくマニュアル化する

多くの企業では複数のWebメディアやSNSの運用で、広報部などの運用負荷が高まっているのではないでしょうか。フローレンスでも複数のメディアを使い情報発信を公開していますが、原稿作成後にツールへ原稿を入れ込み、読み手が読みやすいように調整する工数が取られることに困り感があるようでした。決まったツールへの登録は障害者雇用チームの得意分野。「Webメディアの更新業務」を請け負うことにしました。

作業内容としては、noteなどメディアの管理ツールから、新規記事として用意された原稿をコピー&ペーストしてWebサイトを更新するソフトウェアに登録する(下書きに登録する)ところまでです。

最初に、ツールの使い方マニュアルを作成します。障害者雇用チームでは、note、WordPress、LinkedIn、Wantedlyと多くのメディアの更新作業をしていますが、似たようなツールでもそれぞれ使い方が異なります。また、ツールは仕様が変わることがよくあるので、こまめにマニュアルは更新しましょう。

次に、コピー&ペーストした原稿を調整します。例えば「メイン画像の下は1行空ける」「見出しはヘッダー1にする」などこれまでは広報部の担当者が「読み手の見やすさ」のために自然にやっていたことを棚卸しし、ステップを細部化してマニュアル化することで、誰が作業しても統一した見た目の記事になります。

最後はプレビューで下書きした記事の最終確認をする作業です。「改行など調整したものが反映されているか」「原稿と記事を左右に並べて、入ってないものがないか」などをチェックします。依頼元のスタッフが労力を使わないように、公開するだけの状態にしておくことが大切です。

ライフハック②本番公開は行わない

Webメディアの更新で気をつけたいのが、クリックひとつで公開して世界に情報発信が出来てしまうことです。障害者雇用のスタッフが対応するかどうかに関わらずですが、基本的に下書き登録をする人と、公開する人は別にするなど、リスク回避することをおすすめします。ツールによっては、下書き、公開までなど作業者によって作業範囲を制限することも出来ますので利用しましょう。

他にも「パスワードを定期的に変更する」「作業後はログアウトを必ず行う」など、基本的なルールの共有も必要です。

ライフハック③付随して出来そうな作業もたくさんあります

WebメディアやSNSの運用は多くのデータを扱うため、更新作業の他にも障害のあるスタッフが行える仕事が多くあります。フローレンスではまだ取り組めていないのですが、いずれは以下のような業務にもチャレンジしていきたいと考えています。

・Googleアナリティクスなどアクセス解析ツールを使って、定常的な数値を更新する
・SNSの分析ツールを使って、投稿毎のエンゲージメント率やシェア数等を更新する
・同業他社のWebメディアやSNSの投稿頻度や、検索エンジンの掲載順位を調べる

上記の業務は、決められた業務をコツコツ行うことが得意な障害のあるスタッフには親和性が高く、障害者雇用スタッフの活躍の場が益々増えるのではと期待しています。

また、専門性が高められそうな障害のある社員であれば、デザインフォーマットを用意することで、簡単なバナーやWebページを作成することも可能です。

最後に

メディア運用やSNS発信は、現代の企業には欠かせない情報発信・ブランディング施策です。前職はIT企業にいたのですが、障害のある多くの社員がWebメディアの更新作業や、プログラミングでWebサイトを制作したり、デザインソフトを使ってWebデザインを行っていました。障害のある社員にはマニュアル通りにコツコツ行うタイプも多いですし、メディア運用の作業は親和性が高い業務です。ぜひ、挑戦してみてはいかがでしょうか。

*1「ジョブコーチ」 企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう様々な支援を行う人を、企業在籍型ジョブコーチといいます。

執筆の背景

障害者雇用関連の情報は、採用・育成の事例やノウハウばかりで、採用した障害者雇用の社員に「どのような業務を、どうやってもらうのか」のノウハウが足りていません。

そこで、実務ノウハウや、障害者雇用チームの立ち上げ経緯などを公開することで、障害のある社員自身や総務担当者が、はじめの一歩を踏み出せるシリーズを立ち上げました

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