スケジュールが守れません(知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ライフハック)
はじめに(チームより)
フローレンスは、親子を取り巻く社会課題の解決を目指しているNPOで、現在、約700名が所属しています。多様なメンバーの「働く」を支えているのがバックオフィス業務を主に担っている働き方革命事業部、通称「ハタカク」です。
ハタカクは人事、経理、法務、総務、といった業務で構成されていて、障害者雇用チームも含まれています。フローレンスの事業を裏で支えるハタカクメンバーの業務や仕事への思いをnoteに投稿しています。
認定NPO法人フローレンスの総務関連チームで障害者雇用のスタッフのサポートを担当しているジョブコーチ*1の和田です。自己紹介はこちら>>
本日から知的障害・発達障害のある社員が持つ悩みに対して、本人やサポーターが今日から取り入れられる「ちょっとした、お仕事ライフハック」をご紹介していきます。記事執筆の背景>>
▼本日のお悩み
「やることを忘れてしまうし、スケジュールが守れません」
ライフハック①自分を信じない
打刻⇒名札⇒CW⇒ワイズ⇒棚⇒新規⇒日報⇒OP予定⇒名刺
上記は、私が「朝出社してすぐに行うこと」をスケジュール管理ツールに登録したものです。私はやることを忘れるので「やること、ぜーんぶ」を登録します。
出社したら「打刻をして⇒名札をつけ⇒ChatWorkで勤怠報告をして⇒メールワイズで担当のメールが無いかチェックをして⇒本日締め切りの依頼がないか棚をチェックし⇒新規依頼がないかチェックして⇒チームメンバーの日報と予定を確認して⇒名刺フォルダにデータがあるか確認する」までが、私が毎朝必ずやらなければいけない仕事です。
「名札をつけることを忘れるの?」と思いますか?はい。忘れます。自分の記憶力を信じていません(自信満々)。そして知的障害や発達障害のある社員も忘れやすいことがあります(逆に覚えるのが得意な社員もいます)。
さらに工夫してみよう!ブラウザに予定のタブを設定しましょう
これは、私が使っているブラウザを立ち上げた時に自動的に表示されるタブです。「打刻をするためのツール(kinnosuke)、勤怠報告をするためのchatwork……」など、やること順にタブが表示されるように設定しています。この順番に進めていけば、多少眠くても業務が進みます。
参考:Chromeでホームページと起動ページを設定する
打刻忘れが多かった障害者雇用の社員にこのスケジュール登録とブラウザ設定を教えたところ、打刻漏れが減少しました。ぜひ、お試しください。
ライフハック②人の手を借りる
1日6分(朝夕3分)の確認が、あなたとチームを守る
さてさて、「ぜーんぶをスケジュールに登録する」ことで、スケジュールの漏れが1つも無くなるでしょうか。正解は……残念ながら無くなりません。「出社してすぐに誰かに話しかけられて、スケジュールを見ること自体を忘れる」ことが私はあります(ここだけの話、週に1度ぐらいあるので、出社して30分たって慌ててやることもあります)
ツールも自分も頼りにならない場合は、人を頼りましょう。仕事はじめと終わりの3分だけスケジュールを見ながら「今日やったこと」「明日やること」の読み上げを誰かとすることで、スケジュールの漏れに気がつき、リカバリーすることが可能です。
ライフハック③アナログに回帰する
「100均で300円で作れる!見える化ボード」を作成しよう
最近はオンラインツールでスケジュール管理をしている職場が多いですね。オンラインツールは誰でもドコでも予定の共有が可能で、とても良いツールではあります……が、ネットにアクセスしてスケジュールを見ることを忘れてしまうことがあります。
そこで、オンラインツールでスケジュール管理をしつつも、「今日行う業務」については、ボードに書いて見落としが無いようにする「見える化ボード」を作成すると良いです。
写真は、ある障害者雇用社員の見える化ボードです。マグネットシートにテプラでルーチン作業名を貼り、1日の作業予定順に並べて、終わったものに「済」と書くことで、作業漏れが無くなりました。重要な作業には「◎」を貼り、イレギュラーな作業が追加されたら、書いておくこともできます。ボードもマグネットも100均で売っていますので、300円ぐらいで見える化が出来ます。
キッチンタイマーやスマホのアラーム機能も使いましょう
それでも重要なことを忘れてしまいがちな私は、絶対に忘れたくないタスクは、予定時間にスマホのアラームを設定しています。
最後に
このような対策をした上で、障害のある社員が時々スケジュールを忘れても「なぜ忘れたのか」を強く追及しないでほしいです。例えば、健常の私はスケジュールを忘れても、誰かに言われる前になんとなく自分で気が付きリカバリー出来ますが、障害のある社員は上手く自分でリカバリー出来ないことが多く、必要以上に追及されてしまうことがあり、自信を無くしてしまう原因となります。
障害のある無しに関わらず、時々スケジュールを忘れてしまうことはあっても、それを受け入れ、フォローが出来る心の余裕のあるチームが働きやすいチームなのだと感じます。
*1「ジョブコーチ」 企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう様々な支援を行う人を、企業在籍型ジョブコーチといいます。
執筆の背景
障害者雇用関連の情報は、採用・育成の事例やノウハウばかりで、採用した障害者雇用の社員に「どのような業務を、どうやってもらうのか」のノウハウが足りていません。
そこで、実務ノウハウや、障害者雇用チームの立ち上げ経緯などを公開することで、障害のある社員自身や総務担当者が、はじめの一歩を踏み出せるシリーズを立ち上げました
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ここまでお読みくださりありがとうございます。一つだけお願いをさせてください。
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