東京、午前３時

ー どこに向かってるの？ ー

午前３時、赤坂から上野に向かって歩いている。

もう？いや、まだ電車は動いていない。

こんな時間に仕事が終わるのもよくある事だ。

国会議事堂や東京ドームも通り過ぎた。

今、ここはどこで、何という交差点なんだろう。

ー どこに向かってるの？ ー

東京は深夜でもそれなりに明るい。

だけど、都心のオフィス街は深夜になると、まるで誰も住んでいないかのように、人が居なくなる。

寂しいが、不思議な優越感がある。

何だか街を独り占めしているようだ。

ー どこに向かってるの？ ー

なんとなくの方向感覚だけを頼りにひたすら歩く。

あー、僕はそんな生き方をしてきた。

なんとなくの方向感覚だけで、あとは流れに任せてひたすら歩いてきた。

このまま流れに任せて、どこへ辿り着くというのだろう。

あの頃、萌芽した何かが花を咲かす事はなかったのに。

東京の街灯が僕の歩く道を明るく照らしてくれる。

僕がどこに向かうかも知らずに。