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12月8日(金):「孤独」や「居場所」について、ローカルなフィットネスクラブからの模索⑤

この数日間は「『孤独』や『居場所』について、ローカルなフィットネスクラブからの模索」と題したことを記しています。

こちらはWHOが「孤独を差し迫った健康上の脅威」と位置づけたことに端を発したものですが、孤独のケアには物理的距離や心理的距離といった「一定の近さ」が必要になるから、ローカルでの取り組みが不可欠です。

そしてローカルな問題、ローカルな取り組みとして自分たちに引き寄せて考えていくことで、地域や自分の居場所からできそうなことが見えてくる面もあって、私たちはスクール制の小型フィットネスクラブを運営する民間企業としての模索になります。

一昨日は居場所の定義でもある「他者との関係性の有無」の観点から「お客様とトレーナーとの関係性」に触れ、昨日はフィットネスクラブ内でのもうひとつの他者との関係性、「お客様同士の関係性」について話をしました。

コミュニティは複数のお客様が介在する複雑系のなかでの創発現象なので、それ自体をデザインしたり、クラブ側がコントロールすることはできませんが、関係性の土台になるコミュニケーションが生じやすいように環境設定をすることは可能です。

そして最初の入口になるのはクラブの規模感である点を説明し、規模が周囲の人とのコミュニケーションや個人の振る舞いに提供を与え、それを一定程度規定する要因になります。

昨日は自社のスクール制小型クラブも例に挙げましたが、「互いの顔が見える状態」にしていくことは、お客様同士の関係性が生じやすい環境づくりの一例です。

本日はこの続きになりますが、互いに顔の見える状態にするのはベースとなる制度設計ですが、それに加えてお客様同士が場を共にする機会を創出していくことが肝要だと思っています。

例えばクラブ内で実施をするイベントやサークル的な活動がそれにあたります。

日常のレッスンはあくまでも身体を動かす運動が中心になるので、コミュニケーションはそれに付随したものか、レッスンの前後の短い時間に交わされるものが大半です。

これに対して前述したイベントやサークルは運動の括りを離れて、純粋に楽しむための場として設けられた時間で、こうした時間のほうが純粋にお客様同士のコミュニケーションや関係づくりに寄与します。

具体的には周年月でのパーティーやお花見、クラブ外に出てのハイキングやボーリングといったものもあれば、料理教室や美術鑑賞など、これまでに実施をしてきたイベントは多岐にわたります。

こうやって「場を設けること」で新たなお客様同士の関係が生まれ、さらに「回数を重ねること」で、その結びつきが多方面に広がっていきます。

加えて大事だと思うポイントは一から十までクラブ側がイベントを事細かに決めてサービスを提供するのではなく、余白を残しておくことです。

そして、その余白に対してお客様に関与をしてもらうこと、そこに参画をしてもらい、一緒に共創をしていくことは大きな意味を持ちます。

「一緒になって何かをする」ことで相互理解が深まる面はあるし、関与をしてもらうことで「自分事」として捉えてもらうことができます。

このようにクラブ(コミュニティ)を「自分事」として捉えてもらうことは、居場所の定義である「空間性の有無」ともつながってくるからです。

ここでいう空間性の有無とは、ある人にとっての居場所が物理的空間をもつかどうかとの軸です。

学校や職場、自宅のような物理的空間をもつものもあれば、SNSなどのオンライン空間でのつながり、電話やメールを通じた相手とのやり取りのなかに居場所を感じることもあります。

また、こちらは同一の相手と物理的空間をともにするか否かの観点もあり、先のように他者と同じ場(クラブ・コミュニティ)をともにして自分事として捉えられるようになれば、そこを居場所と感じる主観的な承認にも至るものだと感じます。

だからこそ「互いの顔が見える状態」をつくりつつ、積極的に場を創出して、そこに関与をしてもらうようなアプローチはお客様同士の関係づくり、コミュニティ形成にとっての大事なポイントです。

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