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7月8日(土):J2水戸のブランディングとユニークな発想

本日は週末なのでサッカーに関連した肩の力を抜いた話を少しばかり。

日経産業新聞のコラム「名将にみるマネジメント術」では、先般に取り上げられていたのがサッカーJリーグの水戸ホーリーホックでGMをしている西村拓朗さんの内容でした。

水戸ホーリーホックは親会社を持たない市民クラブなので常に台所事情としては難しい面が伴うわけですが、そのなかでも明確なコンセプトでクラブをブランディング化してきた点は見事だなと思いました。

同氏が掲げてきたのは「人を育てる」クラブとしての位置づけで、昨今は年代別の日本代表選手が水戸を選んでくれるようになった点は、それが浸透してきたことの裏付けでしょうね。

水戸では選手個々にミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を作らせているといい、シーズン序盤にはキャリアコーチとの面談を複数回設けて、社会に貢献する目的、未来にありたい姿、行動指針までを言語化してもらうのだそうです。

そこまでの問いを立てれば、どうしたって自分の内面と向き合うことにはなるでしょうから、サッカーのスキル云々だけではなく人間的な成長を大事にして選手と向き合っているのがわかります。

実際に同クラブでは人間的な成長の場としての研修を年に20~30回ほど設けており、そこではクラブ内の他部署のスタッフに話をしてもらい、試合の勝敗が他部署にどんな影響を与えるのかを知ってもらったり、異業種の経営者の方に講師をしてもらったり、とその内容は様々です。

「上手い選手を育てる」のではなく、本当に「『人』を育てる」ための一貫した取り組みだなと感心します。

この研修に関連して非常にユニークだと思ったのは、市民クラブゆえに資金的な難しさがあるなかで、逆転の発想によるアプローチです。

通常はお願いする講師に対して講師料を支払うものですが、同氏が考えたのは「講師に登壇権を販売する」というやり方です。

1年目に手弁当でスタートした研修を通じて、経営者が自分の価値観や使命感を話す場が意外に少ないことに気づき、これを経営者自身のPR用に映像にしたら喜ばれると思って形にしたところ、数百万円の収益になったといいます。

それによって費用の面と研修の機会の両面を並び立たせることができ、隠れたニーズを見つけ出したマーケティング発想が見事です。

「費用がないから難しい」と思考停止せず、そこをスタートラインにして何とかできる形を模索しつづける姿勢を見習いたいと思います。

今回の水戸にしてもそうですが、Jリーグの市民クラブのアプローチは中小企業にとって参考になる点が非常に多いので、これからも良き題材として学び続けていきます。

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