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事業の創り方 ー戸建DIYの失敗から学んだ3つの教訓

Aquacraftの起業は実はすべてが初めて、というわけではない。一部ではあるけど、起業のプロセスの中には何度もすでに経験してきた領域が含まれていたりする。恥をさらすようで恥ずかしい話だが、ここまでまあいろんな失敗を重ねてきた。今回は最初に挑戦した戸建の不動産投資の話。

埼玉県に木造戸建を購入!

不動産が好きで、26歳のときに埼玉県のド田舎の築38年のボロボロの木造戸建を買ってみた。これをYoutubeで動画をみながら1年半かけて1軒丸ごとDIYでフルリフォームした。

壁壊した!の図

劇的Before・After

4Kの間取りに競争力がないと思ったので、壁を壊して3LDKの家屋に改築することから始めた。おかげで昭和的間取りから解放された。

広いLDKが誕生

トイレも全部DIYで刷新。壁紙を新しく張り替え、クッションフロアを張って、便器を交換した。棚を造作し、タオル掛けとトイレットペーパー置き場を造作した。水道管もいじくりまくったので、だいたいの水回りのトラブルは自分で解決できるようになった

トイレは便器・壁紙・床を全部自分で直した

トラブル&想定外工事で計画遅延・出費増

と、ここまでは一見普通。ただこの過程で何度も心が折れた。計画していた工事も初めてのことばかりで勝手がわからないし、スケジュールは大幅遅延。計画外の工事も後から後から乗ってくる。往復4時間の移動時間。1年半泣きそうになりがら毎週通い続けた。

水道管、大爆発

水道管、爆発。

上の写真は水道の元栓の蓋を開けたときの図。築30年以上でしばらく空き家だった家屋の水道管をいきなり酷使したものだから、水道管が爆発した。本来水を止めるはずの元栓が壊れたことで、水が止まらなくなり、速攻工事になった。

計画外の水道管敷設工事

日本の木造家屋は水回りから傷む。元栓が壊れて恐怖に苛まれ、これは他の水道管もダメだろうなと悟って、古い銅管(古くなると錆びがでやすい)を埋め殺して、ポリエチレンの水道管を新しく敷設することにした。ただこれはもともとの計画になかった工事。

さらば30年前の水道管
青が水、ピンクがお湯。2重構造になっていて内側と外側で別々になっているので、もし漏水しても内側のポリエチレン管だけをサッと交換できる。耐用年数も長い。

今どき20Aだと…!?そんなの聞いてない!

他にもブレーカー工事もしているが、これも計画外の工事だった。これはエアコンを入れようと思ったときに物理的に入れられなかったから。

配電盤を覗いてみると配電できる数が少なく、1階の家電製品がすべて1回路に集約されていた。エアコンは消費電力が多いので、通常1回路占有で使用する。この構造を当時の配電本数では実現できそうになかった。

ただ配電本数を変えるとブレーカーの交換だけでは済まない。家に引き込む電力そのものを大きくしないといけない(正確には電圧は一定なので、電流量を増やす)。当時の契約アンペア数は20A。昔の電力利用レベル想定だと適切だったのかもしれないが、現代の生活水準から考えると低すぎる。今は1人~2人住まいで、電力の使用量が少ない家庭でも30Aが目安。 家族が増えて電化製品を多く利用する家庭なら40A~60Aが目安。

結局電力会社に申請をし、引き込む電気回路から変える工事をした。

壁壊したのはいいけど、これ直せるの?

4Kから3LDKへの間取り変更。これ自体はできた。ただ壁を取っ払ったことで壁と天井に巨大な穴があいてしまった。

右の壁はボロボロ。天井も左の壁も構造材が露出。

さすがにこのままだと不格好なので、それっぽく壁を作らないといけない。さんざん悩んだ挙句、ホームセンターに行ってベニヤ板と石膏ボードを買ってきて補修した。ただサイズを測ったり、材料を買い出ししたりで、ほぼ丸2日くらいこの作業だけ終わってしまった。

板を嵌めて、パテで隠し壁っぽくした。天井は塗装まで終わってる。

産業廃棄物放置プレイ

DIYが進むうちに問題になったのが産業廃棄物。交換前の便器は産業廃棄物。ボロボロになった洗面化粧台ももちろん産業廃棄物。はがした壁紙も石膏ボードも全部産業廃棄物。普通には捨てられない。

ゴミ屋敷かな?

庭にとりあえず放置したが、次第に物がたまってくるとさすがに見るに堪えない。結局電気工事をしてもらったとき(電気工事は資格がないとできないのでココだけ委託した)業者の人に泣きついて回収してもらった。

害虫&雑草と死闘

6月には蜂が巣を作った。夏はムカデ、ゴキブリが遊びに来た。虫がものすごく苦手なのに、そのたびにひとりで震えながら格闘した。夏は雑草も生え放題。片道2時間運転して雑草抜いて帰るみたいな日もあった。DIY中に雑草と害虫との闘いを強いられることになるとは想像していなかった。

修繕費かさみ、キャッシュアウト

木造家屋の構造がわかったのはよかったし、DIYの知識がついたのはよかった。ただ購入時に計画になかったところまで直していったことで、修繕費が数百万単位で上振れし、キャッシュが尽きかけた。

立地条件が悪く、賃貸人見つからず

1年半かけて修繕をしたあとも試練だった。立地が悪かったため、賃貸人が1年近く見つからず、毎週不動産屋さんに会いに行って頭を下げ続けた。草抜きのためだけに往復4時間毎週運転して通い続けた。マイソク(営業資料)も手作りして印刷会社で刷った。しかし入居したい人はなかなか見つからなかった。

原因として一番大きいのは立地の悪さ。交通の便がものすごく悪く、近隣にスーパーもない。川を渡って隣町に行かないと必要なものがそろわない。そのエリアで不動産を探す人がそもそも少なかった。隣り町の不動産屋さんにも頭を下げたが、営業エリア外で営業しづらいと言われてしまった。

隣り町の駅前に大きなタワーマンションが新築で建って、そこの家賃帯が安かったという外的な環境要因も苦戦の背景にはあった。

値付け戦略も大失敗

さらに値付けも間違えた。

当初マイソクに載せていた家賃は7.8万。一方で近隣の戸建賃貸は「安かろう悪かろう」なものが多く、平均家賃は4~5万前後。「ボロボロだけど我慢してね。家賃は激安だよ」みたいな物件が多かった。

なのに、大量にキャッシュをつぎ込んで修繕しちゃったものだから、他の物件と同等の家賃では投資回収がままならない。それで家賃を周りからはだいぶ引き上げた。

ただ需要がないところで差別化してもそもそも探す人がいない。ターゲットにしているような人は隣り町の駅前の新築タワマンを買ったり、戸建を新築したりする人が多いようだった。どれだけアピールしても、どれだけブランディングしてもターゲットになるような人の目にはとまりようがなかった。

結局、1年後に河川工事をする会社に賃貸することがなんとかできたのだけど、そのときの家賃は5.8万だった。2万円も値下げしている。

教訓として何を学ぶか

体力的にも精神的にもかなり追い込まれた1棟目戸建投資。教訓は以下の3つだと思っていて、この教訓はAquacraftの事業でも活かしたいと思っている。

1)事業を始める時点で「勝てる」土俵を選ぶ
立地の悪い不動産、修繕箇所が多すぎて修繕費がかさむ不動産を選んだ時点で負けが確定していた。構造的に勝てない場所で戦っても勝てない。

2)初期投資はできるだけ小さく
初期コストが大きくなると、それだけリスクが大きくなる。投資回収のために取れる選択肢の数も自ら狭めてしまう。最初は小さく始める。

3)キャッシュフローを大事に
売上0と1には天地の開きがある。キャッシュが尽きると何もできなくなる。精神的にも削られる。早く売上を立てる。できるだけ回収タイミングを前倒す。確実にキャッシュが入るように仕組みを作る。

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