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生物の解説初めました

noteで、寄生虫をはじめ無脊椎動物話を初めて2年ほど経つのですが、いつも気になっていた事があります。それは、私の話が生物(いわゆる高校で習う内容)の知識が前提になっていて、理解できない、もしくは面白さが伝えきれていないのではないかと言う事です。かと言って、丁寧に説明するととてつもない文字数になって、途中で飽きてしまうのではないでしょうか。だったら、高校で習う生物の視点から寄生虫や無脊椎動物の話をするのも良いのではないかと思ったしだいです。考えてみれば、人生の半分くらいは大学受験に関わってきたので、高校の定期試験や大学受験に使えそうなネタなんかも入れて、少しは人のためになる事も書いてみようと思います。けど、メインは寄生虫を理解するためなので悪しからず。

最初に習う事

高校の生物で最初に習うことといえば、「細胞」ではないでしょうか?中学理科の生物の分野では、身の回りの生き物のグループ分けから始まるのですが、高校では顕微鏡がないと見えない細胞から始まります。これは、細胞が生物の最小単位だからです。最小単位とはどう言うことでしょうか?まずは、理解するために、私たちの体をつくる器官を働き別に分けてみましょう。体を動かす筋肉や血液を全身に届ける心臓や血管、食べ物を分解・吸収する胃や腸などに分けられます。さらに、胃であれば食べ物を食道から十二指腸に移動させる筋肉の組織や消化液を作る組織が集まってできています。そして、その組織は細胞が集まってできています。

生物の体(個体)→器官→組織→細胞

細胞を分けようとすると、細胞をつくる分子となってしまいます。つまり、生物は細胞が集まってできていて、細胞の働きによって生物は生きています。高校の生物では、生物の体の中で起こっている現象や生物の進化を、細胞がどのように働いているかという、細胞を基準に説明します。これが、「細胞が生物の最小単位」という意味であり、生物学の基本でもあります。

筋肉の細胞を撮影したもの。筋肉特有の縞々があるのわかりますか?

最初に覚える事

高校で細胞から勉強を始めるのも、先述したように、生物がひきおこす現象は細胞を基準に説明するためです。そんな細胞の重要さを知らずとも、高校で最初に習う事なので、細胞の中の構造物である細胞小器官は高校を卒業してからも覚えている人は多いのではないでしょうか?とりあえず、細胞小器官をリストアップすると以下のようになります。


ミトコンドリア
葉緑体
リボソーム
小胞体(粗面・滑面)
ゴルジ体
サイトゾル(細胞質基質)
リソソーム
中心体
液胞
細胞膜
細胞壁

正直、これを特徴や働きと一緒に全部覚えるのはしんどいです。資料集にはより詳細に書かれています。試験前になると学生からは「どこまで覚えるの?」「これは試験に出ない?」という質問と言うか、要求があります。生物は覚える事が多いので、この要求の理解はできるのですが、彼ら彼女らに「ここまで覚えていたらいいよ」と答えることはできません。教科書や資料集は全部大切です。そこでいつも私が言っていることは、「分野・現象(教科書の単元)のおおまかな流れをおさえよ!」です。それによって、覚える用語の優先順位が自然とわかってきます。ただ、生物で最初に習う細胞小器官は、いわばマーベルコミックのアベンジャーズのように全て何かの分野の主人公ですから、最終的には全て覚えておく必要があります。ちなみに、細胞小器官を知る上で最も大事なことは何かと言うと、「細胞はタンパク質を作るのが仕事!」です。まずは、細かいことは気にしない!登場小器官と働きは以下のような感じです。

ツッコミどころが多いですが、何のために細胞小器官を覚えるか知るためです。

:細胞の中心にあってDNAというタンパク質の設計図を保管している図書館

RNA:DNAは細胞という世界に1つしかない設計図なので、持ち出す時はコピーして持ち出します。このコピーがRNAです。

リボソーム:RNAの情報をもとにタンパク質を組み上げる工場

小胞体:タンパク質をはじめ物質の貯蔵などを行う倉庫。貯蔵以外にも役割があるのですが、ここでは割愛。また、小胞体とリボソームがひっついているのも意味があります。リボソームがついている小胞体が粗面小胞体ついていないのが滑面小胞体です。

ゴルジ体:タンパク質などを細胞の外に運ぶトラック

ミトコンドリア:細胞内で使うエネルギーを作る発電所

細胞の種類

細胞小器官の次に高校の生物で学習することは、細胞の種類の違いでしょうか?

色分けしたのですが、わかりにくい?

動物と植物で何が違うのかと言えば、「植物は光合成ができる」です。それ以外の違いもあるのですが、「おおまかな流れを抑える」のは重要なので、これが言えることは大切です。細かいことは、図をご覧ください。
動物細胞と植物細胞の違いは、みなさんご存知の通り、植物は光合成ができるので葉緑体を持っていますが、それ以外の違いもあります。ここで、生物の「どこまで覚えたらいいの?」「試験に出るのはどこ?」のもう1つの答えである、「共通点と相違点をおさえる」が出てきます。

共通点
動物細胞も植物細胞も同じ細胞なので、タンパク質を作る仕組み(核,リボソーム,小胞体,ゴルジ体)を持っています。また、細胞の内外を区切る細胞膜細胞内を満たすサイトゾルは共通してあります。
核,ミトコンドリア,リボソーム,小胞体,ゴルジ体,細胞膜,サイトゾル,リソソーム

相違点
光合成を行う場所である葉緑体細胞内外を区切る細胞壁不要物の分解や物質の貯蔵の場である液胞が植物細胞にあります。植物細胞の方が、「オリジナル小器官が多いな!」というイメージを持つことも大事です。一方、動物細胞のオリジナルは細胞分裂に関わる中心体くらいですが、例外的に植物細胞でも持つ細胞がいます。
植物細胞:葉緑体,液胞,細胞壁
動物細胞:中心体(例外あり:シダ植物の精細胞のみ持つ)

本当は、寄生虫の細胞の話もしたかったのですが、話も長くなってきたので、一度この辺りで1区切りつけます。最後に1つだけ。「どこまで覚えるの?」「これは試験に出ない?」の答えですが、「先生(出題者)は試験において、50〜100点分という限られた問題の中で、教科書の端っこにあることを聞くと思いますか?」というのを考えてみてください。「分野・現象(教科書の単元)のおおまかな流れが分かっているか」=「自分の授業を理解しているか」となってるんですよ。


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