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長い目で見れば、僕等はみんな死んでいる


2023年3月22日(水)朝の6:00になりました。

未来は僕等の手の中。未来は俺等の手の中。

どうも、高倉大希です。




自分らしく生きよう。

自己肯定感を高めよう。


ここ数年で、随分と広まった考え方です。

大抵の苦悩は、この「自分を大切にしすぎること」から生じます。


こんなことを言ったら、こう思われてしまうのではないか。

こんなことをしたら、キャラクター的に変なのではないか。


このように、「唯一の本当の自分」が揺らぐことに対して、大きな不安を抱きます。


人間は、誰かとの関係の中で、その人のための分人を常に生み出している。お互いにです。相手の中には、あなたのための分人が生じる。一対のセットとして、言葉や感情のやりとりをしている。個性というのは、だから、唯一不変の核のようなものじゃないんです。
平野啓一郎(2015)『空白を満たしなさい(下)』講談社


誰もがポケットの中に、孤独を隠しもっています。


作家は、そんな孤独を物語に乗せ、紙にペンを走らせます。

ミュージシャンは、そんな孤独を曲に乗せ、大声で歌います。


わたしたちは、そんな孤独に憧れを抱きます。

そしてますます「唯一の本当の自分」を大切にしようとするわけです。


禅の教えによると、人の苦しみはすべて、現実を認めたくないという気持ちから生じるのだという。「こんなはずではなかった」「どうして思い通りにいかないんだ」という気持ちこそが、苦しみの根源なのだ。自分は万能ではない。ただの無力な人間で、それはどうしようもない。その事実を受け入れたとき、苦しみはふいに軽くなり、地に足のついた開放感が得られるだろう。
オリバー・バークマン(2022)「限りある時間の使い方」かんき出版


自分を大切にしていないから、苦しんでいるのではありません。

自分を大切にしすぎているから、苦しんでいるのです。


自分というひとりの人間にできることなんて、せいぜい限られています。

体調が崩れるたびに停止し、寿命と共にすべてが失われます。


46億年の歴史を考えれば、ひとりの人生なんて、ほとんどないようなものです。

長い目で見れば、僕等はみんな死んでいます。


一個の「私」なんてどうでもいいじゃないか。
松岡正剛(1980)「眼の劇場」工作舎


だからといって、小さな存在であることに、落ち込む必要はありません。

むしろ、小さな存在だからこそ、わたしたちは自由になれます。


「唯一の本当の自分」なんてものは存在しない。

一個の「私」なんてどうでもいい。

この先に、新しい世界が広がります。






サポートしたあなたには幸せが訪れます。