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大抵のことは知ったこっちゃない


2023年5月24日(水)朝の6:00になりました。

フォロワーが500人を超えました。ひとり3回ずつ読みましょう。

どうも、高倉大希です。




小学生のころに、「税の作文」という宿題を出されたことがあります。

税に関する意見を、原稿用紙にまとめて提出するという内容です。


なぜこんなにも昔のことを覚えているのかというと、かなり苦戦したからです。

くり返しになりますが、当時はまだ小学生です。


税のことなんて、知ったこっちゃない。

これが、原稿用紙に書けることのすべてでした。


象について調べているうちに、数学に関心を持って、パリの大学につながって、現地でファッションの勉強をしている女性と恋におちました......なんていう、「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな、はじめっからは想像できない連鎖がほんとうにできるのが、「リンク」というものの面白いところです。

糸井重里(2014)「インターネット的」PHP研究所


それも、そのはずです。

関与したことがあるものは、せいぜい消費税くらいです。

その消費税も、親からもらったお小遣いで払っています。

そんな子どもが「税の作文」なんて、書けるわけがありません。


ブーブーと文句を言っても、仕方がない。

普段だったらこう考えるのですが、こればかりは譲れません。

どう考えても、出題者側の思考が足りていないと思うのです。


最大公約数を目指しつつ、一方で説明がうっとうしくなりすぎないかという別のベクトルの「心の動きの推測」との、不断の比較考量作業こそが、コンテンツをより魅力的なものにするのです。

高橋弘樹(2018)「1秒でつかむ」ダイヤモンド社


きっと、この機会をつかって、税について調べてみてほしかったのでしょう。

納税の義務を負う未来に、目を向けてほしかったのでしょう。


気持ちはわかります。

気持ちはわかるのですが、本当にそう思っているのなら「税の作文を宿題に出す」にはならないだろうと思うのです。


子どもたちがやる気にならないのは、面白そうではないから。逆に、面白そうだなと思うと自然にやる気になります。そこで編み出した仕掛けが「アナザーゴール」です。本来の目的とは違うように見えても、まずは子どもたちが面白そうだなと思うような「別のミッション」を与える。

沼田晶弘「計算はアナザーゴールで意欲向上」みんなの教育技術


「税の作文」と近しいことが、教育現場では多発しています。

「地球温暖化が進んでいるから、みんなでゴミを分類しよう!」とか、「薬物は危険だから、注意喚起のポスターを描こう!」とか。


問題が起こっていることは、たしかに事実なのかもしれません。

ところが、子どもたちからしてみれば、すべて知ったこっちゃありません。


重大な問題だから、関心を示せ。

そんな暴論を押し付けられても、すべて知ったこっちゃないのです






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