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『怪物』というコドモ帝国の逆襲
2023年6月18日(金)朝の6:00になりました。
更新されたその時間が、6:00です。
どうも、高倉大希です。
是枝裕和さん × 坂元裕二さん でおなじみ、映画『怪物』を観に行ってきました。
『万引き家族』もそうでしたが、「不穏」を描くのが本当に上手な監督です。
幽霊が出てくるわけでもなければ、人が殺されるわけでもありません。
それにも関わらず、一貫して不穏な空気が流れます。
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映画を観終わったあと、みっつの作品を思い出しました。
ひとつ目は、ジョン・バーニンガムさんの『なみにきをつけて、シャーリー』という絵本。
ふたつ目は、クレヨンしんちゃんの『モーレツ!大人帝国の逆襲』という映画。
みっつ目は、ドイツの『ハーメルンの笛吹き男』という童話です。
『なみにきをつけて、シャーリー』は、親子三人で海水浴に出かける物語です。
左のページでは父母のようすが、右のページでは子どものようすが描かれます。
おなじ時間を過ごしているはずなのに、左右でまったく異なる表現がなされます。
映画『怪物』も、大人の事情と子どもの事情が、べつの角度から映し出されます。
子どもが生きる世界と、大人が想像するそれには、大きな差異があるのです。
こどもたちを追い詰めるのは、依里の父親(中村獅童)が発する「あれはねえ、化け物ですよ。頭の中に人間のじゃなくて豚の脳味噌がはいってるの」という心無い言葉だけではなく、組体操で崩れ落ちた湊に対する「それでも男かよ」という保利の一言や、ラガーマンだった湊の亡父との約束として早織が口にする「湊が結婚して家庭をもつまで頑張る」という決意など、何気ない言葉でもある。
『モーレツ!大人帝国の逆襲』は、大人たちが幼児退行し、「大人たちだけの世界」に閉じこもってしまう物語です。
映画『怪物』は、その反対です。
子どもたちが「子どもたちだけの世界」に閉じこもってしまいます。
その間をつなぐのは、親子の絆でも、学校の先生との信頼関係でもありません。
不穏に鳴り響く金管楽器の音、ただひとつです。
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『ハーメルンの笛吹き男』は、笛吹きが子どもたちを連れ去ってしまう物語です。
映画『怪物』でも、嵐とともに子どもたちが忽然と姿を消します。
トンネルの向こう側に、大人たちが入り込むことはできません。
子どもたちは、どこへ行ってしまったのか。
嵐が去ったあとには、どのような世界が待っているのか。
つづきはぜひ劇場にて、お楽しみください。
毎朝6時に更新します。読みましょう。 https://t.co/rAu7K1rUO8
— 高倉大希|インク (@firesign_ink) January 1, 2023
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