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JETROレポート:新型コロナ後の食市場~米国最新食トレンドと日本食~

JETROレポート:新型コロナ後の食市場~米国最新食トレンドと日本食~(本文2,012文字)
 
独立行政法人日本貿易振興機構JETRO(Japan External Trade Organization)は、海外ビジネス情報の地域・分析レポートとして、令和6年8月2日付にて「新型コロナ後の食トレンド」を公開しました。
新型コロナ後の米国における食のトレンドとして、健康志向の高まりから、さらに日本食への注目が集まるだろうと予測しています。
JETROのレポートのエッセンスをまとめました。ご興味のある方は<一次情報>から詳細をご確認ください。
 
<はじめに>
新型コロナウイルスの感染拡大は米国で過去の出来事となり、日常生活はほぼ元に戻った。しかし、パンデミックによって食市場に不可逆的な変化が生じた。電子商取引(EC)の普及により外食の状況が変わり、健康意識が高まった。植物ベースの食事やオーガニック食品市場が拡大し、健康的な食事への関心が高まっている。これにより、日本食が米国でさらに普及する可能性がある。
 
<コロナ後の食市場>
1. 米国におけるレストラン市場

新型コロナウイルスのパンデミックにより、米国では約7万2,000店舗のレストランが閉店し、約600万人が職を失った。現在、雇用は回復しているが、フルサービスのレストランでは人材不足が続いている。デリバリーサービスの需要が急増し、ウーバーイーツやドアダッシュなどのプラットフォームが普及した。デリバリー市場はさらに拡大し、2029年には430億ドルに達すると予想されている。
2. 小売店市場
パンデミックにより、自炊する人が増え、オンラインショッピングと食料品デリバリーが普及した。特に高齢者や免疫力の低下した人々からの需要が大きかった。ウォルマートやアマゾンなどの大手小売業者はECの強化に注力し、迅速なデリバリーやピックアップサービスを提供している。
3. EC市場の拡大
食品市場全体でEC市場が拡大しており、オンラインでの生鮮食品や冷凍食品の購入が一般化している。サブスクリプション型の食事デリバリーサービスも増加し、「ブルーエプロン」や「ハローフレッシュ」などが人気である。これにより、家庭での食事がより豊かで多様なものとなり、消費者は自炊、レストランのデリバリー、食事キット型サブスクリプションなど、様々な方法を選べるようになっている。
 
<コロナ後の米国の食トレンド>
新型コロナウイルスのパンデミックにより、米国の食市場においては健康意識が向上した。外出制限で自宅で過ごす時間が増え、運動不足や体重増加が深刻化したためである。調査によると、42%の米国人が体重増加を経験し、77%以上が健康に注意を払うようになった。
1. オーガニック食品の需要拡大
オーガニック食品は、健康志向の高まりとともに米国で人気が高まっている。消費者がオーガニック商品を選ぶ理由は、添加物や農薬の不使用、環境保護、動物福祉などである。特にミレニアル世代でオーガニック食品の需要が強く、2022年には23%が購入時の重要な指標としている。オーガニック食品市場は急速に成長し、2023年には638億ドルに達し、2019年比で27%増加した。
2. 植物ベースの食事の普及
植物ベースの食事は、ベジタリアンやビーガンの食事スタイルとして米国で広がっている。これらの食事は高タンパク質で低脂肪、生活習慣病の予防に効果があるとされている。特にZ世代は動物福祉や環境保護の観点から植物ベースの食事を支持している。植物ベースの食品市場は2020年に80億ドルに達し、コロナ前と比較して48%増加した。代替肉製品だけでなく、サーモンや蜂蜜、アイスクリームなど多様な商品が開発されている。
3. 各世代の「健康な食べ物」への訴求
コロナ禍を経て健康に気を遣う米国人が増え、世代ごとに異なる健康トレンドが形成されている。ミレニアル世代はオーガニック食品を支持し、Z世代は植物ベースの食品に関心が強い。米国の食市場では「フレッシュ」「低糖」「良質なタンパク質」「野菜やフルーツ」「栄養豊富」「ナチュラル」「減塩」などの言葉が「健康な食事」として理解されている。世代ごとの健康イメージの違いを理解することが重要である。
 
<健康志向と日本食のつながり>
米国では健康志向の高まりとともに、日本食の人気も上昇している。日本食は低脂肪で栄養価が高く、健康的な食事の選択肢として認識されている。新鮮な食材を使用し、シンプルな調理法で素材の味を生かす日本食は、健康的な食べ物として評価されている。また、出汁を活用することで塩分量を抑え、腹八分目などの食文化も健康志向に合致している。米国では高級レストランから家庭料理まで幅広く日本食が楽しまれており、訪日観光客の増加も日本食人気を後押ししている。
 
<おわりに>
パンデミックは米国の食市場に深刻な影響を与えたが、ポスト・コロナの現在、健康志向の高まりやECの拡大など新たなトレンドが生まれている。特に健康意識の向上は、日本食の普及に追い風となっている。日本食は米国市場での存在感を高めており、その魅力をPRし、新しい食体験を提供することで市場の拡大が期待される。
 
 
図1 米国におけるECの売り上げ推移と予測

Statista Digital Market Insights資料からJETROが作成
https://www.jetro.go.jp/ext_images/biz/areareports/2024/ec4a414fcc5f8d22/g01.gif


図2 米国における健康な食べ物の定義(複数回答可)

International Food Information Council資料に基づきJETROが作成 https://www.jetro.go.jp/ext_images/biz/areareports/2024/35db1f834b2029c0/g01.gif




<一次情報>
JETRO 「米国最新食トレンドと日本食」
1. 新型コロナ後の食市場
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/ec4a414fcc5f8d22.html
2.
新型コロナ後の食トレンド
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/35db1f834b2029c0.html

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