☆ 猫の派遣社員 みぃこ(9) ☆
あれからみぃこは、お母さんにたくさんスリスリできるようになりました。だけど、お母さんが手を出そうとすると、なぜだか身体が引けてしまいます。
「あ母さんにナデナデしてもらいたいのに、身体が勝手に逃げちゃう…。みぃこ、お母さんのこと大好きなのに…。」
「こんにちは、みぃこさん。ちょっと元気ないみたいですが、何かありましたか?」
「クロさんおつかれさまです。実は…お母さんが手を出そうすると、勝手に身体が逃げてしまうんです。みぃこはナデナデしてほしいんです。どうしたらいいのでしょうか…。」
「それは、なにか怖いことされるかも、っていう無意識の気持ちがでてしまっているのかもしれませんね。でも、みぃこさん、よく思い出してください。お母さんはナデナデしようとしていますか?お母さんはみぃこさんにおゆびをみせていませんか?」
「あっ、そういえば…。そうかもしれません。おゆびをみぃこに見せてるかも。」
「お母さんは、まずはみぃこさんにおゆびの匂いをクンクンしてみて欲しいと思っているんです。おゆびの匂いを嗅ぐと、その人がどういう人なのかわかるんです。なので、お母さんが指を出してきたら、ちょっとだけ勇気を出して、おゆびの匂いをクンクンしてみてください。」
「そういうことだったんですね。わかりませんでした。」
「お母さんの匂いがわかると、きっと安心できると思います。みぃこさんの気持ちが安心したら、身体も逃げなくなると思います。だからがんばって!」
「わかりました!がんばります!」
「みぃこさん、今日はこれで失礼します。わたしは違う方のところへ訪問に行かなければなりませんので。上手くおゆびの匂いをクンクンできたらいいですね!がんばってください。また明日きます。」
「クロさんありがとうございます。がんばります!」
今日もテラスにたくさんお日様が差し込んでいます。みぃこは、テラスでお昼寝していました。
目を覚ますと、窓際に福がいました。
「みぃこさん、さっきクロさんとなにか話していたけど、どんなお話ししていたの?」
「あっ、見てたんてますね。実は、お母さんの手が出てくると身体が勝手に逃げてしまうんです。みぃこはナデナデしてほしいのに。それで、クロさんにどうしたらいいのか相談していたんです。そしたらクロさんは、お母さんのおゆび匂いをクンクンしてみるといいって言ってました。お母さんのおゆびの匂いをクンクンすると安心するから、怖くなくなって、身体が逃げなくなるからナデナデしてもらえるようになるって。」
「確かにおゆびの匂いを嗅ぐと安心するよ。ぼくはね、おゆびの匂いをクンクンしたあとに、そのおゆびに、ぼくのほっぺをスリってするよ!ぼくの匂いもつけてあげるの。ぼくも好きだよ、安心してねって伝えるの。」
「そうなんですね!それいいですね!みぃこもおゆびの匂いをクンクンしたときにそれ、やってみます!」
「お母さんの匂いって、どんな匂いがするんだろう?きっといい匂いなんだろうなー。」
みぃこは少しだけ勇気をだして、お母さんのおゆびの匂いを嗅いでみようと思いました。
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