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転職活動の感傷プレイリスト

社会人2年目の夏です。
実はこのたび、転職することになりました。

理由については、一言では言えません。
非常に恵まれた職場環境でした。でも色々なものと、折り合いが付かなかった結果です。

直属の上司との相性とか、長い残業時間とか、若手ながら多くの裁量を任される点だとか。
1年目の冬には他にやりたいことが見つかり、異動願を出しましたが、会社側の都合で叶いませんでした。
結果、「あともう少し、数年だけでも今の部署で頑張ろう」という、己の内で理性が呼びかける声も虚しく、心が先に折れてしまいした。

1週間ほど会社を休んだあと、同じように心が折れたり、病んでしまったりした人が行く部署に配属されました。
この部署にいれば、スキルアップとは無縁の単純作業ばかりに取り組みながらも、
新卒と同じ給料をもらい続けられます。

しかし、仕事でやりたいことが他にあるとなれば、現状に止まっている暇はありません。
別の職場で目標を叶えるべく、動き始めました。

念の為言っておきますと、現職の会社に入社したことに関して、後悔は一抹もありません。
このブログで、新卒としての就職活動の顛末について書いたことがあります。
そこにも記載があるように、当時の自分としては、
熟考した結果として、それが最良の選択だと思っていました。
どう考えても、当時において、あれ以外の選択肢は取り得なかったと思っています。
長く働きたいと思って入社しましたし、今も会社のことは好きで、
お世話になったことの一つ一つに対して深く感謝しています。

だから本来は、転職したくはありませんでした。
会社に残って、社をもっと良くするために働きたいという気持ちもある中で、離れなければならないのは辛いことです。

しかも今回の転職は、まあまあ時期が差し迫った中での転職でした。
今の部署にいても、実務面で学べることはない。
大学院卒で、すでに20代中盤の私が、
30歳までにスキルを付けるには、今はじめなければ意味がないのです。
それに、単純に今の部署ではやりがいが少なく、かといって元の部署に戻る気もさらさらありませんでした。

こうなると、転職活動の密度も上がってきます。
有給残日数も残されていない中、なんとか時間をやりくりすることで、
1週間に3〜4の面接をこなす日々が続きました。

けれども未経験職種での転職はやはり難しく、
200以上の書類を提出した中でも、最終的に内定をいただけたのは3社のみでした。
4ヶ月に渡って戦い続け、心身ともに大変疲弊しました。

転職活動の詳細に関わる話は、
もう少し時間が経って、今回の経験について自身の中で整理ができたら書こうと思います。
今回は、そんな辛い転職活動期間の中で、自身にとって支えとなったポップスの曲を紹介したいと思います。

その目的としては、自分自身を労う意味合いが強いです。
疲弊の原因は、主に感情の乱高下にあります。
こういう時は、己が何に対してどう感じていたかを、真っ直ぐ受けとめてあげることが大切です。

転職活動が終わったばかりの今、ふとした時に虚脱感を感じることがあります。
それはこの数ヶ月間、何かと気を張ってばかりいたからこそ。
転職活動中に聞いていたポップスや、辛い時期に沁み入るように感じた歌詞を振り返ることで、己がこの数ヶ月、何を感じていたのかを分かってあげたいのです。

世代がバレますね…まあ前から20代中盤とは公言していますが…

【「こちらから願い下げ」という感覚を覚える】
ロックンロールウィドウ (山口百恵)

「世代が…」とか言っておきながら、あれ???
えっと…百恵さんは、昔から大好きなんです。
いわゆる昭和歌謡を歌われる人の中で、知りうる限りでは1番か2番に好きです。

何が良かったって、とにかくどの選考でも、書類は通れど何故か1次面接より先に行けない状況が2ヶ月以上も続いた頃にですよ。
「男はあんた一人じゃない!」と啖呵を切ってくれるお姉様が現れたら、
「そうだそうだ!俺を断る企業なんか、こっちから願い下げだ!」
と強気になれたわけです。

私のことを傲慢だと思ったそこのあなたは、勘違いしないでくださいね。
そこまで強気でなければやって行けないのは、落ち込み度合いが深まっていることの裏返しに他なりません。
本音では、「自分なんか学歴だけは一丁前の、つまらない人間だ」とばかり思わされる毎日でした。だって書類だけはけっこう通るんですもん。

【散った夢も、それはそれで良かった!】 
ガーデン (藤井風)

そうは言っても、面接準備をする上では、その企業で自分が働く姿を想像しない訳にはいきませんし、
「こういう風に働けたらいいな」という理想を想起しない訳にもいきません。
その上で、1次面接以降に行けないのですから、
理想が毎回叶わない感覚を味わうことにもなるのです。

 花は咲いては枯れ、あなたに心奪われ
 それでも守り続けたくて、私のガーデン果てるまで

理想は早いペースで生じては過ぎ去っていくけれど、
自分の感性だとか、「こんな仕事をしたい」という前向きな気持ちだけは守り続けたい。
ともすれば自己攻撃してしまいそうになる中ではあるけれども、
「消え去った理想さえも己を形成する要素の一部だ」と信じて、
自分を愛し続けることの大切さを学んだ気がします。

前から知っていた曲ですが、この状況の中で改めて聴き、
会社の自席で涙がほろりしました。

【謎の余裕を手にする】
Dirty Work (Austin Mahone)

上の画像を見れば、何の曲か分からない人はあまりいないと思います。
転職活動も3ヶ月目、ようやく2次面接まで行けそうな選考が一つ、二つほど出てきつつも、やはり希望の企業の選考は落ち続けていた時期です。
自分は己の内で、ブルゾンちえみを肥大化させていました。

ロックンロールウィドウは、なんだかんだで真剣でした。
夫に対して少しでも期待してしまっていたから、
「あんたは死んだと思って、あたしは自分本意に生きてやるわ」と息巻いた訳です。

一方でちえみは、もはやそんなに真剣ではありません。
「味のないガムなら当然捨てるわ!」という態度で、
悪びれもせず次々と新しい男に手を出します。
そんなことができるモチベーションは、一体どこから生じるのか。
説明するまでもないですね。「35億」いるという事実です。男が。

企業も同じです。
1次面接だけ実施しては、誰も彼も自分のことを捨てていきます。
でも見方を変えれば、それはつまり私が、
自分の書いた書類に反応した企業と遊んでやっているということ。

ならば逃げていく者を追う必要もありません。
だって自分には、次があるから。
そうよ、この世に企業が幾つあると思っているの。
35億。
知らんけど。

(言うまでもなく、上記のスタンスをとっていたのは、
自信のなさと就活疲れを吹っ切るための手段でした。
ただ、デフォルトであまりにも自己肯定感が低い自分のような人にとって、
どこかの時点で吹っ切れて、自信を持てるようになったことは、
転職活動においては大変有益であったと思います。
改めて、ブルゾンちえみさんに大きなリスペクトを。)

【とりあえず強気になりたい】
BLACKPINK、(G)I-DLE全般

強ぇ男と強ぇ女が好きです。
特に最近は、強ぇ女性が大好きです。

K-popをよく聞かれる方やその道の古株の方なら分かると思いますが、
私は数年前まで、いわゆるYGオタクでした。
今はあまり追っていませんが、BIGBANGとか2ne1の時代から、強い男や女の刻む歌やリズムを聴くと、とても元気が出ます。

とりあえず気をしっかり持っていないと、転職活動は続けられません。
だから無理矢理にでもスイッチを入れる目的を込めて、
強いサウンドを聴いていました。
BLACKPINKだとLovesick girls、(G)I-DLEだとNxdeが一番好きです。

【限界】
まいにちそだてマッチョ (ひろみち&たにぞう)

これ聞いてた時期は、とりあえず朝起きられませんでした。
「今日も面接ある…」ばかり考えてしまって。
でもこれ聞くと、不思議と起きられるんです。
ついでに空元気も湧いてくる気がします。

皆さんも試してみてください。
前奏のところは首でリズムをとって、歌が始まったら両腕をムキムキ動かしてみるんです。

そしてもちろん、大きな声でご唱和ください。

「まいにちそだ〜〜てマッチョ!!
 まいにちそだ〜〜てマッチョ!!!」

声が小さい!!!そんなんじゃ面接も受からないぞ!!!!!

【とはいえ疲れるので】
NewJeans全般

そうは言っても、やはり強ぇ女の声や、マッチョメンの声ばかり聴いていると疲れます。
そのためリラックス効果を狙って、NewJeansを聴きました。

K-popって、自分はけっこう昔から聞いていますが、
New Jeansのように力を抜いて聞ける系の曲調って、今まであまりなかったんですよね。
だからこそ、自分の目にも彼女らのサウンドは新鮮に映ります。

【心の火花!】
Fire Work (Katy Perry)

自分の人生では、大体3〜4年に1回ほど、
無性にケイティ・ペリーを聴きたくなる時期が周期的に訪れます。
始まりは中学生の頃で、前回は大学院に入りたてぐらいの頃でした。
ケイティ・ペリーさんのファンを自認している訳ではないので、
これは不思議なことです。
実は無意識下で、めっちゃ好きなのでしょうか。

転職活動もようやく終わりが見え始めていた頃、
久方ぶりに、ひとりでカラオケに入りました。
ちょうどケイティを聴きたい時期が訪れていることですし、
「Fire Work」を入れてみたんです。

そしたらどうでしょう。本人映像のMVが流れ出します。
自分を開示できずに、現状に困惑し燻っている人々が順々に映し出されます。
そこに対して、ケイティ・ペリーが
「あなたの心には火花があるでしょ!あなたは花火!
夜空を駆け抜けて、みんなをアッと驚かしてやりな!」
と遠くから声をかける。
すると彼らの胸にも、ケイティと同じように火花が散り始めて、
自分を開示し出すのです。
そして最後は、どこから集まったとも知れない、
きっと互いに初めましての大勢の人たちがひと所に集まり、
みんなで沢山の火花を散らしながら、踊る。

まぁ、なんということ。後半は歌うこともできず、それを見てボロボロ泣きました。

前にも、このMVで泣いたことがあります。
中学生の頃、部活に馴染めずに悩んでいた時期でした。
「こんなことも出来ない自分は、きっと今後どこに行っても、何をやっても無価値なんだろう」
と思いこんでました。

思えば今の状況は、少し当時に似ています。
新卒1年っきりで会社をやめるというのは、面接官からはその時点で、
忍耐強さに関して疑いの目を向けられます。

実際に、自分は忍耐強い方ではない。
転職活動は、自身の嫌いな側面を直視せざるを得ない機会でもあります。

けれども場所を変えれば、きっと今よりも生き生きと仕事ができるはず。
今の自分は燻っているだけで、きっとこれからは、より良い未来をつかめる。
そう信じて、前に進むしかありませんでした。

そんな中、ようやく光を掴みかけていた自分の目に、
大勢の人たちが、自分や他者の人生を祝福している画は、あまりにも沁みました。

ケイティ・ペリーって、米国ではどちらかというと10代かそれ以下の年代向けのイメージが強くて、
大の大人が聞いていたら子供っぽく思われるものではあると思います。
でも、すなわちそれは、歌詞の内容が平易であるということ。
自分のような英語のノンネイティブにとっては、そういう真っ直ぐなメッセージの方が伝わりやすくて有難いですし、何だかんだで20代後半に差し掛かっても聞きたくなるものだなぁと思いました。

【頑張らなくていい、ただ起き上がって。】
Try (Colbie Caillat)

転職活動終了後、SNSでたまたま流れてきて知った曲です。
10年前にリリースされたものですが、とても現代的なテーマを扱っています。
ルッキズムや承認欲求に囚われて、焦りや自己肯定感の低下を感じてしまう人に対し、「あなたはそのままでいい」と優しく語りかける曲です。

 人から愛されたり、認められたりする目的で、
 頑張らなくてもいい。あるものを全部手放さなくてもいい。
 ただ、起き上がりさえすればいい。
 何も変えなくていいの。

そう、「ただ起き上がりさえすればいい」。
確かに頑張らないでいてばかりだと、人生はつまらないかも知れない。
でも「起き上がる」=前向きな態度の自分が、自然と起こす行動に身を投じることは、きっと無理して頑張ることよりも、結局は多くの収穫をもたらすものだと思うのです。

この数ヶ月間、私は無意識に背伸びしていた自覚があります。
話せば大抵「賢そう」と言われ、「優秀すぎてうちにはもったいない」などといった理由で次回選考を見送られたこともありました。
自分なりに、頑張って転職活動に臨んでいるつもりではあるけれども、どうも自己評価と他者からの評価がかけ離れているように感じ、疲弊することがありました。

それはもしかしたら、自分を大きく見せすぎていたのかも知れません。
でも転職活動などというシチュエーションにおいて、背伸びを全然しないことも、だいぶ難しいと思うのです。
現職のネガティブは言ってはいけない。自己の短所も、オブラートに包み、前向きに捉えるよう努力しなければならない。
でも本当はそんなこと、見せかけでしかできないことです。

自己分析をすれば、生ゴミを覗き込むように、自分の嫌なところばかりが見えてくる。
自分の良さをアピールするエピソードトークですらも、もしかしたらその裏で傷ついたり不快な思いをした人がいなかったかばかりを考えてしまう。
そんな人間が自分を良く見せるためには、かなり無理をして、質問に対する瞬発力で補正しないと、やっていけません。そうでないと、言葉に詰まり続けてしまいます。

だから、有益な人間であることに少しでも説得力を持たせようと、資格の勉強を始めて、そのことをアピールしました。
面接中も自分を良く見せようと常に頭をフル回転させ、毎度のように背中に大汗をかいていました。

でも、もう少しでも自然体でいられなかっただろうかとは、今になって思います。
私自身、自分で定めた特定の基準に達しないと、どうしても自分を認めることができない性質です。
でも今後は、基準に達するか否かよりも、「何を自然と行えるか」「何を楽しめるか」などといった指標においても、もしかしたら自分を評価できるのではないかと思うのです。

例えば資格の勉強をしている時、私は楽しいです。
法律関係の勉強内容を扱うのは始めてですが、毎日知識の広がりを感じ、新鮮さを味わうことができます。レベルアップしてくると、自信にも繋がります。
でも一方で、自分で決めた週の目標勉強時間を達成できないと、落ち込むこともあります。

ただ、勉強時間というのは勉強量の指標に過ぎません。
勉強時間よりも本来的に大事なことは、何を学び、どう感じたかだと思うのです。
「勉強を楽しめた」「自然体で、前向きに努力できた」という事実こそが、きっと長い目で見たら、より自分の人生観をも形成する財産になると思います。

何が言いたいかというと、私は仕事に関わる勉強を楽しんでできている時点で、才能があったのです。
そういう個性の打ち出し方を、もっと包み隠さず、片肘張らずにできたかも知れないと思います。

なんて、そんなことを、この「Try」という曲を聞いてから、考えました。

就活が終わった今、燃え尽き症候群気味で、しばしば虚無感に襲われます。
あれだけしょっちゅう確認していたメールも、転職サービスを全て退会したら全然届かなくなりました。
やる気を出すための曲を聞いて、自分を鼓舞する必要もなくなりました。
ずっと気を張っていたので、急に解放された今、自律神経がちょっと乱れ気味な感じもします。

理由のない焦燥感に襲われる時、「Try」を聞いて、自分に語りかけるように口ずさんでいます。
頑張らなくていい。ただ、起き上がって。
自分のままで生きていい。

ルッキズムと他者承認について歌ったこの歌の本旨からは、もしかしたらズレるかも知れませんが、
これは私にとって、人生讃歌としての意味合いがとても強い曲になりました。

【最後に】

こうしてみると、転職活動を行ったこの数ヶ月間、
気持ちの面でかなり苦労していたことがわかります。

奮起し、挫けては慰められ、空元気と気合いで乗り切り、
最後には己の心が自分自身の手元に戻ってきたような感覚です。

改めて、自分にはよく頑張ったといってあげたい。
側から見たら、がむしゃらで、下手くそだったかも知れないけれど、
少なくとも頑張れることを目一杯頑張った。

今月は有休消化もあるので、心身をゆっくり休ませたいと思います。

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