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時代証言

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#歴史

受験教養からその先へ―世界史の教科書教養から真の市民教養へ―(3)第2回人類の進化2

現生人類Homo sapiensは、登場して7万年前に第一回目の飛躍、そして出アフリカした後2万年くらい前に第二回目の飛躍を起こしました。従来人類の飛躍というと、農耕牧畜の開始による生産経済のはじまりが注目されがちでしたが、実はそれに至る二段階の飛躍があったのです。いったいそれは何だったのでしょうか。

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受験教養からその先へ―世界史の教科書教養から真の市民教養へ―(2)第1回人類の進化1

世界史の教科書の記述は人類の進化から説き起こされています。人類の進化史については今の教科書はかなり現代の自然人類学の研究に沿ってきていますが、人文系の専門教育を受けてきた人の多くが生物の進化についての専門知識に乏しく、故に通俗的な進化理解に引きずられた解釈で教科書を読解しがちです。歴史学の専門教育を受けた教員でも、この辺の理解が十分ではないことが少なくないのではないでしょうか。この問題を考慮して、歴史教科書に記されている人類の進化の記述をどう解釈するのが妥当か、有料部分で公開

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後白河法皇⑨

白河法皇は様々な陰謀により、敵対勢力になる恐れのある勢力を潰すことで皇室を維持した。 その陰謀の最大のものが、源義家の系統の源氏を潰したことだろう。 源氏は源頼信の代に関東を支配し、源頼義の代に奥州に進出した。 関東と奥州を合わせれば、その勢力は後の源頼朝の勢力に匹敵するものとなり、この最大の武力集団に対抗できる存在はなくなる。 だから白河法皇は、後三年の役の源義家の活躍をなんとしてでも封じようとした。 清原氏の内紛が始まると、義家は清原清衡に味方したが、朝廷は内紛を清原氏の

【書評】佐々木雄一『陸奥宗光』(中公新書)

 陸奥宗光といえば、近代日本の悲願であった条約改正(領事裁判権の撤廃)を成し遂げた人物です。「カミソリ」のあだ名をつけられた切れ者で、優れた外交官として知られています。  しかし、陸奥の実像はその説明にとどまるものではありません。本書は陸奥の生涯を簡潔にたどりながら、彼の実像を明らかにしています。 外交にとどまらない業績 陸奥宗光は、条約改正・日清戦争・下関条約・三国干渉という明治日本の激動期に活躍しました。本書でも半分近いページ数が割かれています。  しかし、年表を見

受験教養からその先へ―世界史の教科書教養から真の市民教養へ―(1)プロローグ

歴史学など現代の実証系学問のドグマの枠組みの多くは19世紀に形成されました。しかし、そうした枠組みの妥当性がだいたい1970年代以降に問い直されるようになり、その成果がだいたい2010年前後に急速に花開いて、今実証系学問のみている地平が大きく変貌してきています。 しかし、市民教養としてセット商品化されているものの多くが学問の古いドグマの尻尾を引きずっているのが現状です。また、学校で習う教科書の記述も、順次新しい学問の風景を取り入れつつあるものの、定説化してからある程度時間が

自己紹介

自己紹介させていただきます。 僕は、畑中秀太と申します。 どんな人? 僕は長年、教育業界に携わっており、トータルで6年間教員をしておりました。 今は、教員を退職し、別の角度から教育に携わっています。 教員時代は、全校生徒6名の離島で教員をしたり、YouTuberになって授業動画を投稿したり、小中高全ての校種や特別支援学級で教員をしたりなど、それはそれは濃い時間を過ごすことが出来ました。 大事にしてきたこと 専門は世界史だったのですが、「学んだことが、そのまま社会で活

鶴見俊輔の歴史の見方―「回顧の次元」と「期待の次元」

 歴史を振り返るには「回顧の次元」と「期待の次元」で振り返るという2つの方法がある―私が鶴見俊輔の本でこの考え方にはじめてふれたのは読書記録によると3年ほど前であるようだ。それ以来、わかったようでわからなかったこの考え方が、最近何となくわかったような気がするので、自分の考えをまとめる上でも文章にしてみようと思う。  私の読書記録によると、『鶴見俊輔座談 昭和を語る』という本が私と「回顧の次元」と「期待の次元」の出会いであるようだ。その文章を以下に引用してみよう。 鶴見 わ

独断と偏見に基づく「大学受験業界史」

私は大学受験業界に携わってかれこれ20年以上になります。 教員と就職する以前から、大学1年の時から塾で大学受験の講師を始めたので、自分の受験経験も合わせるとかなりの年月を大学受験の対策や分析にかけてきました。 そこで、今回は独断的偏見ではありますが、私の受験経験も含めたここ四半世紀+αの大学受験業界史、特に参考書や塾予備校を中心とした業界史を備忘録代わりにまとめていきたいと思います。 1990年前後:カリスマ講師台頭の時代1990年前後は大学受験業界が最も活気づいていた