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受験教養からその先へ―世界史の教科書教養から真の市民教養へ―(1)プロローグ

歴史学など現代の実証系学問のドグマの枠組みの多くは19世紀に形成されました。しかし、そうした枠組みの妥当性がだいたい1970年代以降に問い直されるようになり、その成果がだいたい2010年前後に急速に花開いて、今実証系学問のみている地平が大きく変貌してきています。

しかし、市民教養としてセット商品化されているものの多くが学問の古いドグマの尻尾を引きずっているのが現状です。また、学校で習う教科書の記述も、順次新しい学問の風景を取り入れつつあるものの、定説化してからある程度時間が経過して十分信頼性が担保されたとみなされないと教科書の記述に取り入れられないという手堅さがあだになって、今のような学問認識の変化の激しい時代に十分ついてこれているとはいいがたい側面があります。また、学校の教科書は限られた年数のカリキュラムで広い全体像を学習させなければならない制約上、実は複雑なややこしい部分に無理筋の圧縮をかけた記述に陥ってしまっている部分も少なからずあります。

ですから、「こう理解していれば世界史は受験対応できる」と称して流布されている情報には、教科世界史、教科書世界史のそうした限界がそのまま付きまとっている部分が少なくありません。しかも、受験生がたやすく理解するために、通常の大学受験問題では問われないような部分で、狡いショートカット、つまり通俗的で理解しやすいのだけれど、歴史の真実とは乖離したストーリーをでっちあげているケースが、特に受験産業が流布している動画配信には多々見受けられるのです。

この『受験教養からその先へ―世界史の教科書教養から真の市民教養へ―』シリーズでは、動画配信によって順次、教科書世界史がやむを得ず抱えている限界性を指摘し、世界を理解するのに役に立つ歴史教養により近づけていくアプローチを順次配信していこうと考えています。

プロローグは無料配信といたしますので、ここで興味を持たれた方は、是非有料配信をご購入いただければ幸いと存じます。


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