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時代証言

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#小説

後白河法皇⑨

白河法皇は様々な陰謀により、敵対勢力になる恐れのある勢力を潰すことで皇室を維持した。 その陰謀の最大のものが、源義家の系統の源氏を潰したことだろう。 源氏は源頼信の代に関東を支配し、源頼義の代に奥州に進出した。 関東と奥州を合わせれば、その勢力は後の源頼朝の勢力に匹敵するものとなり、この最大の武力集団に対抗できる存在はなくなる。 だから白河法皇は、後三年の役の源義家の活躍をなんとしてでも封じようとした。 清原氏の内紛が始まると、義家は清原清衡に味方したが、朝廷は内紛を清原氏の

【台本書き起こし】シーズン4「赤穂事件 内蔵助の流儀」 第4話 江戸下向 ~ 最悪を考え、最高を手に入れる:ボイスドラマで学ぶ日本の歴史

◯箱根・箱根神社 出雲N:浅野家再興が不首尾となり、浪士たちは、次々と内蔵助のもとから離れていく。内蔵助と生死をともにすると誓った同志は、最盛期には百名に迫ったが、その数は、いまや半数近くに減っている。そんななか、内蔵助だけが、眠れる獅子が目覚めたかのように動き回る。吉良家討ち入りに方針転換してからというもの、その瞳に力が宿る。十月七日、ついに、内蔵助は、山科の仮住まいをたたんで、江戸へ向かう。供は、寺坂吉右衛門である。 内蔵助:途中、立ち寄りたいところがある。 寺坂吉右衛

◎吉良邸の怪

 冬の日差しが障子を明るく照らし、梢の影を濃く映している。老人ばかりの静かな室内は思いの外暖かだ。内蔵助は書物に目を遣ってはいるものの、文字を追ってはいない。前年暮れに亡君の遺恨を晴らした後ここ細川家に預かりとなったままひと月となるのに、幕閣はいたずらに評定を繰り返すのみで未だ沙汰がない。もとより切腹は覚悟のうえの吉良邸討ち入りで、本懐を遂げ得たことに悔いのあろうはずもなかったが、公儀の沙汰を待つ間に細川家の用人を通して伝え聞くのは、不本意にも殺傷した敵方の四十人を越える人数

映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」今は亡き完全アウェイの議論の美学に刮目せよ。

誰も知らない三島由紀夫の姿がここにある。 憎しみの連鎖が止まらないSNS上で巻き起こる 誹謗中傷を言っては逃げるヒットアンドアウェイで撒き散らされた無責任な言葉たち。 あれは人が人として発した言葉なのだろうか。 多種多様な意見や価値観を持つ人と人が この世の中にいて当然だ。 対峙するテーゼをぶつかり合わせて もう一つの何かを見出す議論でもない。 昔、SNSはおろかインターネットさえ存在しなかった時 そこには真反対の考えをもつ人間同士が 自身の存在意義を賭し

精神科は、なぜ特定の妄想のみ治療、監禁すべきものとしているのか

 あなたが、早朝、テレビのスイッチを入れると、どのチャンネルでも星座占い、血液型占いという妄想が流れているのを目にするだろう。  かつては、夕方になると、江原啓之や細木数子などが出演し「あんた地獄に落ちるわよ」などと根拠のない妄想を語る番組が流れていた。それだけではない。社会とは、そもそも紙幣、宗教など集団の妄想で成立している。    その社会において、特定のもののみ、精神科医学会が投薬治療して、その考えをなくすべき妄想の例として流布している。   あまりに不自然すぎるで

精神科医と、うつ病患者、必読の書「賢人と馬鹿と奴隷」は風刺小説として絶品

 天才作家、魯迅は、現代社会を3頁の短編小説で風刺して見せた。「賢人と馬鹿と奴隷」というタイトルで。  奴隷は、奴隷主からの待遇を賢人に愚痴る。賢人は、奴隷主と利害が一致する支配者層の人間なので、目先、気持ちの良い言葉だけかけて、奴隷に地位向上などさせないように奴隷をコントロールする。奴隷は、馬鹿にも愚痴る。馬鹿は、お前が辛いなら、苦しいなら、そんな制度ぶっ壊せばいい。権利を求めて立ち上がれという。奴隷はびっくりして、馬鹿を追放して、奴隷主に褒められる。褒められたことを賢人

俺のオートバイ、彼女の馬

若干の入場制限などもあるようだが、この年末も数々の大きな競馬のレースが開催されているようだ。そんな競馬の話をニュースで聞く度に懐かしく思い出す光景がある。 *** 学生の頃、無性に日本を出て生活してみたくなり色々調べて見たのだが、どのような方法で日本脱出するにせよ、やはり最初は結構まとまった資金が必要そうだというのが結論だった。そこで俺はその準備や調査と並行して、てっとり早く金になりそうなバイトをいくつか掛け持ちして、短期集中的に身を粉にして働いたのだった。 バイク便も

脱サラして小説家

 2022年3月、「下弦の月に消えた女」でデビューした脱サラの小説家です。サラリーマン時代はエプソンでPOSレジの企画開発をしていました。私が開発した初代レシートプリンターの印刷速度は毎秒50㎜でしたが、今の第7世代のプリンターでは毎秒500㎜、隔世の感がありますね。  法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことから、企業は65歳まで再雇用の義務があります。私が勤める会社は55歳以降雇用更新となり、年収が激減する給与体系でした。55歳未満に早期退

WEB小説ってどこに投稿したらいいの?

まず、小説投稿サイトにはカラーがある。だから、合ったところに投稿したらいいじゃない? という話なんですが。 問い : WEB小説はどのWEB小説投稿サイトに投稿したらよいか。 答え : 投稿しようとする作品の雰囲気、対象読者、ジャンル、カラーの近いサイトに投稿するのが望ましい。が、絶対ではないので、雰囲気が近い複数のサイトに並列で投稿するのがおすすめ。 では、雰囲気やカラーってどうしたら分かるのか? そのサイトから賞を受けて出版された作品群や、募集しているミニコンテス

【随筆】映画Winnyを観に行きたいけど、近くの映画館ではやってなかった。(謎)

予告編暇になったので、遅くなったけどWinnyの映画を観に行こうと思ったのですが、近くの映画館ではやってませんでした・・・・ さすがに3月10日に始まって上映終了は早すぎるので、そもそも映画館や大手のシネコンでは上映対象になっていなかったと考えられるのですが、映画の内容が検察が悪者になるストーリーなので、なんか変なバイアスや圧力がかかってたりするのでしょうか?ただの思い過ごしでしょうか? 仕方がないので以下のYouTubeとKindle Unlimitedの原作本を読んで

深沢七郎と陰陽世界の交わり

深沢七郎は民俗学者ではないものの、何千年も前から恐れられてきたものを恐れ、信じられてきたものを信じるという世界観があります。 そんな霊的な世界にある底なしの絶望感とアッケラカンとした痛快さが汲み上げられているといったところでしょうか。 代表作の楢山節考はまさにそうです。 登場人物のおりんは表面的には死にたがりですが、実は社会の掟が村の目、自然の目となって死へ追いやっているというものでした。 年を取っているにも関わらず歯の状態が良いということを年不相応と恥じたり、七十過ぎて

トランジスタ・ラジオ

ラジオといえば 今では当たり前に、トランジスタ・ラジオ。 ほんの50年ほど前までは 真空管のラジオが使われていたと思うと、進化とはすごいものである。 だがラジオ番組自体は、そこまでの大きな変化はない。 昔に比べて、いろんな媒体が増えているので ラジオを聴く人口が減っているのは当たり前のことである。 そんな中、地方のAMラジオで、構成作家兼、ちょい出演もしているわけだが 先日、2クール(半年)最後の収録が終わった。 お陰様で、好評により 次のクールも続投が決