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じいちゃんの家に行った日

宮島で仕事をしているときに、やってみたかったことをした。
じいちゃんの家に連絡なしに行くこと。

宮島駅から近くが最寄り駅。
そこから車で20分のところにじいちゃんの家がある。
私が24歳くらいまで携帯は圏外になっていたようなその集落のような場所。川があり、山があり朝と夕方の5時にはサイレンが鳴り響く田舎だった。


いつもは両親の車に乗っていく場所。
電車でも行ったことがあるけど、駅に必ずじいちゃんが迎えに来てくれていた。

なじみのある場所に、一人で電車に乗って、
駅からタクシーを使っていく、ただそれだけなのに
いつもと違う景色のように見えた。


じいちゃん、ばあちゃん、どんな反応してくれるかな。
よろこんでくれるかなとドキドキしながらタクシーで向かった。


鍵のかかっていない家のドアを開けて
「こんにちは」と玄関に入る。

驚いた様子のじいちゃんとばあちゃんが迎えてくれた。

「あんた、どうやってきたの?」と二人が驚いていたことに嬉しくなり
「あそびに来たよ」と返した。

特に用事はなかった。
ただ行ってみたかった。

じいちゃんはえんに(縁側)できぬさやのしごをする(下処理かな)。
私の不器用さにあきれていたのも覚えてる。
「なれとらんのじゃけそんなに言わんとって」といったら
ちょっとしょんぼりしてた。


ばあちゃんはおしゃべりさん、
世間話をして、宮島での生活のこと、仕事のこととか話した。
じいちゃんもばあちゃんも私が仕事で頑張っているのをすごく喜んでくれた。

どんな小さなことでもほめてくれる母方の祖父母の存在はありがたかった。
「ほうか!」とうれしそうなじいちゃんの顔が私は大好きだった。
「まあ~あんたも大変じゃね!」と心配してくれるばあちゃん。
炊き立てのご飯やおかずをいつも持たせてくれる。


次の日が仕事なので、数時間の滞在をして、
夕方前にじいちゃんが車で駅まで送ってくれた。

またいつでも会えるのに、なんだかさみしくなった。

いつもはそんなことないのに、

電車のなかで泣きそうになりながら
宮島口に帰った。



社会人になって、たくさんの大人に守られていたことに
気づいて、戻れないことを実感した。

守られていた世界からやんわりと引き離される感覚は
寂しくて、不安だった。

親や祖父母はそこにいるのに、なんだかもう別世界の話みたいだった。

何度だってホームシックになったし、
まだ来ないお別れの日をたくさん想像した。


一人暮らしを始めた私は過去と未来ばかりを掘り下げて、想像して
不安ばかりだった。
私は一人で生きていけない、誰もいなくなったらどうしようなんて当たり前に考えていた。



今となっては飽きるほど広島にいて、「今はもうここじゃない」と
感じるまでに達したから東京にいてもホームシックや不安はあまりない。(目的もあるし。)

時間の経過と、社会人としての経験があるからあの頃のように不安ばかりではなくて、

親とも離れた方が大切さとありがたさがわかるようになった。
(近すぎてしんどくなるのも経験した。)

広島での一人暮らしはこの後も経験するのだけど、
県外に住んだ方がより、”自分で決める”が私の場合は多くなった。
常に誰かの意見で生きてきた私だから
初めての一人暮らし(宮島)は不安ばかりだったんだと思う。

今は”自分で決める”の練習中。

☆ベッドをどれにするかも1年以上悩んでいる(父に言われて気づいた。)
(だってもしかしたら引っ越しをするかもしれないし・・・と私がぐだぐだいってる(笑))
☆6000円のテレビボードを買うのに1か月悩んだ。
☆作業机だけ先に買って、椅子を決めるのには2週間かかった
☆ゴミ箱を探すのも1週間かかった。
☆即決で買ったラグはサイズと素材にちょっと後悔してる。

めんどくさがりな私は決めることさえも投げ出したくなるけど、
「妥協すんな」と言ってくれる妹がいる。(ありがたい)

ちゃんと私の「これが欲しい!」「好き!」に時間をかけて
知ることが今年の私の課題でもあるかな。


ちゃんと自分のこだわりと向き合うことで
手にするたびに達成感と満足感がある。

テレビボードの組み立ての時には
家具の組み立てをするのが好きなことにも
気づくことができた。

(ヒロミさんや森泉さんがテレビでDIY企画やってるの見るのが
好きだったことにも気づいた。)


占いや人に褒められることが好きな私は
私が知らなかった言葉でわたしを知ることができるのが楽しくてたまらないし、

文章で人の心に気づきを与えることができる人も好き。


時間や天気、気分によって香りや音楽を細かく分けていくのも好き。


自然に触れるのも、

動物たちと触れ合うのも、

言葉も好きだけど、言葉以外で通じ合うことも

好きな声があるところも

私はすき。




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