小田らいあ

小説を読んだ感想を延々と上げるアカウントになるはずです。忘備録に近いので、基本的にネタ…

小田らいあ

小説を読んだ感想を延々と上げるアカウントになるはずです。忘備録に近いので、基本的にネタバレします。

最近の記事

毛利蘭ってケアテイカーじゃない?

 きっかけは好きな芸人のyoutubeで「毛利蘭より灰原哀派」という話が出たからであった。曰く、蘭の魅力が分からないと。それを聞いて、中学生以来コナンを見ていない自分も当時灰原哀の方が好きであったことを思い出した。当時の自分も確かに蘭に魅力を感じていなかった。哀の悲しみを抱えながら微笑む表情や、一見他人を批判するような態度をとるように見えて自分を二の次にして動く性格がぐっと来たのかもしれない。あと見た目が好み。声も好み。  しかし、蘭にはそこまで魅力がなかっただろうか?という

    • 7.奥田英明「精神科医伊良部シリーズ:イン・ザ・プール、空中ブランコ、町長選挙」を読んで

      何にも考えたくないけれども、小説を読みたい。つまりシリアスではなく内容が分かり易い小説がいい。 それで思い出したのが奥田英明の伊良部シリーズである。 僕は発売当時に読んで爆笑した記憶があった。もう20年近く経過しているが、内容は覚えていなくても「何だか楽しかったな」という感覚は忘れられないものである。 そう思い立って調べてみると、昨年シリーズの新刊が出ているではないか!新刊を読む前に、以前読んだものを再読することにした。 久々に読んでみると、爆笑までとはいかないが、やはり

      • 6 遠藤周作「私が 棄てた 女」を読んで

         70代の知り合いが「この本いいよ」と言っていたこともあり、期待して読んだ。  主人公の森田ミツは遠藤周作にとって思い入れのある登場人物であり、どこかのエッセイで自分自身の理想を具現化したと言っていた気がする。  しかし、僕がこの本を読んで思ったのは、果たしてこの小説に表現された自己犠牲的な生き方は、2024年を生きる若者が理解できるのだろうか?ということであった。  今テレビでは「不適切にもほどがある!」という番組をやっており、そこで「頑張れ」という声かけをされた社員がそ

        • 5 片口安史「作家の診断」を読んで

           作家に対してロールシャッハテストという心理検査を実施し、作家の性格像を炙り出そうとしたもの。  専門書であり、僕のような素人には読んでも分からないものが多い。  しかし、テストを実施した作家のラインナップを見てみると、錚々たるメンツである。自分が読んだことがある作家だけ述べると、三島由紀夫、江戸川乱歩、井上靖がいる。  さらに、実施しようとしたが予定が合わず断念した作家として谷崎潤一郎、志賀直哉、川端康成、安部公房、松本清張が挙げられている。  安部公房の結果見たかった

        毛利蘭ってケアテイカーじゃない?

          4 「孤高の人」小説版(浅田次郎)と漫画版(坂本眞一)

           僕は漫画版を先に読んだ人間である。漫画版は浅田次郎先生の「孤高の人」の舞台を現代に移し、坂本眞一先生がストーリーを再構成してヤングジャンプで連載していた。   漫画版を読み終えた後に原案である小説を読むと、両者の同じ部分や異なる部分が理解できて楽しかった。  以下ではその異なる部分について3点にまとめて触れていきたい。 ①主人公の性格。  漫画版では朴訥としているのに加えて人を避けている印象を受けた。過去に友人が校舎から飛び降りた現場に居合わせてしまったことで悪い噂がたっ

          4 「孤高の人」小説版(浅田次郎)と漫画版(坂本眞一)

          3 遠藤周作「沈黙」を読んで

           「沈黙」において、読者に伝えたい主題は大きく分けて3つあると僕は考える。  ①神を最後まで信じることができなかった弱き者の気持ち。  ③日本におけるキリスト教は変質してしまった。  ②神の日本における役割とは何なのか?  ①神を最後まで信じることのできなかった弱き者の気持ち。  小説ではキチジローが弱き者の象徴として出てきており、神を最後まで信じて殉教していく強き者と弱き者の対比という構図になっている。  一方で、神を信じて殉教することが本当に強き者を意味するのか?という

          3 遠藤周作「沈黙」を読んで

          2 村田沙耶香「消滅世界」を読んで

          現代のマジョリティとマイノリティを逆転させた世界観。 僕達が抱いている「世界の常識」とは逆の常識がここでは展開している。性行為をして自分を産んだという母親を、主人公が軽蔑するシーンがある。 なんで父と母が性行為しただけでそこまで軽蔑するのか?とこちらは思う。しかし、「昔は子どもを殴って教育したものだ。今の教育は腑抜け」や「昔は残業が当たり前」など、前時代的な考えを押し付けてくる人は少なからずおり、そうした人たちを煩わしく思う気持ちなら体験したことがある。おそらく、主人公の気

          2 村田沙耶香「消滅世界」を読んで

          1 村田沙耶香「地球星人」を読んで

          「コンビニ人間」で有名な村田沙耶香さんの作品。 主人公の奈月はポハピピンポボピア星からやってきた使者であるピュートに勧誘された魔法少女である。これだけ書くと、すでに「コンビニ人間」を読んで作者の作風を知っているせいか、「僕と契約して魔法少女になってよ!!」のアニメのようになってしまうのではないか…と懸念してしまうが、おそらく奈月は魔法少女と思い込んでいるだけで、魔法少女でもなんでもない地球人である。 僕も子どもの頃はドラゴンボールのブロリーごっこをして遊んだものだが(他男児に

          1 村田沙耶香「地球星人」を読んで