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貧困地域の教育事情

インドにおける多くの日本人のお子さんたちは日本人学校やインターナショナルスクールなどに通っているだろう。BSE、ISBE、IB等いくつかboardがある中、帰国前提の方が多いため恐らくIBか日本人学校が多いと耳にする。

日本に戻る前提の方にとってはCBSE自体もなじみが薄いかと思うがインドで最も一般的なのがこのカリキュラムであり、インド最高峰のIIT,IIMに進学する人たちもこのカリキュラムで学んでいる方の割合が圧倒的に多数で近年は日本でも見られる。

 一方NPO法人結び手が活動する田舎やスラムエリアでは学校に行けて公立の学校に行っている。村によっては学校教育を一切受ける機会が無い村も多く存在している。

NGOの学校でも月50INR程度の学費を徴収するところがあり、払えず(払わず)に通わせずにいる家族も多い。一方で無料の私立学校という枠組みも存在している。

ここまで取り急ぎの大枠を記載したが、私が実際に教育活動をする場所の例をもとに以下いわゆる貧困層の方の教育事情を具体例とともに記載する。
インド最貧州であるビハール州の活動地域において、私たちは小学校1年生レベルの教育から基礎教育の普及活動をしている。裏を返せばそのような基礎教育が行われていない場所が当たり前のように存在している。とはいえ多くの訪問する村、恐らく7割ほどの村には公立の学校が存在している。しかし教育は行われていない。

何度同じ村を訪問し、当該の学校を訪問してみても、村人に聞き取り調査をしてみても教育は行われていない。


ある日は子供たちが建物の外にいるが先生が来ていない。また別の日には先生がきているが彼ら彼女らは外で椅子に座ってくつろぎ、スマートフォン片手に談笑し、生徒は校舎の周りで遊んでいる。


これが実態だ。

親も教育を受けたことが無く、文字の読み書き、簡単な計算ができないことも多い。何人家族なのかを質問をすると6人だと即答するが、指折り数えてみて5人だったということもあった。親が教育を受けたことがなく、教育の価値自体を理解できていない、先生も上記の状況。その中で子供たちは当然の様に10歳前後の子供でも簡単な現地語も英語のアルファベットも分からず、計算もできない。


 また別の工業地帯でも活動しているのだが、この地域も問題が多い。工業地帯に存在するスラムの問題は以下である。「身体が大きくなれば仕事があるから勉強なんてする必要はない」という価値観があり、子供たちはその辺で遊んでいる。

今18歳前後の人は工場で仕事ができており、たからこそ次の世代もその前提でいる。だが果してそれは本当だろうか。

ファクトリーオートメーションの導入が進み、文字の読み書きや計算を出来ない人ができる仕事、単純作業の肉体労働が、今7歳、8歳といった年齢の子供が成人するまで果たして存在するだろうか。私は疑問に思う。工業地帯では会社のCSRが盛んに行われており、公立の学校への支援の話も多く耳にする。学校を塗り替えたり飲み水を提供したりしている。

それらは今教育の価値を理解していない人にとってはどの様な社会的責任を果たしていると言えるのだろうか。そもそも公立の学校には政府予算が組まれており、その予算は適切に活用された上で学校の塗り替えや水の手配が必要なのだろうか。

いわゆる貧困地域で私たち外国人が活動する上ではまず実態を理解し、現場の方々から信頼をえつつ本当の課題を知ることが第一歩だと考えている。
そうでなければ貧困地域における教育は現状のままか怠惰の助長による悪化を招きかねないと懸念しつつ、子供の今という時間を大切に、学ぶ機会を与え続けていくのが私たちの活動である。

活動支援、こちらからお願いします。


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