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成人発達理論から見るリーダーシップと交渉学 −4-

vol.0010−4
■下記の論文から
『成人発達理論から見るリーダーシップと交渉学』渡邊竜介
日本説得交渉学会誌 2019年、Vol.11、p1-13.13p.
https://web.p.ebscohost.com/abstract?direct=true&profile=ehost&scope=site&authtype=crawler&jrnl=18834310&AN=140939225&h=9lqa%2fq8ydFwP8w3BxgmrHOswz29C1SCdpKyovAflh7SVPmOvgxCXxwnw94VkI12vKwj0b4ykcdeHWMQtv4Caqw%3d%3d&crl=c&resultNs=AdminWebAuth&resultLocal=ErrCrlNotAuth&crlhashurl=login.aspx%3fdirect%3dtrue%26profile%3dehost%26scope%3dsite%26authtype%3dcrawler%26jrnl%3d18834310%26AN%3d140939225

▶︎成人発達理論から見る交渉学
それぞれの発達段階で構想そのものの目的と戦略が変わってくる。したがって、自分がどの段階のマインドに基づいているのか、交渉相手がどの段階のマインドに基づいているのかを理解することは、交渉をうまく進める上で重要となる。
 自己変容マインドを持った共生型リーダーシップは、まさに「三方よし」の考え方が、交渉を進める上での柱となる。交渉相手とのwin-win関係を目指すにとどまらず、自分と相手と世の中それぞれに配慮して長期的な合意を形成しようとする姿勢は、日本が得意とする考えて方と言える(田村、2014)。

▶︎おわりに:日本の共生型リーダーシップへの道筋とその意義
ここで混乱しては行けない注意点として、共生型リーダーシップは、日本社会に割合多く見られる他律型リーダーシップとは違うという点である。キーガンは、成人発達はそれぞれの階段を順番に経ていくと考え値得る。段階をスキップして発達することはできない。

自己変容マインドを身につけるには、自己の価値観自体を、他のさまざまな価値観と横並びで起き、どの価値観にも特段縛られることなく、それらを客観的に眺め、それらの共通するテーマを認識して全てを包含するような、より大きな普遍性のある価値観を提示できるような思考が必要となる。この部分に関してhあ独立思考が強い欧米の考え方よりも、日本人が得意とする和を尊ぶ精神が、役にやつのではないだろう。

そうした共生型リーダーシップを育む環境を、リーダーはどうやってつくっていけばいいだろうか。一番大切なことは、自分自身(リーダー自身)の成人発達を心がけることである。主体を客体化していくことがキーガンの考える発達である。そのためには、リフレクション(内省・考察)することが重要となる。ハイフェッツ(1994)は「バルコニーの上に上がれ」といっている。自分がどういうレンズを通して世界を見ているのか。自分のレンズそのもののバイアスに注意を向けることが大切である。

もう一つ重要な点は、自分自身の、そして組織の場合は組織の、原理・原則・規範、つまりプリンシプルを持つということである。プリンシプルについては、ダリオ(2017)が主張する通り、金科玉条の永遠のプリンシプルである必要はない。現段階のプリンシプルで良い。彼は、プリンシプルはプロセスだといっている。自分のプリンシプルに忠実になろうとしすぎる傾向がある自己主導マインド(第4段階)から自己変容マインド(第5段階)へ発達していく上で、非常に重要なポイントとなる。

リフレクションとプリンシプルが成人発達の両輪だとすると、それを動かす年人はなんだろうか。それは好奇心である。
好奇心を失うと、発達できない。発達できないと変化できない。好奇心は変化の原動力と言える。では、大人になると変化しにくくなるというのはどういうことか。それは恐れが生まれる体。変化に対する恐れ。もう一つは、変化に対する保身だ。変化に対する恐れと保身が強まってくると、思うように変化ができない。冒頭の引用でも述べたように、変化できないことほど危険なことはない。

リーダーとして組織やチームメンバーが発達できる環境を作るにはどうしたらいいだろうか。発達するためにはある程度のチャレンジ(課題)が必要である。ただしちゃんレンジが大きすぎると、人は潰れてしまう。したがって、リーダーがやらなければいけないことは、メンバーが着実に成長できるお湯に、チャレンジとサポートを巧みにコントロールすることである。

組織全体のメンバーのリーダーシップを育むリーダーシップ。キーガン(2016)はそうしたリーダーシップが発揮されている組織を発達し甲型組織(deliberately developmental organization :DDO)と呼んでいる。

今日の私の面白Point:美しい!
とても美しい論文だ。渡邊さんと直接話をしたい。
ロバート・キーガンに学びたい。


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