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『大吉原展』に行ってモヤモヤした

2024年03月26日-05月19日
東京藝術大学大学美術館

会場にて

開催前から物議を醸している展覧会に行ってきました。

吉原に関しては聞いたことがあるけれども、知識がなかったため驚くことがたくさんありました。

訪れる前は、吉原と聞いて、性的サービスを行っているお店が集まっていた地域という認識だったのですが、地域というよりは、男達の性的なテーマパークのような場所だったという印象を受けました。
富を持つものが1つの大門から入場し、帰りは見返り柳を見て名残惜しく帰るというのはまさにテーマパークのような場所であると感じました。


東都名所新吉原五丁町弥生花盛全図
歌川広重作



特に感じたことは、「女性搾取が、政府公認で行われていたことへの違和感」「現代の吉原を美化する風潮への違和感」です。
吉原は親によって売られた女性が借金返済のため働かされ、外出は許されず、休みは年に2度ほど、大半は性病により早死するという人間として扱われない状況であったということで紛れもない人権侵害です。

それが徳川幕府公認で行われていたことが当時の日本における人権意識の無さの現れであると感じ、それが近代の日本まで300年近く続いたということは男尊女卑、現代の女性が差別を受けやすいことに潜在的につながっているのではないかとも感じました。

また、この展覧会の構成にもどこか足りない点があるように思えました。
全体を解剖するような名前の「大吉原展」と称すのであれば、年齢制限を設けるなどして、より生々しい当時のリアルな話をキャプションに記載するべきではないのかと感じました。

今回の展示会を訪れただけでは、事実として何が行われていた場所なのかが自明のこととされ、はっきりと理解することができませんでした。
性接待の場所かと思いきや、女性は楽器を弾いたり、狂歌を読んだりもしていたとのことで、もしかして女性にとって楽しい場所だったのかな
なんて感じた場面もありましたし、虚構な場所での事実を知りたいにも関わらず、表面しか扱わず、エンタメとしてのファッション、狂歌などに焦点を置いていた点が残念でした。

また、展覧会の中で何度か、「私たちは人権侵害に反対する」という旨の運営の言葉がありましたが、後期の吉原内で働く女性の写真が展示されており、働かざるを得ない場所で、拒否できず撮影された女性を展示することは人権侵害であり、セカンドレイプとも言えるのではないかとも感じました。

吉原という存在は文化的に切り離せない場所であるため、今後もこのような展覧会が開催されると考えられますが、展示は当時の倫理観ではなく、「現代」の倫理観でされることが好ましいと感じました。

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