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Bounty Dog【清稜風月】

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遠く、でもいずれ来るだろうこの世界の未来を先に走る、とある別の世界。人間達が覇権を握るその世界は、人間以外の全ての存在が滅びようとしていた。事態を重くみた人間は、『絶滅危惧種』達…
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2023年7月の記事一覧

Bounty Dog 【清稜風月】123-125

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 “あいつ”が此の場に居ない事が、非常にもどかしかった。己は視力が良いだけの猟師であり、甘夏や槭樹のような権力は持っておらず、ヒュウラや”あいつ”のような高い身体能力も備わっていなかった。
 睦月は日雨の家の物置部屋の中で、2歳の時から集落同士で交流があり、付き合いが長過ぎて腐れ縁状態である、東洋の隠密部族の里出身の”もう1人の幼馴染”がこの家に残している、櫻國の外の世界についての資料を

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Bounty Dog 【清稜風月】121-122

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 睦月と槭樹が探しているSは、現在意識が無かった。”一応”仲間であり所属している小規模組織では最下っ端の存在でもある筈のKに暴行されて気絶させられ、櫻國の西洋化時代の遺産の1つである、外国人向け医療施設の集中治療室に強制的に入れられていた。

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Bounty Dog 【清稜風月】119-120

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 槭樹・イヌナキは『神経質で面倒臭い民族』だと外の世界の人間達の間で評判にされている櫻國人達の中でも、特に神経質で考えが極端になりがちな人間だった。指導者争いをしている彼の姪である帝族宗家の姫君、甘夏・カンバヤシと戦(いくさ)をすると港の広場で告げてきたが、相手が冗談を言うような人間では無いと睦月・スミヨシは重々理解していた。
 甘夏とは25日前にヒュウラを介して知り合い、今では公務中の

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Bounty Dog 【清稜風月】117-118

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 睦月の中で、槭樹もK容疑から外れた。日雨の手紙に微塵も興味を示さなかった上に、公に誰にも存在を知られて無いのにわざわざ己の事を他の者に教えてから探す素振りをするというアリバイを作る犯人なぞ、存在しないと思ったからだった。
 更に槭樹の言葉を聞いて、睦月の中で麗音蜻蛉殺し情報を和菓子屋に提供して和菓子屋を”捌いた”犯人が2人に増えた。Kの他に”S”という人間も関与しているらしい。非常に有

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Bounty Dog 【清稜風月】116

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 ヒュウラの魂胆は、和菓子屋を己の足で潰し壊して睦月の”意味が無い探偵ごっこ”を強制終了させてから、山から出ると死ぬ面倒臭い体質である日雨を残り4日の櫻國滞在期間中に捕獲して、シルフィから知恵を貰った後に相手を生かした状態で、睦月を適当な場所とタイミングで撒いてから保護組織の支部まで連れて帰るつもりだった。
 魂胆と真逆の方角に事態が向かってしまっているが、網入り状態から漸く解放されて自

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Bounty Dog 【清稜風月】114-115

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 依頼料は、僅か100エードだった。だが金銭というモノの価値が全く分からない亜人がずっと持っていた物だったので、睦月はヒュウラが至極大事にしている物を己に渡してきたのだと的確に判断した。
 相手への理解力に関しては、睦月・スミヨシはヒュウラの”主人”と同程度で持っていた。リーダーシップ力と面倒見の良さもヒュウラの”主人”と”準主人”に負けず劣らず備わっているが、性格が若干暗めの神経質気味

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Bounty Dog 【清稜風月】112-113

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 槭樹と同じく、己も”火の厄災”で此の世を去った両親の墓守りをしていた。この日は早朝に急用が出来てしまったが、用は直ぐに済んだので予定通り、月に一度の墓参りに来る事が出来た。
 薄い黄色の街着を身に纏っている甘夏・カンバヤシは、公務中に命を落とした己の両親である帝と皇后の墓の笹石に、木製の柄杓で静かに水を掛けた。櫻國では冥土に咲く不吉な花と信じられている彼岸花を敢えて『独立』という花言葉

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Bounty Dog 【清稜風月】111

過剰な憎しみと過剰な愛情は、執着という害になる。執着は無意識に膨れ上がり、膨れ上がり過ぎると己を含めてあらゆるモノを破壊して滅ぼす

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 次に会ったら絶対に始末する。仮に”会ちょ”が指輪用の宝石にあの化け犬の目が欲しいと言ってきたとしても、己は目を加工して回収せずに、苦しめに苦しめてから化け犬を惨殺してやりたかった。
 イヌナキ城での単独任務を亜人に邪魔された北西大陸の某国出身の少年は、緊

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Bounty Dog 【清稜風月】109-110

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 “忍者犬”任務は今度こそ完了した。槭樹と睦月が気を逸らしている刹那(せつな)の隙を付いて曲輪の上に跳ね飛んだヒュウラは、そのままバク転で曲輪の側面にワザと落ちてから、右手に付けた手甲鉤で壁に腕を引っ掛けて一旦停止をした後で、足を壁に付けて強靭キックで城の外に大きく跳ね飛んだ。
 槭樹にも睦月にも、壁蹴りで発生した轟音には気付かれていなかった。ノウ女ことコノハは要らないので放置したままに

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Bounty Dog 【清稜風月】105-106

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 リングの機嫌を直すついでに食事を摂ってきたシルフィ・コルクラートは、国際保護部隊の亜人課・現場部隊支部の一角にある班長室の椅子に座った。執務机の上に置いたノートパソコンと、冷めたダージリンティーが入っているソーサー付きティーカップと弟の写真を順に見る。パソコンの画面は真っ黒だったが、電源は付いていて保護対象(ターゲット)と通信で繋がっていた。
 謎のノイズの影響を受けないよう、通信量を

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Bounty Dog 【清稜風月】103-104

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 強い殺気を、何処からか感じた。出処は近いが何処なのか分からなかったので、人間からの殺気慣れしている乱獲対象である超希少種の亜人は、対処すべき脅威とは思わずに無視した。

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Bounty Dog 【清稜風月】101-102

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 少年は奇襲を受けて吹き飛んだ時に、手に掴んでいた黒い手紙を無意識に離していた。血のように赤黒い不気味な色をしている蝋印が貼り付いた”脅威へと誘うメッセージ”は、通路に落ちると直ぐに風に吹き揺らされて、本丸に向かって少しずつ動いていった。

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Bounty Dog 【清稜風月】100

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 真緑の目をしている人間の少年は既に動いていた。虹彩が金、瞳孔が赤い特殊な配色の目を持つ亜人の青年も、動き出す。
 焦茶色の目をしている人間の青年は、声の音量を増大させる小型の機械を足元に置いてから対人用の狙撃銃を構えた。同じく焦茶色の目をしているツインテールの黒髪女は、二丁拳銃を装備しながら激推し亜人の背に密着している。
 城に吹く穏やかな風と強い気配が、少しだけ遠くの地にいる焦茶色の

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