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Bounty Dog【アグダード戦争】

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遠く、でもいずれ来るだろうこの世界の未来を先に走る、とある別の世界。人間達が覇権を握るその世界は、人間以外の全ての存在が滅びようとしていた。事態を重くみた人間は、『絶滅危惧種』達…
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2022年4月の記事一覧

Bounty Dog 【アグダード戦争】85-86

85

 余分な時間は一切無かった。ーーお互いに。だがミトとヒュウラはお互いに、相手の状況については一切何も知らなかった。
 事実は『空』には行っておらず、ミトと同じアグダードの地で元気に生きているが、直ぐに死んで本当に『空』に行く可能性も十分にあるヒュウラは、己が直ぐに死ぬ可能性がある事も一切知らないし、例え知っていても切り抜ける自信は”未だ”あった。
 ヒュウラがコレから“叱る”相手は、朱色目

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Bounty Dog 【アグダード戦争】83-84

83

 建物を根本的に支えている”大黒柱”が崩壊した。『箱』があらゆる方向から悲鳴を上げて傾き出す。柱が倒れた方角の東エリアが瞬く間に潰れると、北と南エリアも天井が床を押し潰していった。
 人間の兵士達も悲鳴を上げて逃げ惑う。コルドウも迫ってくる驚愕してあぎゃあぎゃ騒ぎ出した。頭を布でグルグル巻いたモグラを担ぎながら、仏頂面のヒュウラは西エリアに向かって走る。
 西側の壁だけ壊さずに残していた。

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Bounty Dog 【アグダード戦争】80-82

80

 4階西エリアの端の部屋に、ヒュウラは辿り着いた。背負っているカスタバラクの護衛兵を、床に開いた穴の中に放り投げる。追いかけてきたもう1人の護衛兵がライフル銃で撃ってきた。3発連続で撃って、ヒュウラは全て身を捻って避ける。
 狩人との銃撃攻防戦は、保護官のミトと『世界生物保護連合』に保護されるまで、非常に高級な生物素材を持つ生き物であるヒュウラは日常茶飯事であり、生き残る為に身体が銃の攻撃

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Bounty Dog 【アグダード戦争】75-76

75

 4階の床から天井までの高さは、他の階よりも高く設けられていた。部屋に置かれている棚の上からでも足が全く届かない為、穴を開けるのは諦める。
 ヒュウラは4階でも梁の上を走って移動した。天井から悲鳴が幾度となく聞こえてくる。最上階のコルドウが暴れているようで、悲鳴は亜人を捕獲しようとしていた人間の兵士達の断末魔だった。
 ヒュウラは一切反応せずに、連れてくる相手を迎えに行く。

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Bounty Dog 【アグダード戦争】73-74

73

 ヒュウラとコルドウとカスタバラクが居るアグダード地帯南西部の端にある軍事施設は、主な資材にコンクリートを使用している箱型の建物で、内部は全ての階が同じダイヤ型の構造となっている。
 5階建てで中央に建物全体を支える大きな柱があり、柱を支えるように十字に厚い壁が設けられている。建物は壁で仕切った東西南北にエリアが分かれており、特徴的な部分としては、2階北エリアの武器収納部屋の奥に隠し部屋。

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Bounty Dog 【アグダード戦争】71-72

一度誤って思い込んだものは、他に真を教えられない限りなかなか訂正出来ない。

71

 戦闘が、3箇所でされていた。1箇所は一方的に攻撃していて既に圧勝での終わりに差し掛かっており、もう1箇所での戦いは他の箇所にいる者は誰も存在を知らない極秘の戦いで、アグダード及び全ての人間の運命を賭けた最も重要なものだった。
 ミト・ラグナル保護官と”アグダード民間お掃除部隊”の副将である朱色目の黒布がしている

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Bounty Dog 【アグダード戦争】70

70

 モグラの亜人コルドウは、最上階で仲間のモグラ達を延々と探していた。群れの仲間のサニリーとパッチョムの名前を繰り返し繰り返し呼ぶが、一度も返事が来ない。
 一つ一つ部屋に入っては探して出ていくが、やはり仲間の姿は見つからない。困り果てたコルドウは、暗闇に覆われた通路で座り込んで独り言を呟いた。
「休憩したいでござんす。お豆また食べたいでやんすう。あのお犬さんに、貰ってくるでそうろう。
 …

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Bounty Dog 【アグダード戦争】69

69

 2階まで梯子で降りてきたカスタバラクは、後を付いてくるガスマスクを被った護衛兵達にカードキーで操作出来る専用エレベーターを使うよう説得されるが、全ての言葉を無視した。爆弾を体に巻いた警備兵が群がっている場所に歩み寄ると、突然現れた本物の大将に吃驚しながら慌てて道を開けた兵達の間を通り過ぎて、ヒュウラが床に大穴を開けた仮眠室の内部を確認した。
 天井に貼り付いた悍ましいモノと床の穴を見るな

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Bounty Dog 【アグダード戦争】65-68

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 カスタバラクは機械を使う用事を終わらせたようで、琥珀の眼鏡を外し、椅子から立ち上がった。被っている軍帽の向きを手で調節してから歩き出すと、頭から血を流して倒れている兵士の死体を、其処に無いかのように平然と踏み付けて部屋を出て行く。
 即座に数人の兵士が後を追い掛けた。護衛兵らしく、爆弾を巻き付けていないが、ライフル銃を握っている。
 ヒュウラもコルドウを連れて最上階の見張り部屋を出た。コ

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Bounty Dog 【アグダード戦争】61-62

61

 ヒュウラと、爆弾付き壺亜人となっているモグラの亜人・コルドウは、コルドウの消えた仲間達の捜索兼ヒュウラが”叱る”を会得する為の実践対象”ターゲット”探しを、カスタバラクの勢力『アグダード新王国』が秘密に作っている軍事施設の中で行なっていた。
 4階の東側から北側に移動して直ぐに、ヒュウラがコルドウを盾にして隠れた。爆弾を体に巻き付けた人間達が、最上階に登る梯子の近くで群れている。仏頂面の

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Bounty Dog 【アグダード戦争】60

60

「今のアグダードには3つの勢力がありまして、カスタバラクの『アグダード新王国』、ファヴィヴァバの『アマル』……希望という意味です。と、イシュダヌの勢力。イシュダヌは国を作ろうと思っていないので、勢力名がありません。ただ、あいつは麻薬と奴隷を売買する商会の長で、本当にゴミしか集まっていません」
 カスタバラク邸の部屋の一室で身を伏せている朱色目は、隣で同じ体制を取っているミトに、アグダードを

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Bounty Dog 【アグダード戦争】59

59

 ヒュウラの真上に、天井と床を隔てて人間が居た。浅黒い肌と白い髪をしたアグダードの現地人の男で、木製のベッドの上で寝転がって、雑誌を読んでいる。
 雑誌はアグダード地帯の外の国が発行したもので、表紙にはアグダード以外の各国の美男美女の人間の写真と共に、人間の世界共通語の文字で「世界の美しい顔100選」と書いていた。
 興味無さそうに、美しいと称される人間達の顔を適当に流し見てから、雑誌をゴ

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