Bounty Dog 【アグダード戦争】60

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「今のアグダードには3つの勢力がありまして、カスタバラクの『アグダード新王国』、ファヴィヴァバの『アマル』……希望という意味です。と、イシュダヌの勢力。イシュダヌは国を作ろうと思っていないので、勢力名がありません。ただ、あいつは麻薬と奴隷を売買する商会の長で、本当にゴミしか集まっていません」
 カスタバラク邸の部屋の一室で身を伏せている朱色目は、隣で同じ体制を取っているミトに、アグダードを脅威に晒している3大勢力について説明していた。屋敷の1階から2階に移動していたが、2階は1階に比べて警備兵が、ある程度の数で巡回していた。
 客用らしき寝室で一時的に退避しながら、進行する機会を見ていた。狙いの場所の位置は1階の玄関ホールから全体を見上げて、粗方把握していた。3階の最奥にあるカスタバラクの寝室で待ち伏せして、本人が部屋に入ってきたら”爆発”させる個人作戦を計画していた。
 警備兵が頻繁に通路を行き来する。隙が見つからずにイライラし始めた朱色目は、己の気を落ち着かせる為に説明を続けた。
「1番兵の数が多くて人気があるのがカスタバラクの軍ですが、カスタバラク自体が非常に、ある意味で1番危険な人間なんです。あいつが命令したら、下のゴミどもは全員言う事聞きます。どんな無茶苦茶を言われても絶対に言う事を聞く忠犬しか居ない危ない軍でして、放っておくと勢力が膨張し過ぎてアグダードを滅ぼされそうだから、早急に掃除が必要になってます」
 ミトは説明を聞きながら、指揮が上手くて人望が非常に厚い人間なのかと推測した。爆弾自爆人間を平気で作る人間だと直前に聞いていたので、相手は人を人と思わない危険人物だと、認識を直ぐに改めた。
 朱色目は話を続ける。
「この掃除部隊も、もしゴミじゃ無いとして入りたい勢力を聞かれたら、私も含めて大体皆んなカスタバラクに行きたいと言います。何故か軍曹はファヴィヴァバが好きです。裏切ってたら笑いましょう」冗談を言って、朱色目は目を緩ませた。親友の軍曹の話をした事で、朱色目の気が落ち着いたようである。
 隙を漸く見つけた。朱色目はミトを連れて部屋を出て通路を疾走すると、一気に3階まで駆け上った。最上階に着くと、直ぐに置物の陰に隠れる。
 最上階は、異常な数の警備兵が居た。20数人程の大勢の爆弾を巻き付けた兵が、最奥の扉の前で群れている。
 喪失対象”ロストターゲット”の寝室で、何かあったようだ。

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