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「政治参加でその人がその人らしく生きられる社会を」 【広島県尾道市】たなか ふみえさんに政治に挑戦する想いを聞いてみた!

こんにちは!FIFTYS PROJECTです!
『推しを見つけて応援しよう!』FIFTYS PROJECTインタビュー企画#7では、広島県尾道市のたなか ふみえさんに、政治家を目指した理由や、政治家になってやりたいことをお聞きしました!

 4年前に移住した尾道市で、これまで様々な活動をしてきたたなかふみえさん。コロナ禍でママ友を作る機会もなく、生活の困りごとに直面したとき、「市民の声をもっと市政に!」とおのみち市民アンケートを1人で実施した行動力の持ち主です。2020年新型コロナウイルス感染症が拡大する中、市民の生活にどのような影響があり、どのような不安を抱えているかなどをオンラインで聞きとり、市に提出しました。たなかさんは「これまでは政治に参加しにくいと思われてきた女性・子育て中の人が政治に参加すると、まちの問題をすくい上げる力が上がるんですよ!と伝えたいです!」と目を輝かせます。

前を向いて微笑むたなかさん

政治に関心を持ったきっかけや、市議会への挑戦に踏み切った理由は?

 幼い頃から両親が岡山県で市民運動を行っていて、「自分の思い、やりたいことは動いて届ける」という感覚が私にもありました。そして、18歳で母を亡くしてからは「あなたは大切な存在なんだよ」と目の前の人に伝えたい、と願うように。それは、一人ひとりの安心を脅かすものや不安を取りのぞくために行動することにつながっていったのです。2015年7月に安保法制が強行採決された時、私は長男を妊娠していました。「この子が生まれてくるこの国は、戦争をしてしまうのだろうか。この子もこの子の友だちも戦争で命を落としてほしくない!」と、母として人間としてシンプルに思ったんです。安保という大きなテーマもそうですが、日本にはあまり政治に期待していないという雰囲気があると思います。尾道市も市議会議員28人のうち女性は1人しかおらず、政治を身近に感じにくくなっているかもしれません。

 尾道に移住して2年目に大きな台風が来たとき、私は5歳と1歳の子どもを連れて公民館に避難しました。コロナ禍でしたし、狭い空間で子どもが騒がしくしないか気を使い、自宅に戻ったのですが、安全な場所であるはずの避難所のあり方を考えさせられました。行政が整っていないと、様々な困りごとが出てきます。子どもが病気になったとき、子どもを家族に預けられない移住者や転勤族の人たちは、ファミリーサポートや病児保育が頼りなのですが、コロナでファミリーサポートがストップしたり病児保育が尾道の本土側にはない、という問題が浮彫りになりました。安心して暮らしていくためには、政治に参加することが大事だということを市民の皆さんに伝えたいですし、尾道で女性議員を選んだという経験をしてもらいたいです。

挑戦するに至るまでに障害になったものはありましたか?

 活動のための資金面で不安があったので、今回の挑戦にあたっては実家にお金を借りようとして、そのときに夫には反対されました。そして、その実家の父が倒れてしまったのですが、姉たちの理解と協力も得て、夫は反対をしないかわりに、積極的に手を貸してくれることもしませんでした(笑)。でも、なんだかんだで、ゆるっと子どもたちの世話をして、力になってくれています。

政治家になったら取り組みたいことは?

 広いビジョンで実現したいのは、その人がその人らしく生きられるようになってほしいということです。政治はそのためのツールとして利用してほしいと思っています。誰でも政治に参加できるんだよ、私たち一人ひとりの声は社会の大切な声だよ、力にできるぞと伝えたいです。

 具体的にやりたいことのひとつには、病児保育を本土にも備えることです。現在は、因島(※)の中心部に大きな病院があり、そこでしか病児保育が行われていません。尾道市の人口13万人のうち8万人が本土側に住んでいるにもかかわらず、です。その結果、本土側で子育てしながら働いている家族の子どもが病気にかかったときに誰かが駆け付けないといけないという状況が生まれています。しかし、祖父母が子どもを預かってくれる家族が全員ではないので、病児保育が本土側にないと暮らしにくさを感じる場面があります。

※因島(いんのしま):瀬戸内海に浮かぶ島。尾道本土から向かって南に位置する。2006年1月10日までは因島は「因島市」という、尾道市とは別の自治体として存在していた。現在は合併して「尾道市」という一つの自治体になっている。

 また、もうひとつやりたいこととして、市民が全員納得できるかたちでの市民参加の場づくり、仕組みづくりに取り組んでいけたらと思います。他の自治体と同じように尾道市でも人口減少が進んでいて、例えば、他の市町村と同じように尾道市でも小学校の統廃合が進められているのですが、市からの説明が不十分だと感じる人がすごく多いんです。財源にそれほど余裕があるわけでもないのであれば、市民全員にしっかりと説明をして、納得できるかたちで市政の運営を行えるようにしたいです。そのための場づくりが必要だと強く感じます。

大型船を背景に市民と向かい合って座り話しているたなかさん。
「普段の対話から、市民の声をすくい上げていきたい」と語る。

たなかさんにとって、自分だからこそできると思うことは?

 アイデアを形にしたり、それを実現するための作戦を練ることが好きです。私自身が移住者ということもあり、移住してきた人々と地元の人々がつながる場を作りたくて、おのみち山手祭りを企画しました。山手地区の斜面に暮らす住民の皆さんが、お家の軒先に出店し、そこを訪れた若い世代と交流できるイベントです。「おのみち市民アンケート」も、何も伝えないと始まらないし、思っていることを一言書くだけだったら気軽にできるかも、と考えて実施しました。プレイヤーというより、その人たちが輝けるように動きたいという私の性分は、政治の場でも活かせると思います。

尾道市の好きなところ、大切にしていきたいところは?

 なんと言っても尾道に暮らす人々の、人懐っこく、フレンドリーなところですね。子どもがニコニコしていたら、「何があったん~?」と嬉しそうに聞いてくれるご近所さんや、尾道の良さを語るおばちゃん。ここに暮らしていると、安心して素直に生きられる気がするんです。山・海・島・街・船・鉄道がそろったジオラマみたいな風景も大好きです。旦那衆の祭りなど昔からあるものと新しいものが混じりあった居心地の良さも大切にしていきたいですね。

春に向けて、どんな活動をしていきたいですか?

子育てしながら活動をしているんだと知ってくれるだけでも十分に嬉しいです。私みたいな移住者でも、子育てしながら色々な活動をしていることを知るために、ちょっとでもいいから周りの方々にお手伝いをしていただけるとやりがいがあるなと思います。

たなかさんが昨年4月から経営している自然食品のお店の様子。
選挙に向けた活動が本格的になれば、店番を友人たちに譲りつつ選挙事務所として活用するそう。
インタビューを終えて
「子どもたちを戦争に行かせたくないと思ったんです。」と声を詰まらせながら語ってくれたたなかさんの言葉からは、人々が安心して生きられる世の中にしたい!というシンプルでありながら強い信念が伝わってきました。これまでも様々な活動を通して自身の思いを形にしてきたたなかさんだからこそ、きっと尾道市をさらに素敵なまちにするために走り続けて行くんだろうなと感じました!
取材・執筆:あさみ・いくちゃん
取材日:2023年2月3日

たなか ふみえ(基本情報)
1982年 岡山県岡山市生まれ(40歳)/2005年 岡山県立大学デザイン学部卒業。以後、一級建築士として設計事務所、工務店設計部、在宅ワーカーとして住宅設計に従事。2009年 尾道市に転入/2021~2022年 広島県臨時職員/2022年4月~自然食料品店経営(BULK&ORGANIC まるさんストア 尾道市土堂)
おのみち山手祭り、おのみち市民アンケート、投票所はあっちプロジェクトなど数多くの市民活動、イベントを開催。AWAREデートDV防止教育ファシリテーター。おのみちファミリーサポート両方会員。

たなかさんについてもっと知るには?✨
Webサイト:たなかふみえ@尾道 (google.com)
Instagram:maru.sankaku.onomichi
facebook:田中ふみえと、まる・さんかく・おのみち | Facebook          
Twitter:@fumie_onomichi

『推しを見つけて応援しよう!』FIFTYS PROJECTインタビュー#7、いかがでしたか?尾道市のたなか ふみえさんにお話を伺いました!
引き続き、熱い想いをもった素敵な皆さんを紹介していきますので、次回もお楽しみに!✨

FIFTYS PROJECTとは?
私たちは政治分野のジェンダー不平等の解消を目指し、20代・30代の女性(トランス女性を含む)やノンバイナリー、Xジェンダー等の方に対して2023年4月統一地方選をはじめとした地方議会議員選挙への立候補を呼びかけ、一緒に支援するムーブメントをつくろうと活動しています。

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