Fieldism Live Report #19: FALLING ASLEEP Pre. "HEAVEN'S WHERE OUR SOULS BELONG" Release Tour 2023 in Osaka (2023-3-11)
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いつもお世話になっております。Ryotaです。
今年ももう4分の1終わりそうっていうのが時の速さを感じますね。今年は毎週末ライブがあったりするのはもちろんですが、Fieldismの活動としても6月と9月の自主企画(+αで某バンドの初大阪公演のサポート、準備でき次第アナウンス予定です)に向けて動いているのもあって忙しないです。平日は普通に仕事してますしね。
先週末は昼過ぎまで仕事してから①Evilgloomのデビューアルバム ''Addictions'' レコ発大阪編→②ReVERSE BOYZの自主企画 ''BABYLON KILLER NIGHT'' (オールナイトイベント)を経て、今回のテーマであるFALLING ASLEEPの最新アルバム ''HEAVEN'S WHERE OUR SOULS BELONG'' レコ発ツアー大阪編という狂ったスケジュールで遊んでました(タイムテーブルの都合で行けませんでしたが、この公演の後にView From The SoyuzのEPレコ発にも駆け込むつもりでした)。
最初にFALLING ASLEEPを観たときは名作 ''My Heart Still Goes On'' リリースして少し経った頃でその時は叙情要素を前面に押し出した奥ゆかしいサウンドでしたが、年を追うごとに電子音楽を取り入れたニューコアスタイルに変貌。最初に ''Vertigo'' がリリースされたときはそのスタイルの変貌に言葉を失った記憶があります。しかし ''Underneath'' ''HEAVEN'S DOOR'' とリリースされるたびに再びハマっていって今日にいたるわけですが、先日のライブも「やっぱ今のFAもかっこいいな」って再認識させられたのでこうして記事に残す運びとなりました。
行った方は当時の余韻に浸り、行けなかった方も是非当日の様子を想像してもらえたらと思います。なるべく解像度を高くして書いていきますので。
※各出演者・関係者の名前は敬称略になること、予めご了承ください。また、あくまでも一オーディエンスが感じたことなので何か新しい視点の発見や思考のきっかけになったら幸いです。
SUGGESTIONS
トッパーは大阪出身ダウンテンポメタルコアSUGGESTIONS、お互いの自主企画で呼び合ったりスプリット ''Feed Maggots Until We Die'' をリリースしている経緯からもわかる通り、FALLING ASLEEPとは盟友。今年に入ってCYANSEAと一緒に主な活動拠点を東京に移したことで「しばらく帰ってこないだろうな…」とか思ってましたが早速帰ってきました。
正規ギタリスト/ドラマーがいない状況ながら、Sup Dr.にShibo (Sup-Mercy Personality !s Dark)を加えてライブ活動を再開させてホームに帰ってきたSUGGESTIONS。トッパーからその場の雰囲気を作る禍々しさ溢れるパフォーマンスは今回も健在のようで1曲目から ''COLDRED'' ''New Stigma'' とSUGGESTIONS流の「ポップでダンサブルでキャッチーな楽曲」を繰り出してきます。その後セットリストはトラップ・ローエンドな退廃感あふれるインタールード的な最新作 ''South of Heaven'' へなだれ込んでいきます。
セットリストは後半戦となり、傑作 ''OUTCAST''へ。ホラー映画の世界観から影響を受けた作風スケールアップさせ、電子音楽ライクなアプローチを取り入れた説得力のある楽曲でオーディエンスを圧倒していきます。最後は代表曲 ''SERPENT'' でNiiKがお立ち台をもってフロアへイン。一瞬たりとも気が休まらない緊張感・何をしでかすか予測不能なのがSUGGESTIONSの魅力、この後のバンドにも当てはまりますが「フロントマンが単なる歌い手ではなく、パフォーマーとして機能している」一例ともいえるでしょう。
そういえば、NiiKがKaseya (LAST DAY DREAM)と新しくハードコアバンドDOWNEDを始めたんですが、5月にライブ決まってるそうなのでこちらも要チェック。
Vision of Fatima
2組目は京都を拠点に活動するカオティックハードコアバンドVision of Fatima、SUGGESTIONSとFALLING ASLEEP両バンドの自主企画/レコ発でもゲストアクトに迎えたことからもわかる通り、激しさ・歪さに秘められた芸術性というのはこのバンドにも共通しています。そう言ってしまえばSolid Stateのハードコア直系変態カオティック/アトモスフェリックな叙情性のコントラストや、荒れ狂うステージングもどこかアーティスティックに感じませんか?
昨年の秋に長らくバンドを支えていたDr. Mitchが脱退したものの、サポートに携えて精力的に活動しているVoF。''Mad Love'' で幕を開け、定番曲 ''Your Pain / Your Gain'' で激情的でエネルギッシュなパフォーマンスが映えるかと思いきや、嵐の前の静けさを感じさせる ''Pseudomorph'' ではアルペジオのイントロがエモーショナルかつ印象的だったりと、節々で挟まれるVo. Kengoのノイズ/エレクトロサウンドも含めて躁鬱的な一面を見せていきます。
''Mutation'' を経て、久々にライブでやってるのを観た ''The Other Closet''、実はVoFの全作品でトップクラスに好きな曲で、 ''Thirst'' と並んでこのバンドを知るきっかけになったやつです。何度か言及していますが、AzamiとのスプリットEPリリースツアー & Capsize来日ツアーで予習したときに観たMVが印象に残っててライブで観てもその狂気的でアグレッシブな姿に衝撃を受けた記憶があります。懐かしいですね。
最後は最新作の一つ ''Phosphorescence'' で各個人が歪な「塊」となって奏でる強靭なライブパフォーマンスを示したVoF、次はアルバムリリースを控えているダークハードコアkokeshiとの共演が控えており、以下にも相性抜群と言ったところです。
Good Grief
SUGGESTIONS, Vision of Fatimaと続いてレコ発も折り返し、3組目は ''Tokyo Sad Boys'' を掲げるポップパンクバンドGood Grief。昨年にONE & ONLY FESTIVALで喰らってからすっかりファンになったんですが、それは軽快でキャッチ―ながらも所々哀愁を漂わせるサッドなメロディ & Vo. Yasuのエネルギッシュなボーカルをはじめ各メンバーのキャラ・バックグラウンドを際立たせた楽曲が魅力的だからかなと思います。
音源ではNO BRIGHT GIRL(無期限活休中)のDyezoをfeat. したSadメロディ全開の ''July'' スタートでシンガロング、''Pavements'' ではHORSEHEAD NEBULAのKINがfeat.する部分をFAのKodaiがゲスト参加。テンポを落とす部分でぶち上がり必至。そして当日は最新作 ''Feather'' も披露。ジャンルや雰囲気で言えば今回のラインナップでやや異質な印象ではありましたが、「軽快で明るく見えると思いきやほの暗い哀愁も感じる」部分はFAのVo. Vinnyがインタビューで「ポップにユーモアがあるけど結構暗いことを言っているような表現をしている人の作品が好き」っていう節で納得がいきました。
セットリストも終盤に入り、現体制Good Griefのアンセム ''Sapphire'' へ。A Day To Rememberの ''Right Back At It Again'' 張りのコーラスパートが特徴的なこの曲には、タフなシャウトも兼任するGt/Cho. Keisukeのこだわりが節々に感じられます。最後は初期からずっと演奏されているサビパートがキャッチーな代表曲 ''Forever'' でメンバー達にも後で「ずっと笑顔でしたよね?」って言われるほど全力シンガロングして終了しました。
あとライブの話と全く関係ないんですが、Ba. Mattが鍵っ子らしくしれっと「Summer Pockets」おすすめしたらプレイしている様でユナイト感湧きました。この記事読んでるのかわかりませんが、終わったらモデルとなった直島・男木島・女木島に聖地巡礼すると1000倍楽しめますので行きましょう。
VICTIOMOFDECEPTION
トリ前は今回の東名阪ツアーへの帯同が最初の段階からアナウンスされていた東京が誇るデスコアバンドVICTIMOFDECEPTION。2010年代の国内デスコアシーンの立役者というべき躍進ぶりは、今は亡きTRIPLE VISION主催のイベントに(ヘッドライナーも含めて)何度も出演してきたことから明白でしょう。Makito (ex-Breathe My Words)が2代目Vo.になってからはあまり頻繁に音源をリリースしていませんが、その圧倒的な存在感は今でも変わりません。
イントロでVoD流の国歌「1874」でスタンディングオベーション。スタートから ''Suffering'' ''In Hatred'' と、前体制を代表する楽曲の中でも怒涛のブラストビート/スラミング & 要所要所で暴力的に落としていくビートダウン/ブレイクダウンで畳みかけていきます。高低使いわける多彩かつ技巧的かつ邪悪なMakitoのパフォーマンスは、初代Vo. Daichiのそれも劣らない鬼気迫る気迫を感じます。
セトリは中盤戦に差し掛かり、''Mortal Prediction'' ''The Purge'' と現体制になってからリリースされた楽曲陣が襲い掛かってきます。''godless'' の時期ブルータリティとヘヴィネス一辺倒ではなく、(強調しすぎない程度ではあるが)オーケストレーションを用いたことでより神秘的/妖艶な空気を内包した雰囲気で個人的に一番気に入っている作品で、歪さ・美しさのコントラストという点ではSUGGESTIONSやVoFにも共通しているかと感じます。
終盤戦は始まりの曲でずっとライブでも演奏されている ''Anti-Creed'' と最新作 ''False Fame'' で30分(?)のセットを締めくくりました。バンドで初めて8弦ギターを取り入れた ''False Fame'' は ''The Immorality'' ''Anneliese'' あたりを想起させる速さに頼らない不気味さと「力こそパワー」というべきシンプルさを秘めたヘヴィーチューンでドロップが倒壊しないかハラハラしました。
それにしても、直近で出演したライブ(MAD PITやHOTOKEとのツアーetc.)とは違った空気で大人しめの印象だったフロアに対してMakitoの煽り「昔ドロップで何度もライブしてた時はこうじゃなかったけどな~…」は、2017年にFOADと一緒にEPリリースツアーしてた時のことを思い出しましたね。あの頃Breathe My Wordsもトッパーで出演していましたし(懐古厨乙)。彼らが始動したときは平均20歳くらいだったんですが、VoDも来年結成10周年に差し掛かるあたり時代の流れを感じます。
FALLING ASLEEP
大トリはもちろんFALLING ASLEEP、最新作 ''HEAVEN'S WHERE OUR SOULS BELONG ''は次回の新曲特集でも取り上げるんですが、デビューアルバム ''My Heart Still Goes On'' / EP ''Dear Death'' とはまた違うベクトルで傑出した作品だったなと。過去二作もヘヴィな一面とコントラストを描くように奏でられる繊細なメロディは優れていましたが…今回のライブで過去最高のセンスを発揮してくれました。
セットリストは最新作中心でアルバムのオープニングを飾る ''Cue'' ~ ''Monodrama'' & メタルコア+エレクトロサウンドを基軸にした現在のFAをの始まりを象徴する ''Vertigo'' の2曲でスタート。これは今のFAの楽曲全てに共通するんですが、Vo. Vinnyのボーカルの引き出しがすごく増えてましたね。''Dear Death'' あたりからその節はあったんですが、艶やかなクリーンは今作の軸だと感じているし、SUGGESTIONSのNiiKと同じく単なる「ボーカル」じゃなくて「パフォーマー」としてステージに立っているのを再認識しました。
セットリスト中盤は ''HEAVEN'S DOOR'', ''VANDALISM'', ''Underneath'' の3曲。レイブ・ドラムンベース・トラップなどのクラブサウンドを大胆に取り入れた''HEAVEN'S DOOR'' ''VANDALISM'' はアルバムで最もアグレッシブな楽曲で、一気にクラブになってましたね。''VANDALISM'' のMV観るとなんとなく伝わるのは、Dr. Taijuのアプローチが今までの小難しさより他のパートとのシンクロ/シンプルなラインの中にあるカッコよさを意識していた部分はあったのかなと感じます。''Underneath'' は今のFAで一番気に入ってる曲で何回ヘビロテしたか覚えてません。サビのフレーズも気に入ってるんですが、個人的には叙情やってたころを残滓を感じさせるアウトロが好きです。
セトリも終盤に差し掛かり、アルバムを締めくくる ''Get Me'', ''HEAVEN'S WHERE OUR SOULS BELONG'' ~ ''All Angels''で圧倒的な余韻を残していきます。特にキャリア初のバラード ''All Angels''、混沌とした中盤の展開を考えると心が洗われそうな雰囲気には流石にカタルシスを感じてしまいますね。Vinnyのソウルフルなボーカルもだけでなく、色気ある佇まいでギターを弾くGt. Hiroki & タフにシャウトする姿とは一点指弾きでアプローチを変えていくBa. Kodaiにも目が行きましたね。バンドの新しい魅力が垣間見えた瞬間です。
これで終わり…とはいかず、アンコールはもちろんやってくれました。1曲目は宇宙感溢れるインダストリアルっぽいイントロから始まる ''Dear Death''、今振り返ればこの曲が叙情やってた頃と今の音楽性をつなぐターニングポイントだった気がします。VICTIMOFDECEPTIONのMakitoもゲスト参加してフロアは一気に沸き上がりました。最後の最後は ''Brightness Falls''…のはずがなく、1分半にバンドのハードコアな部分を詰め込んだ ''Masquerade'' で終了。音源通りSUGGESTIONSのNiiKもやってきて筆者は変なスイッチが入って流石にぶん回し不可避でした。
翌日は名古屋公演も完遂したFALLING ASLEEP、来週3/20は渋谷Club Asiaでツアーファイナル、しかも終演後にClub MalcormにてTaijuが所属するクリエイターチームLIFE is SAMPLING主催でアフターパーティーも開催するようです。前者はVoDのほかにFOADとC-GATEもゲストに加えた約束されたラインナップ、後者は ''VANDALISM'' でfeat.したTORIENAもDJセットで参加するようで一晩中踊り狂えますね。
末筆
ということで、取り急ぎ当日の様子を残させていただきました。前日に一晩中遊んだのでもしかしたら所々記憶が飛んでて不正確な情報もあるかもしれませんが、その時はDMで指摘してください。
今回のラインナップで共通していたのは、「奏でられる音楽とは対照的な一面を全組明確に表していた」部分だなと思っています。歪さに宿る美しさ、明るさに宿る暗さ、バンドによってベクトルが違いますがそういう芸術性を各バンド持っていました。
日ごろから自分の記事を読んでる方なら納得いただけるかなと思ってますが、個人的にはデスコアやメタルコアというジャンルでよく耳にする「狂ってる」とか「強い」とかいう感想で終わらせるのはもったいないと感じておりますので、もし作品を深く長く楽しむのであれば「コントラスト」「メッセージ性」にも目を向けてみるのはいかがでしょうか?
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