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Fieldism Mini Live Report #1 (January & February 2023, 国内編)

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 いつもお世話になっております。Ryotaです。

 定期的に上げているライブレポートとは別に新しい試みを始めます。昨年も「単純に何も考えずに楽しみたかった」「過去のレポートで紹介したバンドばかり」「ご時勢柄ちょっとこれはレポート書くとなんかいちゃもん入りそうだな…」等をはじめ諸事情でライブに行ってもレポートを上げらなかった公演が多かったです(いつも10,000字超えのライブレポートや新曲特集など全力投球にもほどがある気がしますが)。

 今年は忙しくて書けなかったけどnoteに残しておきたいライブは、定期的にごとに簡易的なレポートにしてまとめようと思っているのでサクッと読めると思います(多分)。実際書こう書こうと思っててもなかなか筆が進まずにもう1年の4分の1終わりそうなんで一気に振り返ろうとしてるだけなんですけどね。

第1回は1月から2月に自分が遊びに行った国内アクトの公演について書いていきます。

※各出演者・関係者の名前は敬称略になること、予めご了承ください。また、あくまでも一オーディエンスが感じたことなので何か新しい視点の発見や思考のきっかけになったら幸いです。

①1/14: Winseth Pre. RE:CREATORS Vol.2

 正月はWest Side UnityやWSUクルーの企画がありましたが、年末年始は(精神的な)帰省後や正月ボケで休みたかったので、少し遅めのライブ初めを姫路で過ごしました。過去の自分の企画 ''Stay Nerd / Stay Emotional'' に出演してもらった姫路発ポストハードコアWinsethが約2年ぶりにライブするというのもそうですが、ほとんど2018~19年に活躍していた同世代の新年会かつ同窓会というのもあったので遊びに行きました。ちなみにこの同名のアニメの名前を借りたこの企画、2019年末にも同じ姫路Betaで開催されていたんですが、筆者はコミケやSquall of Screamが初ライブというのもあって欠席だったので、ライブで姫路に行くのは初です。

Color of Thread

 同世代ばかりが集まる当日のライブで唯一の後輩に位置する神戸発ポストハードコアColor of Thread、現在関西ラウドシーンの最前線でしのぎを削っているのもあってライブパフォーマンスは先輩たちにも引けを取らないものがあります。昨年もPROMPTSDEXCOREなど格上のバンドのオープニングアクトを務めていて確実にステップアップしているのが伺えます。

↑当日の動画撮れなかったのでこちらで

 今回は未音源化の新曲2曲がセットリスト入りしており、11月のSUBLIMINALSのレコ発から披露されているVo. Itsukiのスクリームをフルに活かした、デスコアへのアプローチが垣間見える曲(Buried Alive IIに呼ばなかったからグレたのかと思ってました)や、これまで以上にアップテンポかつアグレッシブな曲もやってたうえに音もソリッドで始めて観た時と比べて何倍も成長していてカッコよかったです。今年は県外に進出してほしいし、もっと県外の同世代と共演できる機会が得られることを大いに期待しています。


Unvision

 主催のWinsethと同じく、自分の企画ぶりのライブになります。昨年は2曲のシングルリリース、一昨年は2曲のカバーMVのリリースと、Vo. Kenjiが香港に帰国しているもののマイペースで活動は続けていたものの、ライブ自体はかなり久しぶりでした。また当日Kenjiはまだ香港ということでVo. はTERUのピンボーカルでクリーンもスクリームも兼任する形に。また、現在ベーシストとギタリスト1名も空席のため、当日はGt. HiroseとBa. Ryoma (キミトアイトハ)を加えて出演する形に。

 実際のライブですが、久しぶりのライブであるにもかかわらず彼ら独特の壮大な世界観リスナーを引き込むドラマ性や、そしてそれに違わぬ各楽器隊のテクニカルでハイレベルな演奏技術が遺憾なく発揮されてて、メインコンポーザーGt. Kuroの才能の塊さを感じましたね。ex. Skygraph/LenzのYukihiroがfeat.した ''In the bloom'' も熱かったですが、最後の代表曲 ''Utopia'' ではいったんやり直しになったかと思えば、まさかの元メンバーBa. Hokutoが一曲だけサプライズでゲスト参加したりと、オーディエンスの中には涙した人もいたとかいないとか…

CYANSEA

 主要メンバーが大阪を離れて東京で活動を移す前の最後のライブとして姫路の地を選んだCYANSEA、昨年春のライブ活動開始以来ポストハードコア/メタルコアを基軸にブレイクビーツ・テクノなどのエレクトロサウンドを取り入れた一聴では予測できないトリッキーなサウンドでオーディエンスを圧倒し、昨年の秋にはBuried Alive IIにも出演していただきました。この公演の前月には前身のSeize The Throne時代の楽曲 ''Raw Heart''を披露したりとサプライズをかましてくれましたが、今回もしっかり用意していたようです。

 セットリスト自体は大枠はBuried Alive IIやSheeSawHarm企画と大枠は変わっていないので割愛しますが、最後にはおそらく初ライブ(行けてない)以降やっていない楽曲 ''Ignition'' を披露。最後のSup Gt. MVCKY & Masayukiのギターソロの掛け合いは改めて彼らの演奏技術の高さを物語りましたね。この後上京して大阪で共演したEvilgloomのアルバムリリースツアーに参加したり、先月には同じく上京したSUGGESTIONSのVo. NiiKをfeat.した ''Divergence 186.'' をリリースしていますので、そちらもチェックを。

OLPHEUS

 今回出演する同世代のバンドの中でCYANSEAに続いて活発に活動しているOLPHEUS、昨年12月もSheeSawHarmの企画に出演し先輩としての貫禄を見せつけてきました。Winsethの一番の盟友として何度も共演してきた彼らですが、昨年は待望のKEEP AND WALKに出演したり、今月はTaken & Hopesfallの来日ツアーに参加したりとここぞという場面で存在感を発揮しています(後者は仕事の都合でOLPHEUSは観れませんでしたが…)。

 一部メンバーが東京在住というのもあり、久しぶりに正式メンバーが全員揃った状態でのライブだったそう。直近でリリースされたEP ''日々を嗤う'' 収録曲もセトリ入りしており、Vo.弾の儚さを持ち合わせつつも伸びやかなメロディ/エモーショナルでリアルなリリックを際立たせた楽曲陣に心打たれた方もいたんじゃないかなと。代表曲 '''' ではもはや定番となっているfeat.も久しぶりにWinsethのボーカルコンビが参加したことで「これが見たかったんだよ感」ありましたね。

Winseth

 導入の部分でも言及しましたが、自分の企画ぶりのライブです。Vo. Takayaが「これ(この企画)終わったらあと5年くらいライブしない」とか言っていたくらい各メンバーの都合がなかなか合わないらしく、Vo. FujiponのMCでも「コロナでモチベーションが下がっていた時期もあった」と話していましたが、それでもこの日のために気合を入れてきたのがひしひしと伝わるライブをかましてくれました。唯一の心残りはGt. Jumpeiが体調不良で5人体制での出演だったということですが…。

  楽曲自体はポストハードコア/メタルコアを基軸にした激しくも切ないサウンドにアニソンやJ-POPなどのキャッチーなメロディをブレンドした「ゆゆゆコア」スタイルを展開。代表曲 ''白銀に淀む'' ''桔梗と鴉'' だけでなく、Fujiponが加入後初の作詞を手掛けた ''催花雨'' と上記のサウンドに古き良きV系チックな影響が垣間見える新曲 ''桜花の逆手'' をライブ初披露。後者で「ゆゆゆの曲はコンテンツネタ切れなんで打ち止め」って言ってましたが、多分また出すでしょう、知らんけど。

 ライブ活動は各メンバーの仕事や家庭の都合もあって中々難しいところがあるそうですが、音源のリリースだけでもマイペースに続けてくれることを期待しています。


②1/21: 提婆達多 & Optimist Pre. VIRGIN

こちらは別でライブレポを上げていますので、下記からご確認ください。


③2/4: Fallen Grace Pre. Declaration of Hostility

こちらも別でライブレポ上げてます、下記からどうぞ。


④2/25: ふじ (PURGE) Pre. Dig For All Vol.3

 2023年初の名古屋遠征はハードコアPURGEのGt. Fujiの個人企画でした。実は昨年の秋くらいから開催が発表されており、岩手・盛岡の''Blizzard Style Core''PRESS ON AHEADのレコ発名古屋編ということもあって早い段階でスケジュールを空けておりました。この公演の前年にはVol.2があり、その時は同じRealize Central Strength (以下RCS)クルーのあおきちも携わっていましたが、今回からFujiの個人企画として動いている様子。あおきちはあおきちで岐阜の柳ヶ瀬Antsで ''Spread Colony'' という個人企画を定期的に開催しています。

Menos of Majority

 PURGEと同じくRCS所属のビートダウン/パワーバイオレンスバンドで、この時は確かまだ2回目のライブでした(初ライブは1月のRCS企画)。ビートダウンハードコアを主軸にしていながらも、時折ブラストビートを織り交ぜたファストなパートを織り交ぜた、緩急の激しい展開がPURGEやWest Side Unity (以下WSU) 所属のUNHOLY11とはまた違う一面を見せていて粗削りながらも自分たちのやりたいことが見えていた印象です。

 ビートダウンハードコアバンドに似つかわしくないKemperを積んだギタリストの時点で変態さがありましたが、アシッドグラフィックから影響を受けたデザインのマーチやロゴのデザインを手掛けているVo. Kyoheiのボーカルスタイルも、声質がかっこいいのはもちろん日本語詞を織り交ぜた訴えかけるアプローチが見えていたのも面白いところです。


Fallen Grace

 二組目はWSU所属ニュースクールハードコアFallen Grace、この日の前に行ったライブが彼らの自主企画ということもありその余韻がまだ残っていた気がします。確か彼らの初遠征も名古屋で、2019年末に行われた名古屋メタルコアCloud 9の自主企画でした。その時は同じ日に行われていた京都のライブからハシゴして遊びに来たWSUクルーもいて異常な盛り上がりを見せてたのですが、あれからもう3年で懐かしいです。

 今回は初遠征の時を超える盛り上がりっぷりでしたが、個人的にはツインペダルドコドコの曲(正式音源がRevolutionaryしかないので相変わらずタイトルがわからない)が後述のGates of Hopelessの ''Recollection'' を彷彿とさせる膝付き慟哭必至パートで個人的にもたぎりました。しつこいようですが、年内には音源出てほしいなあと思っていますので何卒よろしくお願い申し上げます。

PURGE

 2組目は主催のふじが所属しているPURGE、始動から約8か月の間名古屋はもちろん大阪や東京の若手ハードコアイベントに出演し、直近ではOne Step Closerとの共演も果たしたことで徐々にその存在感を表しているのは皆の知るところだと思います。1月には初の正式音源 ''Break on through'' もリリースし、メタリックかつヘビーなビートダウンと時折顔を出すアップテンポな展開の対比はメンバーのハードコアに対する愛を感じます。

 始動してから度々ライブを観ていて今回が確か4回目くらいだったかなと思いますが、今まで見てきた中で今回が一番音の厚みが異常だった気がします。あとはいつの間にか ''Break on through'' でオーディエンスがマイクジャックしてシンガロングするようになっていて思わず拳上がりましたね。巨漢で威圧感マシマシのVo. うすけの輩さながらの煽りも、緊張感があって正直怖かったです。

NISHIKINO
 今回のシークレットアクトとして1月まで発表されなかったバンドです。日本のビートダウンハードコアバンドという情報以外一切詳細不明のままEPが流通し、ハードコアリスナーの間でも話題になっていました。90年代のビートダウンをベースにしながらも暗黒系と悪乗り系ツインヴォーカルスタイルの対比はまさに「トレンドもオシャレさも皆無。そこにあるのは路地裏リアルビートダウン」と橋本商店でコメントされてました。

 そんな危険すぎるバンドがまさかの初ライブだったんですが、murder within sinのメンバーたちが楽器隊を担当していることはわかったものの(当日Dr.を叩いていたDecasionのMZKはサポート)、ボーカル二人は目出し帽やバンダナで顔を隠していて不気味さと威圧感を感じました。そしてセットリストは2曲わずか6分ながらも完全に共演者を喰っていて伝説確定でしたね。特に最後の ''Good Night N.S.K.N'' のシンガロングが圧巻でした。この日に立ち会えた人は自慢していいかもしれません。

Murder Within Sin

 名古屋の重鎮ビートダウンハードコアバンドで、直近では仙台の盟友DIKTATORとのスプリット ''Cold Blood Posse'' をCDオンリーでリリース、現地でも各流通に先駆けて先行販売していました(即入手しました)。(いい意味で)ポンコツビートダウンをこよなく愛するそのバンドのスタンスと、極悪メタリックサウンドが醸し出すモッシュパートとジェットコースター的な緩急は観ていて緊張感に包まれていましたね。

 そしてドラマーがひとつ前にNISHIKINOでギターを弾いていたことからも彼がその首謀者だということも判明。MC中の「オッスNISHIKINOだ」とノリのいい返しも暖かい笑いとイジリに包まれていました。本人曰く「どれだけシンプルな展開+日本にはないボーカルスタイルでモッシュさせるか」を念頭に置いて楽曲制作を進めたと語っていました。Murder Within Sin特有の暗黒ヘビーサウンドと引き算で無駄をそぎ落としたいなたいモッシュパートはNISHIKINOにもあった気がします。


Gates of Hopeless

 大阪が誇るTRUEニュースクールハードコア/エッジメタルGates of Hopeless、昨年末もUNHOLY11企画でPRESS ON AHEADと共演していましたが今回は第2ラウンド。今回はGt. Soutaが諸事情によりで5人体制の公演でしたが(彼のパネルを置く案も出たが、笑って演奏どころではなさそうなので却下)、セットリストはTRUE FIRE必至のシャカリキな感じでGt. KAZZの煽りも「脱げよこの野郎」「〇んでまえコラ」といつもより荒れてましたね…。

 シャカリキセットリストと言えば、まだ音源化されていない ''Burning Season'' が息もつかせぬ展開と単音リフで膝付き必死なんですが、今回はセトリの最後 ''Unbroken Of Freedom'' (でしたっけ?)ではIDENTITYのDANGeRがfeatし、フロアは大盛り上がり(最初NISHIKINOのボーカルだと思ってました、みんな覆面被るから…)。4/8には自主企画兼1stアルバム ''In the Twilight of Nocturne''リリースツアーファイナルを開催、BIRTHPLACEも大阪にやってくるTRUE CHECK案件で筆者も遊びに行く予定です。

 
INSTRIDE

 昨年始動した徳島発ハードコアバンドで、メタリック/ビートダウン系のバンドが多いこの日のラインナップで唯一80~90'sのニューヨークハードコアやパンクを影響下を感じるド直球のサウンドでダンサブル。さらに、アメリカ出身の女性Vo. を起用しており、振り切れたテンションと圧倒的な存在感でキャッチーさもあってすさまじかったです。何気に下手ギタリストが「ぼっち・ざ・ろっく」のぼっちちゃんと同じギター使ってましたね(型番違うかもしれませんが)。

 自分はまだ入手していないですが、昨年リリースされたデモ音源はレコーディングからデザインまで全てバンド内で完結させているらしく、それもメンバーの内二人が実際にライブハウスを運営していることもあってハードコアの精神性の一つというべきDIYの良さが感じられます。今年に入ってから名古屋や東京にも進出していますが、4/22に先述のGates of HopelessのVo. RYZが運営する橋本商店企画で初大阪上陸らしいので要チェック。


Decasion

 HATE CREATURES, Ralmなど名古屋のハードコアシーンで精力的に活躍してきたメンバーが集結したオルタナティブ・デスメタリックハードコアDecasion。元々サイドプロジェクト的な前身時代を経て本格的に始動して3年余り&1stフルアルバム ''Instilling the Decayed Obsession'' リリースから1年が経ちますが、楽器隊が全員作曲できることもあって既に次の作品に向けて曲が10曲ほどストックできているそうで、既にライブでもお披露目されています。

 Decasion4~5回くらい観ているんですが、先述の通り持ち曲が多いこともあってやっとMVにもなっている ''Wicked Monarchism'' を生で観た気がします。ハードコアのモッシーなグルーヴ要素がありながら、節々で混ぜ込まれるシュレッドやブラックメタルの影響下も感じるパートは各々のバックグラウンドを彷彿とさせ「オルタナティブ」と銘打っているのは伊達ではないとわかります。今年は年6回自主企画を計画しており、最初の3/25はUNHOLY11, ZETTON, Belmadigulaのツアー名古屋編を兼ねている様子。被り多いですがこちらもチェックを。


PRESS ON AHEAD

 大トリは岩手・盛岡 ''Blizzard Style Core'' PRESS ON AHEAD、先述のUNHOLY11企画で観た時も絶対零度のリフ・ブリザードのように凍てつく轟音・そして痛切に訴えかけるVo. Trill Doom Roughのボーカルを織り交ぜたサウンドのおかげでその日だけ妙に寒かったのを覚えていますが、それ以上に音源もライブもカッコよかったので「おかわり」を所望しました。この日も非情で冷酷なメタリックリフとラスボス感漂うビートダウンでフロアが荒れ狂っていて最高でしたね。

 前回大阪で観たときはやらなかった昔の楽曲 ''BARBARIAN STYLE CORE'' を最後に披露したのですが、昨年秋の横浜と同じく上半身裸オーディエンスがフロアで暴れまわるという、世が世なら一斉検挙されそうな光景が再来(流石に規模は小さいですが)。Trill Doom Roughも背中に宿した鬼を開放してピットイン、年長者と若手がお互いリスペクト・共存しあっているハードコアのフロアを体現してくれました。


末筆

 駆け足ではありますが、1~2月に行った国内アクトのみのライブをざっとまとめました。いくらでも書きたいことはありますが、Stand Atlantic・One Step Closer・Taken/Hopesfall来日公演の感想や、今月いったライブのレポも書いていきたいし、それにもうすぐ個人企画の準備も本格的に進めていかないといけないのでこの文量とさせていただければと思います。

 また折を見て更新していくので引き続きチェックよろしくお願いいたします。

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