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Fieldism Live Report #17: 提婆達多 & Optimist pre. VIRGIN (1-21-2023)

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 2023年初のライブレポになります。いつもお世話になっております、Ryotaです。

 1/21は福岡でuniverse last a wardが活休前最後の企画を開催したり、大阪ではC-GATEが新譜リリースツアーで火影でライブしたり、名古屋でもNUMBView From The SoyuzEACH OF THE DAYなどが出演した激アツアクトの企画があったりと各地でライブ被りまくりでしたが(実際のところ身体4つ欲しかったです)、筆者は単身東北へカチ込みました。

 主催の片翼を担う提婆達多は言わずもがな昨年のBuried Alive IIに出演いただいたのでその恩返し的な感じで、さらに今まで足を踏み入れてこなかったため観れなかった仙台/新潟のバンドを観ることができる絶好の機会ということで、その時の様子を書き記していこうと思います。

 行った方は当時の余韻に浸り、行けなかった方も是非当日の様子を想像してもらえたらと思います。なるべく解像度を高くして書いていきますので。


※各出演者・関係者の名前は敬称略になること、予めご了承ください。また、あくまでも一オーディエンスが感じたことなので何か新しい視点の発見や思考のきっかけになったら幸いです。


Invert Hourglass

 トッパーは新潟を拠点に活動しているメタルコアバンドInvert Hourglass。先月もソウルメイトLaikaとのスプリットEP ''Search for Hope, In this Chaos'' をリリースし、レコ発でもその盛況ぶりで北陸シーンの底力を知らしめてくれました。元々昨年4月のAblaze(現ABLAZE IN VEINS)の企画で観る予定でしたが、バンド側が例のアレで出演キャンセルしてしまったため念願叶ってって感じです。一時「北陸のバンドを観ようとすればそのバンドがキャンセルになる」というジンクスがあったんですが、最近は後述のDIVINITISTやDOOMS OF GHETTOやLaikaが大阪に来てくれたのでやっとツキが回ってきました。

Laikaの話はこちらで↑

 昨年はスプリットEPのリリースだけでなく、Gt. NeoとDr. 川瀬洋輔の正式加入 & それまでDr.を務めていたSuguruがGt.に転向したりなど(川瀬不在時はDr)体制にも大きな変更がありましたが、音楽性も前身の流れを受け継ぐプログレ・Djent要素からストレートかつ暴力的なモダンメタルコアスタイルに変わりつつある印象です。実際のライブでもイントロ ''Nir'' からキャリア史上最もヘヴィな新曲 ''Berserker'' でも、その片鱗をまざまざと見せつけられました。

 イントロ除くと3曲目はおそらく音源にはまだ収録されていない新曲(のはず)を披露。前身Curse of my handsの流れを継いだ1曲で、曲中にはチューニングが一気に下がる非人道的パートまで搭載。不穏なSEからライブの新定番曲 ''Nothing is Permanent'' へ畳みかけていきます。楽器隊のタイトな演奏はもちろんですが、韓流スターっぽい端正な顔立ちのフロントマンYukiの苛烈なシャウトや、Ba./ComposerのKomaをはじめとしたステージングなど視覚的にも魅せていく要素が多いです。

 最後はスプリットEP収録の、女性コーラスを大胆に取り入れたメロディックなメタルコアアンセム''End of the Spiral''で締め。この後出てくる新潟の先輩たちはもちろん、初めて訪れる仙台のオーディエンスにもその気迫を見せつけトッパーとしての役割を全うしました。


 次回のライブは新潟バンドシーンの登竜門的存在である ''CHECK MATE'' に出演予定(3/11~12)です。数少ないメタルバンドとしてキャパシティ700の新潟LOTSのステージに立つそうなので、興味あれば是非チェックを。


December Everyday

 2バンド目は仙台のハードコアバンド兼楽器屋・サウンドエンジニアリング(Surrouding Studio)・不動産・ラーメン屋(麵屋かどわき)など営んでいる多角化企業December Everyday。兼ねてから観たかったバンドの一つです。10年以上のキャリアでFor The Fallen DreamsThe Ghost Insideあたりのタフガイメロディックハードコアや初期Sylar~EMMUREあたりのニューメタル/ダウンチューニングモッシュコア、近年は叙情要素を排除した2010年代前半のモッシュコア要素を全開にしたnice musicをリリースしており、バンドとしての活動ペースは緩やかながら確かな存在感があります。

 現在Victim of DeceptionのKOKIがサポートドラムを叩いていますが、彼が負傷で参加できないとのことでGt.のひでぽんがDr.を、空席になったGt.は仙台スクリーモACACIAからRyojiがサポートする特別編成で出陣。元々ダウンチューニングの印象が強いバンドですが、チューニングが上がっててハードコア特有のいなたさが出ていて、初期の作品の ''Burn Knuckle'' や ''Face Off'' から近年の ''Wrath'' までも音源とは違った印象を受けました。個人的には東北バンド中心のオムニバスCD ''Surrounding Daylight''収録の ''Fatal Fury (feat. Suguru Ohtaka from 提婆達多)''やってくれたの熱かったですね。

 そして一番衝撃だったのは、Vo. Kackyの「漫談の片手間にライブする」というユルさ。タイムテーブル前倒し始めた時間含めて持ち時間30分くらいあったんですが、そのうち半分近くはメンバーの子供の話や後述の物販の話etcの漫談だったと思います。「1曲2分くらいしかないから」と ''Face Off'' 2回やったのは笑いが止まりませんでした。この日用意してきたマーチ(10.2ozの肉厚Tシャツ)の話の下りで、「甲冑か防弾チョッキ目指そうと思ってるので、分厚いマーチの情報知ってる人がいたら連絡ください」も面白かったです。詳しい人がいたらコンタクト入れてあげてください。


 再来月3/4にはホーム仙台ROCKATERIAで自主企画 ''New Beginnings Vol.11'' を開催予定。昨年開催しようとしてたVol.10が例のアレで中止してから1年、その時出演予定だったデスメタルWORLD END MANとモッシュコアOctaviusがリベンジに挑みます(WEMアルバムレコ発も兼ねてます)。この日A4サイズくらいあるクソデカステッカーを350枚くらい仕込んでいるそうなので、行かれる方は受領報告お待ちしております。


DIVINITIST

 中盤は新潟から凶悪なバンド二組が続きます。3バンド目はデスコアバンドDIVINITIST、''Divinity Deathcore''と自称するブラッケンドやスラムなどハイブリッドなデスコアサウンドをSLAM WORLDWIDEから公開し続けているだけでなく、過去の楽曲でも3月に再来日を控えているWithin DestructionのVo.Rok Rupnikや、Shrine of MaliceのGreg Gilbertをゲスト参加させており、日本のみならず世界のデスコアリスナーを釘付けにし続けています。また、フロントマンのVo. Ryu MiuraはDark Divine Artsとしても活動しており、過去にはBring Me The HorizonのVo. Oliver Sykesのブランドのロゴを手掛けたことも。


 実は2020年にDealer(最近復活しましたね)の来日ツアー大阪編で観る予定が例のアレでポシャって以来約3年越しのリベンジとなったのですが、最初に出てきた感想は「とにかく凄まじい」の一言に尽きました。1曲目の ''VICIOUS//SLEEPER 2.0''から爆走パートから凶悪なスラム~ブレイクダウンまで緩急を利かせた楽曲のうえ、最後は盟友DOOMS OF GHETTOのMahonまでfeat.したことで軽率にモッシュマシーンになりました。続いて未音源化曲 ''STURM UND DRANG'' へ(音源化楽しみにしています)。

 そこから楽曲はEP ''IMITATOR OV DEITIES IN FALSE GENESIS'' 収録曲から ''THE BLACK COFFIN'' ''DIVINE BEAST'' 、そして''THE REDEMPTION OV HEAVEN''へ畳みかけていき、フロアを暴力的に圧倒。スウィープやディミニッシュを駆使して邪悪なリフを引き倒すギタリストコンビYuya & Yusukeと、人間が叩ける限界まで攻めていく非人道的なドラミングをプレイするDr. Taiki、そして闇をひたすらに黒く染め上げたRyuの狂気的なガテラルのアンサンブルは、今回の出演アクト一技巧派だったと思います。最後は未音源化曲 ''KINGBREED'' で終了。圧倒的なパフォーマンスでフロアを地獄に突き落としました。


 公演の翌日にカナダのブルータルデスコアBEYOND DEVIATIONのDr. Kris ChayerのレーベルShattered Earth Recordsとの契約と、活動拠点を東京に移動することを発表したDIVINITIST、移転後一発目のライブは3/5のブラッケンドデスコアSin Scriptureのレコ発企画になります。Optimistや京都の妖怪不祀とも共演する残虐ファイト必至な1日になりますので、東京ですが興味ある方はチェックを。



DOOMS OF GHETTO

 折り返し地点になる4組目は新潟のスラミングビートダウン/デスメタリックハードコアバンドDOOMS OF GHETTO。DIVINITISTと同じく新潟の極悪シーン ''NORTHLAND PURE HATE'' の一角を担うバンドです。途中退出のためレポートは上げてませんが、筆者は昨年11月にSLUGのHama企画 ''DEPRESSED ONLY FORWARD'' で一度ライブを観ております。その時は狭いうえ照明を暗くしたフロアにモッシャーが行き交う戦場のようなフロアで死の危険を感じて片隅で震えて観ていました…


 今回はDIVINITISTからDr. TaikiとGt. Yusukeを迎えた5人体制でまさに ''NORTHLAND PURE HATE'' を体現した編成で挑まれていましたが、実際のライブも南米のスラム街インスパイア系の危険な雰囲気を漂わせてましたね…。真っ黒の衣装にPalefaceの目出し帽とフードを被ったVo. Mahonもさることながら、Dr.以外顔を隠している「学生時代に道徳の授業を受けてこなかったような(偏見)」出で立ちも恐怖感をあおっていて最高でした。もちろん、「その筋」「特殊な職業」の方たちではなく(多分)善良な市民ですのでその点はご安心ください。

 実際のライブもひたすらに「力こそ正義」と言わんばかりの音圧とMahonの破壊力のあるグロウル、なにより残虐すぎる小細工不要のスラム・ビートダウンパートの応酬でフルモッシュ不可避でした。セットリストでも後述のDIKTATORのVo. Takaがfeat.したり、後のニュースクール・極悪ハードコアに影響を与えたAFTeRSHOCKの代表曲''Nothing''をカバーしたりしてましたが、個人的には最後のDIVINITISTのRyuを招いて披露されたライブ初披露(のはず)の ''NORTHLAND PURE HATE'' は新潟中の憎悪を集めたようなアンセムで地獄感じました。


 現在いろいろ仕込んでいるらしいDOG(詳しく知りたい人は前回のライブレポ参照)、次のライブは東京のダーク・ハードコアOtusのレコ発も兼ねた新潟発ハードコアGOODFERROWZの企画です。会場の長岡HOODはGOODFERROWZのVo. Norioが立ち上げたライブハウスとのことで、CLUB RIVERSTと並んで新たな北陸ヘヴィーミュージックの発信地になること必至。


DIKTATOR

 後半戦一発目はホーム仙台から''NORTHEYES BEATDOWN SQUAD'' DIKTATOR。DENIED~IRATEあたりのNYから43URBANあたりの国内の極悪ビートダウンハードコアあたりから影響を受けたサウンドで全国のハードコアキッズをくぎ付けにしており、昨年は3年ぶりに開催されたPDF SUMMER BASHやBLOODAXE FESTIVAL (5月)に出演を果たしています。また、Gt. TENKI & KOYA a.k.a. BROWN Jr.は自バンドや多くの国内ハードコアバンドのアートワークにも携わっていたり、KOYAはマニアックなハードコア・ヒップホップの音源&マーチをディストロするBROWN Recordsを運営しており、多方面で国内ハードコアシーンに貢献しております。

BROWN RECORDS (thebase.in)

 DIKTATORを観るのは2021年末に名古屋で行われた企画 ''DCS KILLERS'' 以来2回目で、その時はあまりのフロアの荒れっぷりが印象的過ぎて実際のライブまで注目できていなかったのですが、近しいジャンルのUNHOLY11ZETTONあたりと違って開放弦で落とさなかったり、楽曲によってキーを変えたり、「モタり」「ヨレ」と表現される独特のグルーヴ感だったりと、意識してライブ観てみると遊び心ありつつもキャッチーで興味深いところありました。もちろん叩きつけるようなビートダウンで一気に揺さぶられるのは極悪ハードコアのそれでモッシュ不可避です。

 各メンバーで言えば、Vo. TAKAの「『上手い下手』どうこうよりも『この人だ』」とわかる吐き捨てるようなシャウト/時折ラップにも接近したボーカルアプローチは本当にカッコいいなって単純に感じましたし、貫録溢れるBa. BAZOOKAの時折出てくる癖のあるフレーズやフランジャー(簡単に言えばジェット機っぽい音が出る装置)を利かせたパートなども遊び心が聴いていて聴けば聴くほどまた新しい発見がありそうだなと思いました。まだ2回しか観ていないのでそりゃそうだって話ではありますが…。


 現在決まっているライブは3件、3/11は名古屋のハードコア/ヒップホップクロスオーバーイベント ''BACCHUS'' 、4/15にはホーム仙台で自主企画、6/10は東京・新宿アンチノックで大きめの自主企画が控えています。詳細が解禁されている3/11でいえば名古屋ビートダウンPURGE & 盟友の福島・会津若松のH8CALLなどとの共演やSWINGOUTの復活などトピック目白押しなので要チェック。



Azami

 主催者2組を除いたゲストアクト最後は今年結成10周年を迎える越谷発ハードコアバンドAzami。昨年は新フロントマン石井純平が加入したことで活動ペースにますます勢いづいており、春には約3年ぶりの音源 ''Milestone'' を発表。6月のUNMASK aLIVE主催の ''ONE & ONLY FESTIVAL'' で久しぶりに観たときは爆発的なパフォーマンスとエモーショナルな楽曲で筆者の涙腺を緩ませました。東北でのライブは例のアレが始まる直前以来約3年ぶりのようですが、実際の盛り上がりはどうだったかは説明不要でしょう。

 年始にそれまで活動休止していたBa. 加藤航が脱退し、基本サポートを務めているTKC(YOU'VE GOT A TARGET)も諸事情で欠席せざるを得なかったため、この日はSailing Before The WindのBitokuを招いた特別編成での出演でした。1曲目から先日公開された新曲 ''Regain'' でフロアのボルテージは最高潮、前Vo. 三浦詩音が手掛けたリリックは尖り散らかしてますがやっぱり例の「てめえがやれよ」のシンガロングは大迫力でした。そこから初期の楽曲 ''言葉響く夜''、いつもは最後にプレイされることが多いモッシーな ''ヘイトスピーチ'' へと続きます。

 後半はエモーショナルマシマシな名曲 ''Milestone'' ''Lilac'' ''カガミグサ'' で畳みかけていきましたが、久しぶりの東北公演というのもあってステージダイブ・モッシュ・シンガロングの嵐で最高でしたね。仙台は割とそのあたり厳しいイメージがあって皆色々溜まってたものがあるんだと感じました。石井純平のMCでも言及した通り、「シーンの一区切りは3年だと思ってて、こんなに若い子が多いのに驚かされてます(意訳)」というのは大阪も実際その通りなので納得してしまいました。「3年待たずにまた来ます、1日でも長くライブハウスに居続けてください!」と言い残し、30分のステージを駆け抜けていきました。


 翌日がC-GATEのレコ発ツアー名古屋編が控えていてこの後速攻でとんぼ返りしたAzamiですが、MC中に明言された通り現在ツアー計画中で東北にも年内に帰ってくるそうです。来日含めた熱い案件が多すぎてライブ絞りまくってる筆者ですが、さすがにツアー関西公演は行きたいと思ってます。2月のライブは6~7公演くらいあるので詳細は下に載せておきますが、3月もTaken & Hopesfallの来日公演のサポート(3/1)や自主企画(3/21)が控えているので引き続き動向をチェックしておきましょう。


Optimist

 トリ前はこの日の主催の片翼を担う新鋭メタルコアバンドOptimist。始動から1年半、GraupelPROMPTSの東北公演のサポートアクトに抜擢されたり、ハイクオリティなデビューシングル ''Useless'' をリリースしてそのポテンシャルを全国のリスナーに知らしめただけではなく、Ba. zuu (Mayfly Entrusts) が加入したことにより関東圏でも精力的にライブ活動を行ってきました。かつて仙台のモダンメタルコアを引っ張っていたISSUMAEL(解散済)やPetrichor(無期限活動休止中)の系譜を受け継ぎながら、その不気味さとアグレッシブにステータスをガン振りさせた注目のバンド、兼ねてからずっと観たかったのですが遂に実現しました。

 現在正規ドラマーが不在のため今回は東京メロディックメタルコアABLAZE IN VEINSからRyuyaをサポートに加えた5人編成で出陣、極限までチューニングを低くしたサイコパス級のサウンド・後方にいると脳が揺れて体調に異常をきたすレベルのクソデカ音圧・「その筋の人」にしか見えない(アー写やMV観ればわかりますが)Vo. Kanoの出で立ちなど、全てが何かの法律に反していて最高でした。仙台の先輩たちも助太刀し、未音源化の曲ではex.ISSUMAELのTatsukiが、''Juavo'' では提婆達多のSuguruがfeatし、彼らの晴れ舞台に華を添えました。


 そしてセットリストの最後は先日公開された新曲 ''Genom''(次回の新曲特集でも取り上げます)、''Juavo'' もSFチックながらどこか有機的で不気味なアトモスフィアを醸し出していましたが、この曲も底知れないものを感じてカッコいいと同時に恐怖を感じましたね。今の日本では見かけない時代の先を行くアプローチ(しいて言えばDiamond Constructあたりのトラップっぽいバイブスは感じました)と、ラストのチューニングが全く分からないブレイクダウンはメタルコア界のミュータントと言っても過言ではありません。SUGGESTIONSがサイコホラー/スリラー映画なら、Optimistは「エイリアン」「Dead Space」あたりのSFサバイバルホラー映画です。


 今回のアクトの中では最も若手ながらもそのポテンシャルをホーム仙台に知らしめたOptimist、次回のライブはDIVINITISTと同じくSin Scripture企画になります。デスコア寄りのバンドが多い中唯一系統が異なるかと思いますが、ヘヴィであることには変わりません。今年は名古屋・大阪などの西日本への進出に期待したいところです。


提婆達多

 大トリは仙台が生んだデスコア界最大の異端者提婆達多、昨年は筆者の企画 ''Buried Alive II'' に出演いただき、ニューメタル+デスコア+仏教を軸にしたヘヴィーかつグルーヴィーなサウンドで初関西ながらもオーディエンスに大きなインパクトを与えてくれました。公式からもフルセットの動画が上がっていてYoutubeで視聴可能ですが、本当にあの日のライブはオーディエンス皆狂っていて最高でしたね。ヘヴィなだけでなく、メタル/ハードコアのサブジャンルだけでなく非バンドサウンドまで吸収した展開や変拍子・ポリリズム・ワーミーなどの飛び道具、何よりSuguruのボーカルアプローチなど唯一無二たらしめるポイントが多いのも魅力の一つです。

 今回はホーム仙台での公演ということもあり、セットリストはBuried Alive IIの時と大きく変えていないものの音源通りのfeat.多数でブチ上がり案件でした。イントロのSE除いた1曲目 ''Gain'' では同郷のスクリーモ/ポストハードコアInaka EmotionのK0he1、2nd EP ''Irrational Calamity'' 収録の ''The Have-nots'' ではDecember EverydayのKackyがゲスト参加。音源通りではありませんが、BPM280のアウトロとVo.ピッチシフター使用で再現不可能なラインギリギリを攻める''Purple Gasoline'' ではOptimistのKanoが参加、仙台の仲間たちが続々とやってきて華を添えます。


 ただfeat.で一番テンション上がったのはEP ''道連れ'' で一番気に入っている ''What's Nu'' で音源通りDOOMS OF GHETTOのMahonがfeat.してその破壊力のあるガテラルをカマしてくれたことですね。feat.以外の部分では終盤の 激熱モッシュパートのある''Sounds Like a Knell'' と ''Bless'' で、特に後者は先輩のDIKTATORの面々が空間を切り裂くゼロスペースモッシュで改めてホーム仙台のアットホームな一面を垣間見ました。

 その唯一無二の世界観を醸し出すデスコアサウンドで仙台シーンの再興を掲げた1日を締めくくった提婆達多、次のライブは前述のDecember Everyday企画 ''New Beginning Vol.11'' になります。出演アクトが激熱なのは言うまでもないですが、提婆達多のメンバーの多くは仕事の都合で各地に散らばってるのもあって、ライブの機会はあまり多くないと思いますのでホームの皆様は要チェックです。


末筆

 当日多くの公演が被っている中で筆者は大阪から一番離れた仙台を選んだのですが、単刀直入に言うとローカルのシーンを肌で実感することの意義を再認識させられた1日でしたし、主催の2バンドが仙台でこのイベントを開催することに対する強い意志というのがバッチリ伝わりました。贔屓目に観てもこのイベントは大成功でしょう。

 仙台のバンドマンの方々は自分たちがいるシーンを「アットホーム感は非常に感じる」「各々バックグラウンドがはっきりしている」と形容していることが多いですが、これは本当にその通りでやり方は各々違えどジャンルの垣根を越えて東北を盛り上げていくアティチュードと、母数は首都圏や関西圏に劣るもののそれぞれが強烈な個性を持っていることを改めて実感しました。

また、MURDER HEAD「Story of Hope」やDecember Everydayあたりから受け継がれてきたメタル・ハードコアシーンの流れがあったからか、今も新しいバンドが名乗りを上げるたびに仙台のシーンが活気づいていくのも潜在的に刷り込まれた激しい音楽への愛情がオーディエンスの間で絶えず残り続けているのだと感じました。

 この辺りはまだまだメタルコア/ポストハードコアとハードコアシーンの間で壁がある(少なくとも筆者からはそう見える)関西にはない空気感で見ていて面白かったし、DIKTATORや提婆達多の面々が「(自分たちがかつてそうしてもらったように)後輩をどんどんサポートしてあげたい」というスタンスにも嘘偽りは感じられなかったので、仙台のアットホームな雰囲気感が気に入りました。また絶対帰ってきたいですね。今度は1泊2日の弾丸じゃなくてゆっくり観光したいですが…


 今月から毎月ごとに行ったライブの簡易的なレポートは出そうと思ってますが、次に詳細なライブレポートを公開するのは2/4のFallen Grace企画 ''Declaration of Hostility'' になるかと思います。ニュースクール主体のハードコアイベント、膝付き168%でいきましょう。フライヤーはDIKTATORのKOYAがデザインしたのでなんとなく伏線感じます。


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