寺田寅彦のススメ 20180428

#fictitiousness
#20180428 #寺田寅彦 #青空文庫 #コラム #エッセイ #天災 #国防 #関東大震災 #物理学者 #科学

 青空文庫には、多数の作家の多数の作品があり、思わず迷う方も多いのではないでしょうか。

https://note.mu/fictitiousness/n/n124a98d0b09a
新しい読書のカタチ

 その中でも寺田寅彦先生がオススメです。
 コラムやエッセイが多く、文章の長さもほどほどで読みやすいものが多くあります。
 時代背景や表現がちょっと古いと感じる部分があるかもしれませんが、肩肘を張らずに教養を高めてくれるものばかりです。

https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person42.html
作家別作品リスト:寺田寅彦
生年:1878-11-28
没年:1935-12-31

 その中でも私のオススメは、『天災と国防』です。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2509_9319.html
寺田寅彦 天災と国防

 この文章は、「経済往来」1934(昭和9)年11月に掲載されたものです。
 この中で、以下のように述べています。

 国家の安全を脅かす敵国に対する国防策は現に政府当局の間で熱心に研究されているであろうが、ほとんど同じように一国の運命に影響する可能性の豊富な大天災に対する国防策は政府のどこでだれが研究しいかなる施設を準備しているかはなはだ心もとないありさまである。

 そして、次のように展開しています。

 思うに日本のような特殊な天然の敵を四面に控えた国では、陸軍海軍のほかにもう一つ科学的国防の常備軍を設け、日常の研究と訓練によって非常時に備えるのが当然ではないかと思われる。

 これをはじめて読んだとき、「『自衛隊』の存在を予期し、その定義を現在の日本国憲法に基づいて明記した」と感じ、今でもそう考えてしまいます。

 陸海軍の防備がいかに充分であっても肝心な戦争の最中に安政程度の大地震や今回の台風あるいはそれ以上のものが軍事に関する首脳の設備に大損害を与えたらいったいどういうことになるであろうか。そういうことはそうめったにないと言って安心していてもよいものであろうか。

 寺田寅彦先生は、関東大震災(1923)を経験し、世界恐慌(1929)が起こり、再び世界大戦へと突入しようとしていた時期にこれを書いています。
 関東大震災当時のことを『震災日記より』に書いています。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/4671_13525.html
寺田寅彦 震災日記より

 関東大震災については以下が参考になります。

http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/kyoukunnokeishou/rep/1923_kanto_daishinsai/index.html
報告書(1923 関東大震災)
防災情報のページ - 内閣府
1923(大正12)年9月1日正午2分前に発生した関東大地震はマグニチュード7.9と推定される、近代化した首都圏を襲った唯一の巨大地震であり、南関東から東海地域に及ぶ地域に広範な被害が発生した。死者105,385、全潰全焼流出家屋293,387に上り、電気、水道、道路、鉄道等のライフラインにも甚大な被害が発生した。

 関東大震災を体験した寺田寅彦先生は、1934年に現在と同様かそれ以上の高い防災意識を持っていたことがわかります。
 この背景には、ご本人が地球物理学者であり、こうした災害について科学的な見地から冷静に分析していたことが強く影響していることは間違いないでしょう。
 また、科学者として、戦闘機を搭載した空母が実戦で使用される可能性についても、長期的な科学の発展を考慮した上で、実現可能であると予測しています。

 新聞記事によると、アメリカでは太平洋上に浮き飛行場を設けて横断飛行の足がかりにする計画があるということである。うそかもしれないがしかしアメリカ人にとっては充分可能なことである。もしこれが可能とすれば、洋上に浮き観測所の設置ということもあながち学究の描き出した空中楼閣だとばかりは言われないであろう。五十年百年の後にはおそらく常識的になるべき種類のことではないかと想像される。

 この『天災と国防』は、日本が目指すべき道筋をおおよそ言い当てているようにみえます。
 1934年当時の日本における愛国心と大和魂に関して厳しい言葉を投げかけているのも、精神論ばかりで科学的根拠に欠ける日本のあり方に、日本の行く末に悲劇的な結末を思い描いていたのかもしれません。
 寺田寅彦先生が残してくださった英知を生かすために読み、理解し、共有し未来を築くために活用するべきではないでしょうか。

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