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使えない新人を抱えてしまったすべての人達へ

皆様こんにちは。
Fictionです。

そろそろ春が近いですね。
4月や5月になると定期的にXなどのSNSに「とある人種」が目立つようになります。それは・・・

「使えない新人叩き」

をする人たち。

はい。毎年の恒例行事ですね。

今日はそんな投稿をしてしまう人、そんな悩みを抱えている人に残念ながら言わなければならないことがあります。

あなたが居ると会社に迷惑です

今日はその理由と、そこまで言われても怒らずにこの記事の先を見続けてくれる方へのアドバイスや、新人との正しい向き合い方について紹介しようと思います。

あなたが仮に新卒2年目3年目で新たに下の子を迎えることになった人間なら、舞い上がってしまうのも無理ありません。しかし、あなたが中堅~ベテラン社員なのにも関わらず、まだそのようなことをやっているのであれば、それは非常に大人げない行為です。年齢が10歳20歳下の相手に対してとても大人げないことをやっている自覚を持ちましょう。

 簡単な私の自己紹介ですが、日本の古典的な大企業に務め、在籍時、代表者特許が5件、連名を数件持っています。大学では先輩や後輩と良い関係を築く事によって雑誌論文のファーストオーサーの英語雑誌論文を1件とセカンドオーサーの雑誌論文を複数件保持し、その実績で専攻長表彰と優秀修士論文賞をW受賞、奨学金を全額免除になっています。

 これらの実績は、後輩と良好な関係を築く事によって、後輩があげた実績を連名やセカンドオーサーとして自分の実績にも出来た結果によるものが大きいです。後輩や新人は、うまく使えば自分を成功へと導いてくれますが、出世できてない人、出世が止まる人は、良い年になっても自分ひとりの能力で勝負をし、貴重な資産であるはずの後輩を潰している傾向を見てきました。

そうなる人が少なくなるよう、そして、後輩の人生を潰す人が出ないようこの記事を書いています。

大分雑に書き散らしてるので、公開後も何回かにわたって整理するかも。
今回は今までよりもデータに基づいている部分がかなり少ないです。


新人いじめは大きな損失につながる

近年では若者の離職率は40%を超えると言います。
その中には、今この記事を見ているような、新人いじめをする人に潰されて離職する人も多いです。

そんな新人を、内心仕事ができないと見下しているあなた方は、内心だけではなく確実に表にその態度を出しています。

まずはそれを自覚し、恥じてください。

対戦ゲーム等で負けた際に自分よりもプレイ時間が少なそうな味方に文句言ってる人を見るとみっともなく思いますよね? そう、あなたはみっともないんです。

ここでGoogleで適当に検索したら出てきた根も葉もない若手の離職原因を出しておきましょう。

(引用:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成(若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)」)

現代の「働きやすさ」の9割は自分の半径6mの人間関係に起因するものであると言われるほどです。
ですので、1,3,5,6 位に記載されている理由を新人が感じるのは100%あなたやあなたの周囲の人間のせいであると言っても過言ではないでしょう。

採用コストや人件費の損失について

 新人は基本的に入社から2-3年経たないと利益を上げるレベルで使い物になることはありません。その新人を3年以内に離職に追い込んでしまうあなたは、3年間分の新人の給与と、その新人を捕まえてくるのにかかった採用コストや研修にかかったコストをすべて無駄にしています。
 新人の給与が300‐400万だとして、3年で社会保障費なども含めて人件費が1400~2000万かかります。採用活動や研修費なども鑑みると、1人あたり2500万ほどのコストが掛かるでしょう。さて、「使えない」新人を離職に追い込んでいる人はその分のコストを回収できるのでしょうか?

キャリア上の時間的な損失について

 新人をうまく育成できないことは、あなた自身のキャリアにとっても大きな痛手となります。なぜならば、我々の会社員生活は高々30年ちょっとです。その中で出世できるかどうかが決まるまでの時間は僅か10年~15年ほどで、その短い時間の中で、我々は腹心となる可能性のある部下を育て、地盤を固めなければ出世はできないわけです。

 そして、少子化の現代では、残念ながら部下は1年1人のペースではもはや入ってきません。1年に1度以下の貴重なチャンスを、部下をないがしろにする人は棒に振っているのです。

小まとめ

 新人を見下し、それを態度に出し、離職率を上げていることは、上記のように大きな損失であることは明白ですので、使えない新人についての悪共感を求めにこの記事にたどり着いたあなたは、今すぐに考えを改めないと、入社してくる新人を潰し続ける会社にとって迷惑この上ない存在となってしまうでしょう。

そして、後述しますが、新人の成長速度は、8割方あなたの教育能力に依存します。もちろん、新人の能力や仕事の難易度等もありますが… 基本的にはあなたの教育能力が新人の能力に直に反映されます。

残念ながら、新人が出来ない理由を他責にしようとしているあなた方は、会社にとってお荷物です。今から新人との向き合い方を変えましょう。



新人は使えなくて当たり前

 これはよく言われることですが、新人は使えなくて当たり前です。
しかし、この当たり前とも思えることを全く理解していない方々が世の中には大勢いるようです。

よく目にする新人叩きの内容を、よく目にする順に並べて、それぞれに対する批判を書いていきましょう。

1.何度も同じことを聞いてくる新人

 これは本当によく聞く愚痴ですが、これを言っている人に、私は次のような質問をしたくなってしまいます。

 あなた自身は他人から言われたこと一つ一つを1回言われただけですべて理解して実践することができる素晴らしい人間でしょうか?

 そんな天才なら、東京大学への入学も楽勝でしょう。先生から聞いた内容を1回で全て完璧に理解できてしまうのですから、東大の過去問集を全部1回教えてもらうだけで東京大学に入学できそうです。しかし、世の中の人間の99%は、東京大学へ入学する能力はありません。背景知識もないですし、背景知識があっても、繰り返し実践をしなければ物事は身につきません。つまり、あなたが言ったことを一つ一つを全部覚えて理解して、すぐに実践できる人など、この世には存在しないということです。

2.メモを取らない新人

 1の問題は「メモを取らない」ことに起因していると考える人も多いと思います。そんな事を思っているあなたには、次のような質問をしたくなってしまいます。

 あなたは新人にメモを取る時間をちゃんと与えていますか?
そもそも新人にメモを取らせること自体が効率的でしょうか?

 私の経験上、メモは、内容を完璧に理解をしている人が書くものと、理解をしていない人が書くのでは完成度に天と地の差があります。

 新人が今聞いた話を、理解が浅い状態、かつ少ない時間で、一生懸命走り書いたメモが、まさかとは思いますが使い物になるメモになるとでも思っていますか?

 昔、思考を鍛えるメモ力 といったような仕事力系の書籍が流行りましたが、私はこれは心底馬鹿げているなと思っていました。

 私は、そもそもメモが必要になるような仕事内容は、動画等を使ったわかりやすいマニュアルにするなどしてクラウド上に上げたり、それが出来ない職場なら印刷して渡します。そして、新人の作業が上達した頃に、理解度を更に上げるために、「来年の新人用のマニュアルをあなたなりに作り直してください」とお願いします。

 あなたはどうでしょうか?ちゃんと考えて新人の教育をしていますか?

 体感ですが、「メモを取らない新人はクソ」と言っている人の9割は口頭で言った事を「教育完了」と思いこんでいる人が多いです。そして、何度も同じ事を口頭で教えることになり、教育時間とミスへの対応時間で時間を浪費しているのをよく目にします。教えるのが下手な先輩の下に来る新人は、成長も遅く、教育やマニュアル、資料がしっかりしていれば、本来発生しなくても良いような無駄なミスで責められ、心底可愛そうだなと思いますね。

3.自分で調べることが出来ない新人

 これについては、低学歴の多い職場ではこれが出来ない人が多いと聞きますが、私はそうではないと思っています。私は比較的高学歴出身者が集まる企業にいましたが、高学歴出身者が集まる企業でも意外と出来ない人は居ます。

 私はそもそも新人に自分で調べる能力を新人に期待はしていませんでした。なぜならば、ググり方は義務教育課程では教えられず、高等教育過程でも、逃げようと思えば逃げることのできるものであるからです。

 新人育成下手な人は、新人に最低限の検索キーワードすら伝えていない人が多いように感じます。

自分で調べる癖を新人に付ける程度であれば、1年言い続ければ猿でもできるようになるので、それをやらずに文句を言うのは、新人に期待しすぎなのかなと思います。

新人はあなたではないので、あなたが新人の頃に出来たことも、一部できないものがあると考えるのが普通です。同時に、自分が気づいていないだけで、自分が新人の頃に出来なかったことで、新人ができることも必ず存在します。

自分の生存バイアス、成功バイアスに毒され、自分を優秀と思いすぎてる人が多いのではないかなと思います。

4.OO系なのにOOができない新人

 よくIT系に、GITの使い方を知らない、Linuxコマンドがわからない新人に文句を言う人が居ますが、そもそも、業務系ツールの使い方等の習得を大学等の高等教育に求めるのは間違っています。
 大学は職業専門学校ではありませんから、CADの使い方もGitの使い方もLinuxの使い方も、触りぐらいは教えますが常習的に使用するようなカリキュラムは組んでいませんし、特定言語のプログラミング経験を求めるなんてもっての外です。

 最近の企業の採用担当は、大学を職業専門学校と勘違いしている節が見受けられます。新卒をとるのであれば、即戦力なんか求めず、その程度は育てましょうと言いたいところです。

近年の企業の採用でも、年収等に対して過剰な要求をしている企業がとても多いような印象を受けます。一方で大学を卒業したばかりの学生ができることはかなり限定的です。よくバックグラウンドを見ないで適当に採用して、新人と職場の要求する能力が合致しないということもあります。その責任は、新人ではなく人事にあるので、文句を言うのであれば、新人ではなく人事に言ったほうがいいでしょう。

上記すべての愚痴は、正直な話、私から見ればすべて、ちょっとの時間と努力で解決可能な問題です。そして、その問題解決を実行するのは先輩社員の役目であると考えています。次章ではその考え方について説明します。


新人の成長速度は自分の仕事力に比例する

本当に仕事のできる人の後輩育成に対する考え方

  本当に仕事できる人は、10年先の自分のキャリアに今自分の持っている後輩を組み込んだうえで仕事をしているので、後輩は基本的に大事にしますし、後輩育成スピードは自己である程度制御可能と考えて時短の仕組みを構築します。例えば、
・メモを取らせるのを辞めてマニュアルを強化する。
・1回教えたことが出来ない場合、何度でも自己学習できる環境と時間を整備する。
などです。

 また、後輩の能力の内、自分で制御可能な事と制御可能でない事を切り分けて、制御可能な部分を可能な限り制御するように務めます。

 例えば、後輩の生活態度、食生活、健康、人間関係、性格的問題点、自分以外の先輩や他人による干渉等は制御不可能な要素であるため、口出しはしません。一方で、後輩の特定の業務に関するスキルは与える業務によって、後輩の社内での学習内容は指導方法によって、仕事へのモチベーションは、付き合い方によって、ある程度制御可能です。

 基本的に新人の成長率は新人の教育を担当する先輩の技量に大きく左右されます。仕事が本当にできて出世をする人は、後輩の成長率を上げることは、自分への利益となって還元されることが多い事を知っているため、後輩の育成環境の整備を欠かさずに行っており、後輩に問題があると感じた場合は、それを後輩自身の人間性的問題や責任とせず、単なる「仕事上解決すべき問題」と位置づけ、問題解決を図ります。

後輩育成の考え方の実例

 一例ですが、私は後輩指導のプレゼンテーション中に後輩が眠そうにしているのを発見した事がありました。この時、私は後輩に対して「指導中に居眠りをするなんてけしからん」とは一切思いませんでしたし、注意もしませんでした。なぜなら、私自身も指導中に先輩社員の話が長すぎて居眠りをしたことが何度もあるからです。

これを私は問題と捉え、次のような原因と解決策を考えました。
原因:
・人間の集中力は20-30分が上限なので、長時間プレゼンテーションをすると人は集中力が切れて眠くなってしまう。
・一方的にこちらが喋るだけの形式では、相手にアクティブな行動を要求していないため相手の思考力は低下する。
・1回の説明でのインプット量が多すぎるため、内容の一部しか理解できない。
解決策:
・1回の指導は最長でも20分以内に抑える
・相手にも何かしら手か口を動かさせる対話形式の教え方にする。
・情報インプットの量も小分けにする。

これらの解決策を実践した結果、後輩が指導中に居眠りをすることはなくなり、育成速度の向上が見られました。

上記のような事象を仕事のできない人が観測したら、おそらくですが、「仕事中に寝る後輩に問題がある」とすべての責任と原因を後輩に押し付け、一切の問題解決は図られないでしょう。

 しかしこのように、一見後輩の行動に問題があるような事象でも、それを後輩自身の人間性の問題や責任とはせず、単なる「仕事上解決すべき問題」と捉えることによって、多くの問題は解決可能です。このような物事の捉え方をし、人に負荷を与えずに、物事をより効率的にこなせる人が一人でも増えることを私は切に願っています。


おわりに

 新人は、仕事仲間ですが、それ以上に、あなたに会社から与えられた数少ない「知能を備えたツール」です。職人と素人が同じツールを使っても、職人の方が圧倒的に優れた成果物を出すように、新人も、使い手側の力量によって、できる新人にも出来ない新人にもなり得ます。つまりは、何事も使い手次第ということです。

 確かに新人にも能力の優劣は存在するでしょう。しかし、そんな「現時点での能力の優劣」は今後の長い会社生活を考えると微々たるものです。

 近年では「使えない新人」「使えない若手」に困っているアピールをする人があまりにも多いような気がします。一方で、私は社会人経験の中で、そのような事を言っている人ほど新人の教育能力が低いという実態があり、最終的にそれを言っている人自身が、新人の離職等によって会社に損失を出している実態を目の当たりにしてきました。

現実問題として、私の務めていた会社でも、私が今まで視察してきたその他の職場環境でも、先ほど私が上げたような

・メモを取らせる事を辞めさせてマニュアル化をすすめる
・部下の教育や研修をきちんと人間の性質に則って最適化する

といったような工夫をしている人は、多くはありません。

 マニュアル一つを見ても、10分で作ったかのようなゴミみたいなマニュアルを作っている人が大勢居ます。

 私が在職時代は、初めてやる作業のマニュアル作りに4時間以上はかけていました。頭の悪い上司からは仕事が遅いと言われましたが、私は気にしませんでした。なぜならば、マニュアルは丁寧にわかりやすく作れば作るほど、自分や同僚、後輩のミスは減り、作業効率は上がります。ミスが減ることによって、将来の障害対応に割かなければいけない時間は確実に減りますし、そもそも作業効率の上昇分だけでも、膨大な時間を節約できます。

 本当に仕事ができる人は、目の前の仕事が早い人ではなく、そもそも仕事を実行する速度やクオリティに個体差がある事を認知したうえで、全体がより早く的確に仕事をできるような環境を整備する人間だと私は思っています

 なので、新人が仕事が出来ないと愚痴をこぼしているあなたは、おそらくですが、新人と自分という個にしか着眼しておらず、全体が見えていません。

 後進育成は、目の前の仕事とほぼ同等に比重を置かないと、会社に限らずすべてのコミュニティは持続しません。ですが、近年の社会人の皆さんは、あまりにも自分勝手で、後進育成をあまりにも蔑ろにしていると私は感じています。

 これを読んでいるみなさんも、困った新人が居る、と思った時に、今一度自分の着眼点を見直し、そもそもの自分の指導ややり方は適切かどうか、今一度考え直し、それを新人個人の問題とせずに、解決すべき仕事上の問題として向き合ってみてはいかがでしょうか。

何なら、コメント欄などに詳細に問題を書いていただければ、いくらでも解決策は提示しますよ。

以上。

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