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母のおでん

昨日は、一段と寒い日だった。
だからなのか、仕事から帰ってきたら母がおでんを作ってくれていた。玉子や白滝、大根、昆布、さつま揚げ、ちくわ、つみれ、竹輪麸…。母のおでんはいつも盛りだくさんで、いつも3日は持ってしまう。また、味付けもよく、関東風に本だしと醤油とお酒のつゆ。あとは具材から染み出るエキスで、なんとも言えない甘く深い味わいのつゆなのだ。

母がおでんやモツの煮込み等を作り出すと、「もう冬が来たな」と思う。幼い頃は、よく近所のおじさんおばさん、仲間の子達とよく母のおでんを囲んで食べた。私の母は、糖尿病で、お産のために目を患ったが、昔はまだ目が少し見えていたから、春巻や麻婆豆腐、ハンバーグやオムレツ等をよく作り、私の小学校の頃の友達に振る舞ったりしていた。母の料理は美味しいと評判だった。
母は、コンビニのおでんも大好きでよく食べる。白滝と、玉子と昆布とさつま揚げが大好きで、休日になると、私が彼とかと出掛けない日は、二人でコンビニのおでんをつついている。そんな日は、よくラジオから和田アキ子さんの元気な声が聞こえる。和田さんのトークを聴きながら、母と二人でコンビニのおでんをつつく。なんと、幸せな時間だな、と思う。
いつか、彼にも私の母のおでんを振る舞ってあげたいと思う。いつか、母がいなくなっても、母と同じレシピ、同じ具材で。
彼は、喜んでくれるに違いない。
土曜日の夕飯に、母のレシピで作ったうちのおでんを、彼と二人で仲良く食べられる日が、きっと来ると思う。

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