見出し画像

虫から作られる着色料。食べものや、化粧品にも。

さて、前回の記事ではタール色素と天然色素のお話をしました。

カラフルなチョコを例に挙げて、タール色素や酸化チタンを使用しているものもあれば、イカ墨などの天然色素を使用しているものもあると説明しました。

さて、天然色素と聞くと、やっぱりなんだか健康に良さそう無害そう、という印象がありませんか?
今回お話するのは…

虫から作られる着色料

です。お食事中の方はごめんなさい!
でも、「ハムには虫から作った着色料が使われている!」なんて話を聞いたことがあるという方も多いのでは?

確かに、コチニール・ラックという名前で知られる着色料は、虫から作られています。

コチニール

原料となるのはエンジムシラックカイガラムシという虫で、サボテンなどにくっついている虫です。
カイガラムシ…と聞くと、園芸をやっている方なら馴染み深い虫ですよね。大切に育てた植物にカイガラムシが発生し、養分を吸われてしまったというケースは園芸ではよく起こります。あのカイガラムシの仲間に、美しい赤色を秘めたものがいるのですね。

食品に使われているときの表示名は
・エンジムシ由来のもの:コチニール色素、カルミン酸色素、着色料(カルミン酸)、着色料( コチニール)
・ラックカイガラムシ由来のもの:ラック色素、着色料(ラッカイン酸)、着色料(ラック)
なので、気になるときは原材料表示を見てみてくださいね。ハムやかまぼこ、アイスクリームなどで見かける色素ですよ。

ちなみに、以前はカンパリというお酒にも使われていましたが、今では違うものに変わったようですね。

安全性はどうなの…?

虫由来と聞くと、安全性はどうなの…?と心配になる方もいるかもしれません。

先ほどお話したようにコチニールには長い歴史があり、アステカの人々は色鮮やかな織物や薬、化粧品などにこの虫を使ってきたのだそうです。

着色料としての歴史も古く、安全性に問題はなさそうに見えます…が。
アレルギーについては注意が必要なようです。

アレルギーにはご注意を

これらの虫由来の着色料を作る過程で、虫由来のたんぱく質が残ってしまう場合があり、そのたんぱく質が、人によってはアレルギー症状を引き起こすので注意が必要というわけなのです。

現在では、日本で食品に使われているものの多くが改良を重ねたものであり、こういったアレルギー反応を起こしにくくなっているようです。
しかしながら、そうではない着色料を使っている場合もあり、アレルギー反応は「ある日突然」起こることが多いので、頭の片隅に入れておくといいかも。

そして、この虫由来の着色料が使われているのは食品だけではありませんよ。

化粧品に多く使われている「カルミン」

お化粧をする方は、手持ちの化粧品に赤やピンクのリップやチークはありますか?。
もしご興味があれば、その赤やピンク色がどんな色素で作られているか、見てみて下さい。

前回ご紹介した、赤色〇番…などのタール色素が使われている場合も多いですが、筆者の使っている赤いリップには「カルミン」と書かれていました。天然色素だけで色をつけています、と書かれているリップにはカルミンが使われていることが多いですよ。

このカルミンという色素は、これまでお話してきたエンジムシから得られたカルミン酸にアルミニウムを反応させて作られたものなのです。ご存じでしたか?

口に塗るリップに使われているなんて気持ち悪い!!と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。もちろん虫そのものが入っているわけではありませんが、先ほどお話したようなアレルギー反応を起こすリスクは化粧品にもあるのです。

これまでに報告されてきた例によれば、化粧品に含まれるカルミンが皮膚から体の中に入り、食品に含まれるコチニールを摂取することでアレルギーを発症するのでは…という指摘もあるのです。

呼吸困難になるような重い症状ではなくても、「そういえばあのリップを塗った時だけ、唇がかゆくなってたなー」くらいの症状の方もいるかもしれません。
日頃お化粧をされる方は、そういう可能性もあるのだということを覚えておくといいかもしれませんよ。

完全に安全なものは存在しないのかも…

前回もお話したように、着色料に対して神経質になりすぎるのは考え物です。
しかしながら、皆さんは「茶のしずく」という石鹸が発端となった事件を覚えていますか?

あの石鹸には小麦由来の成分が入っていたので、皮膚を介してその成分が使用していた人の体内に入っていきました。そして一部の人で、小麦製品を食べた際にアレルギー症状が起きてしまったのです。
小麦に対するアレルギーを発症するようになってしまったことで、日常生活に大きな障害が生まれてしまう。この事件は、訴訟にもなり大々的に報じられましたね。

もちろんメーカーなどの努力によって、リスクを最大限減らすことができている場合も多くあります。
天然由来は安心…と思いたいところですが、アレルギーの原因である物質は自然の中にもあふれているのです。

どんなに体にいいものでも、摂りすぎると害にもなりうる。
と心の中に留めておくといいのかもしれませんよ。

【参考文献・URL】
Amanda Fiegl. 赤い着色料の原料、虫からイモに転換?. ナショナルジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8409/
松永和紀. わかりにくいコチニール色素問題を読み解く. foocom.net
http://www.foocom.net/special/6667/

◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●
FIT FOOD HOMEでは、無添加で手作りのおいしいごはんをお届けしています。

おかずプレートや女性に嬉しいママミール、ダイエットミールやサプリごはんも。是非のぞいてみてくださいね。

◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●◎●

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?