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■「盛者必衰の理をあらわす」 明暗が分かれた2人の大物経営者の交代劇に学ぶ





昨日は、大物経営者2人の退任ニュースが飛び込んできましたね。


一人は、トヨタの豊田章男氏。
もう一人は、エイチ・アイ・エスの澤田秀雄氏。


明暗が分かれた交代劇。



豊田氏は53歳の若手執行役員を抜擢し、代表権を持った会長に。
まだまだこれからもトヨタをけん引していかれることでしょう。
交代のニュースで流れる映像等では笑顔が印象的でした。


かたや

澤田氏は、代表権を長年の右腕に託し、
取締役顧問に退かれます。
まさに昨日、エイチ・アイ・エスの
株主総会に参加したのですが、
終始うつむき加減で、時折小さな咳をする様子が印象的でした。



澤田氏といえば、
ご存命のベンチャー企業経営者の雄。
10年以上前。ハウステンボスを立て直した際の
輝きはすごかった。

■澤田秀雄さんの「失敗奨励のリーダー論」
「運をつかむ技術」



それが、コロナ禍で海外旅行事業が
中核の同社は重篤な経営危機に陥り、
少し出口が見えかけてきたものの、
まだまだ予断は許さない状況。



立て直しに成功したハウステンボスも売却せざるを得ず、
従業員の大規模リストラも実施。



上場企業でありながら、残った
従業員の平均年収は500万円台から300万円台に。



役員の口から飛び出てくる言葉は軒並み
「黒字化へ」「粗利の確保」・・・
と目先の収益の話に終始。



それだけ暴力的なコロナ禍の破壊力はすさまじい
ともいえますが、
夢を追い疾走してきた澤田さんの
オーラはそこにはありませんでした。



我がことのように切ない気持ちになり、
いてもたってもいられなくなった僕は
株主質問に手を挙げました。



質問は2つ。



「3年も続くコロナ禍で、とにかく
 ここ1-2年の収益を確保しなければならないという
 取締役の皆さんの必死さはよくわかりました。
 一方で、世界の緊張・分断が強まる世界で
 旅行需要ももとに戻るだけでしょうか。
 エイチ・アイ・エスさんが
 成長してきた40年と別次元になるのではないでしょうか。
 これから10年、20年を考えた経営をどうお考えですか?」



「リストラが長引き、賞与も出ない状況が続く中
 現場従業員の皆さんの士気は相当下がっておられると
 思います。
 そんななか、グループパーパスとは
 『「心躍る」を解き放つ』を定められたことは
 素晴らしいです。

 ただ、ともすれば抽象度が高すぎて、
 どのエンターティンメント企業にも
 当てはまるようなメッセージ。
 このパーパスはどういった背景から生まれ、
 大切な現場への浸透はどうされていますか?」



澤田さんからバトンを渡された
矢田素史社長は真摯にお答えいただいたものの、
竹を割るようなすっきりさは感じられませんでした。



もちろん、株主総会で質問する個人投資家ではなく、
機関投資家との握りですでに議事の承認は得られている
という背景はあるのでしょうが、
現場で働く人たちの気持ちを思うと寂しかった。



矢田さんといえば、元陸上自衛隊ご出身で、
『不毛地帯』のモデルともいわれた
伊藤忠商事の瀬島龍三氏と重なりますね。



あらためて思うのは
盛者必衰の理をあらわす、ということ。



澤田さんのあの素敵な笑顔がまた見たいな。
10年以上前のご著書のタイトル

「運をつかむ技術」が切なく響きます。。


前川孝雄のはたらく論


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