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ダリウス・フォルー著(2024)『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』サンマーク出版

考え方のエッセンスを詰めた本

新年始まって散髪の待ち時間が3時間もあり、仕方無く書店で積まれた本をパラパラとめくりながら、ところどころに図が掲載してあり、面白そうなので購入してみました。

本書では、心理学のプラグマティズムに依拠しているとされるが、読者は事前準備としてプラグマティズムを知らなくても、本書の内容から漠然と理解できるのではないかと思われる。大切な思考として「事実を見て、他社の意見を聞き、そのうえで現実的な結論を導き出す」ことと説いている。

本書の中で良いフレーズだとわたしが思ったのは「思考法とはつまり、「世界の見方」だ」という部分であり、確かに思考すること、その癖によっては世界の見方すら変化するものだと感じる。

また、目標と達成する方法は1つではないこと。わたしが考察するに、ゆえにその方法の前提となる条件付けによって、選択する最適解が異なるということも指摘しているわけで、例えば、完成度を高くする条件だったり、期間内での作業量を重視する条件だったり、時間の長短の重要度を条件にするだけでも相当数の選択肢があることになる。

そして、考える基となる知識に就いては、まずは点であってよいという。その点がいずれ脳内のネットワークを通じて連携していくものと捉え、良いアウトプットを得るには、十分なインプットが必要であると語っている。

そして考えるためのいちばん重要なことは、自分でコントロール可能なことを考えるということである。自分でコントロールできないことを熟考しても、それは自分ではできないために、人任せや状況の変化を待つ事以外に無い。

また本書ではニーチェの解釈を引用して、事実と真実は違うこと、そして現実とは究極的に「自分の解釈した現実」でしかない。自分とは異なる真実を信じている人をわざわざ説得する必要はないと断じている。その意味では、無駄な論争は不要であると切り捨てているわけである。

更に、人生では実際に経験しなければわからないこともあり、したことへの後悔より、しなかったことに対する後悔の方がずっと大きいという見解は、わたしも同意する。故に、何かをする機会があれば、できるだけ挑戦した方が良いのかも知れない。

本書は、まっすぐ考えることに対してプラスな面が書かれているが、結果的にまっすぐ考えるためには、その考えるための裾野になる部分をきちんと自分で判断しなければならないことを述べているように思う。内容的にはやや回りくどい説明が多い気がするが、そうなっているのも著者の意向だったのかも知れない。

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