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2020年買ってよかったグラフィックデザイン・映画・ゲームのアートブックや作品集

こんにちは!はのめぐみです。普段はアプリや Web デザインの仕事をしています。

職業柄、作品集や事例集をついつい買ってしまうのですが、今まで買った本の中でも「人に紹介したいな」と思うものをいくつか集めました。

タイトルには2020年とつけていますが、今年買ったものだけでなく数年前に買ったものも含んでいます。

ビジュアル・ハーモニー

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画像引用: Amazon

調和の取れた美しいプロポーションをいかに導き出せるか?

ビジュアルをつくるとき、デザイナが必ずと言ってもいいほど立てる問いです。この本では、世界中のグラフィックデザインの中でも黄金比やフィボナッチ数列を取り入れた事例を紹介しています。

グラフィックを解剖してどのように黄金比を適用しているかが具体的にわかるので、とても参考になります。仕事でロゴデザインをされている方はもちろん、ロゴデザインに興味のある方にもぜひおすすめしたい一冊です。

Saul Bass - A Lifetime Film & Design

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画像引用: Amazon

これは個人的に思い入れのある一冊で、わたしがデザイナを目指していた学生のときに買ったものです。ある映画雑誌で紹介されていたタイトル・シーケンスの文脈で、偶然 Saul Bass を知ったのがきっかけです。なぜなら、彼は映画のタイトル・シーケンスの先駆者だからです。

Saul Bass は CI デザインの領域でも卓越した手腕を発揮し、日本企業の CI も手掛けてきました。KOSE、前田建設、コニカミノルタ、JOMO、京王百貨店、紀文、味の素 ( 現在は新しいロゴになっています ) の CI は彼のデザインによるものです。

私の手がけたデザインは企業の意思を明確に示しています。考え、そして表わす。形にする以前の思考の密度が高ければ高いほど、デザインの密度も高くなる、といえるでしょう。
企業活動というのは、人々の願いを具体化する営為ともいえます。したがって、その企業のシンボルには人々の願いが込められています。とくにサービス産業の場合には、利用する人々が、そのサービスを享受することによって表現したいと思っている希望、願いといったものが、シンボルから汲み取れることが重要になってくるでしょう。(中略) 私の仕事は、こうした約束を支援することなのです。

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MONDO 映画ポスターアート集

MONDO は映画や音楽、ゲームなどのポップカルチャー作品に関わる商品を制作・販売するアメリカの会社です。

彼らが手掛ける映画ポスターは非常にクオリティが高く、映画ファンだけでなく映画製作者にも愛されています。その理由は、ポスターを製作するアーティストが「映画と本気で向き合っているから」です。そんな MONDO によるポスターが約300枚収録されています。

数多くのアーティストたちがクリエイティビティを存分に発揮したポスターは、見ていてとても楽しいです。例えば Back to the Future の場合は、こんな感じになります。( 1枚目と2枚目は収録されていません ) 特に2枚目は「なるほど、そうきたか!」という感じでとても好きです。ファンにはおなじみの、有名なシーンですよね。

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画像引用: https://mondoshop.com/products/back-to-the-future-matt-taylor

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画像引用: https://mondoshop.com/products/bttf-variant-bletsis-poster

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画像引用: https://mondoshop.com/products/back-to-the-future-variant-phantom-city-creative-poster

日本語版は Amazon プライムではなく、出品者から購入する形になります。定価は4,600円(税別)なので高いですね。。英語版もあります

スプラトゥーン2 イカすアートブック

スプラトゥーンは4対4のチーム戦で、インクを塗り合って競います。より多くの面積を塗った方のチームが勝ちで、とてもシンプルなルールです。インクを塗るための様々な「ブキ」や、特徴のあるステージがいくつも登場します。

ブキやステージ、キャラクターデザインやゲームの UI に関する設定資料がギュッと一冊にまとまっていて、採用案だけでなく複数の検討案も掲載されています。架空の「ブキ」がどんな仕組みで動くのかが手書きで書かれていたり、ゲーム中にさりげなく登場するグラフィックまで、本当に作り込まれているのがよくわかります。

最初から最後までイカしたアートブックです。

スプラトゥーンといえば、故・岩田聡元社長による「社長が訊く」のインタビューも好きです。こちらもあわせてどうぞ。最初は豆腐からスタートしたと知ったときはびっくりしました。

ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド マスターワークス

スプラトゥーン2のアートブックと同じく設定資料集ですが、「神ゲー」と呼ばれるブレスオブザワイルドの神具合がよく分かる一冊です。

イカしたアートブックはビジュアルを気軽に楽しむ感覚で見れますが、ゼルダの方は気合を入れてじっくり読み込むような感覚です。細部までの作り込みがやばい。本当にやばいです。語彙がなくなるレベルです。

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3章構成からなっており、1章はイラストやビジュアルがまとめられています。2章はハイラルの世界の様々な要素をカテゴリ分けし、膨大な量の設定画が公開されています。3章目は歴史。1万年前までさかのぼり、現在に至るまでの出来事を時系列で紹介しています。

SF映画のタイポグラフィとデザイン

未来の世界を舞台にすることが多いこのジャンルでは、美しい宇宙船や洗練されたユーザーインターフェイスなど「SF 映画っぽい」デザインが登場します。これらのデザインは映画の世界観を形作るのにとても重要な役割を果たしていますが、じっくりと観察したことのある方は果たしてどれくらいいるでしょうか?

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8月18日に発売されたばかりのこの本では、宇宙船の操作キーボードの細かい部分にまで焦点を当て、タイポグラフィを中心としたデザインと物語の関係性を分析しています。言及されている主な映画は『2001年宇宙の旅』『エイリアン』『ブレードランナー ファイナル・カット』『トータル・リコール』『ウォーリー』『月に囚われた男』など。名作と言われる映画たちが勢揃いしています。

SF 映画好きのデザイナ ( つまり私のことですが ) には堪らない一冊です。

▼ お気に入りのタイポグラフィ

最後なので、本で紹介されている中でも特にお気に入りのタイポグラフィをひとつ紹介させてください。

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画像引用: Alien  | Art of the Title

これは『エイリアン』のタイトル・シーケンスです。リンク先の Art of the Title の Web サイトで動画が見られるので、興味のある方は覗いてみてください。不安と緊張感をあおるこの動画を見たあなたは、きっと <落ち着かない “unsettling”> 気分になるでしょう。

静かにゆっくりと、でも確実に ALIEN のタイトルがあらわになっていく様子は、まさに映画のストーリーとリンクしています。映画の CI として、等間隔に配置された幾何学的な5文字にぎゅっと濃縮されているのです。映画を観終わった暁には、この不気味なタイポグラフィの素晴らしさにきっと気づくはず。

『エイリアン』ではしばしば H.R. ギーガーによる「異質な」クリーチャーデザインとその世界観が注目されますが、この美しいタイポグラフィも同じくらい注目されればいいのにな...と思っています。

終わりに

子供のときから映画の制作プロセスを見るのが好きでした。DVD での映画鑑賞が主流だった頃、よく特典映像としてメイキングやインタビューがついてきたので必ず観ていたものです。

最近はメイキングを観る機会が減ってしまったものの、今では記事で紹介したようなアートワーク集やデザイン事例集を買ってはよく眺めています。

インスピレーションや刺激が得られるのはもちろんですが、プロセスを知ることで、ジャンルに拘らず全てのクリエイターに対する尊敬の気持ちがより大きくなりますね。

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