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初回商談バキバキにしたら80%が提案にステップアップしてる話

背景


現在、ourlyというインナーコミュニケーションSaaSの執行役員として営業に関わる全般をマネジメントさせていただいております。

前回はインサイドセールスの改善の秘密をnoteに書かせていただきました。インサイドセールスの改善により毎月コンスタントにアポイントが入ってくるようになると次に改善するべきは初回商談となります。
初回商談は60分間というインサイドセールスが一回の電話で見込み顧客と話す時間の5~10倍ほどありますので、再現性ある成果をつくるのが難易度が高くなります。

※ インサイドセールスの話はこちら

前述の通り、初回商談は変数がインサイドセールスよりも圧倒的に多くなるので、インストールするべきことや、知識としてインプットするべきものが非常に多くなります。
なので、何回かに分けて知識ややり方(型)をインストールするよりも、一気にやったほうが良いということで日曜日の朝7時から貸し会議室に集まって合宿をして”初回商談バキバキ合宿”なるものを実施しました。笑

目指したことは、ある一定の勉強やインプットをした上で型通り商談を進めれば高い確率で提案商談にステップアップさせられる再現性ある状態を目指しました。

読んで欲しい人


  • 自社製品やサービス、プロダクトの営業をしている方

  • インサイドセールス、フィールドセールスに従事している方

  • インサイドセールス、フィールドセールスのマネージャー

  • これから営業系の仕事をする方や興味がある方

  • セールス系のインターンをしている方、これからする方

本noteで得られること


  • プロダクト営業における初回商談を改善する方法

  • 初回商談で提案に確実にステップアップする方法

  • 営業メンバーへの型と知識の共有方法

  • 提案へのステップアップを改善する方法

  • 営業組織のマネジメント方法

よくあるSaaSのプロダクト営業あるある


私自身、前職で事業コンサル、組織コンサルを行っていた関係で調査なども含めてSaaSの営業というのを何社か受けたことがありました。

これはよくあるSaaS営業のあるあるだと思うんですが
(SaaSの営業をディスる意図は全く無い事をご容赦ください)

  • 商談の目的やゴールがセットされないままフワッと会社概要、サービス紹介が始まる(アイスブレイクもほとんどない)

  • 会社概要やサービス紹介は一方的に営業の話を15~20分程度、聞き続けないといけない(会話のキャッチボールは無い)

  • 説明が終わると「何か質問はありますか?」と聞かれて「特に有りません」と答えてなんだか気まずい空気が流れる

  • 「ではまた検討されるタイミングで是非お声掛けください」的な感じで商談がフワッと終わる

みたいな営業が多いんじゃないかなと思っています。
実際にourlyでも個々人がこれまでの営業経験を踏まえながらも、できている部分やできていない部分がありバラバラな感じでした。
なので、まずは型をそろえることと前提として必要な知識のインストールをして初回商談から提案へのステップアップ率を改善することを目論見ました。

初回商談で変えた3つのこと


上記で書いたようにSaaSの営業ってあんまり受けてて楽しくないってのが正直な感想でした。なので、商談相手が楽しくなることも含めて3つのことを改善することにしました。

  • アイスブレイク & オープニングトーク

  • 会社概要/サービス紹介

  • 次回の提案商談へのクロージング


アイスブレイク & オープニングトーク

アイスブレイクのやり方やオープニングトークのやり方、ここで商談の80%くらいの方向性が決まるのにも関わらず、多くの営業は会社が用意した会社概要資料があるために”それっぽい営業”ができるようになってしまいます。
なので、商談においてすっごく重要なのにも関わらず、アイスブレイクやオープニングトークの改善は全くされずに放置されるというのが多くのSaaSスタートアップで常態化しているのかなと思います。
僕自身メンバーの初回商談に同席してみると、商談相手と信頼関係が築けていなかったり、コネクトできていなかったり(相手が気軽に相談できる状態)ということが見えてきたので、まずはここを型化して改善することにしました。

初回商談にける「アイスブレイク & オープニングトーク」の目的は整理すると下記に該当すると思います。

  • 自分自身の自己紹介を通じて、自分自身が相手にとって何者なのか明確にする。その上で相手と信頼関係を築く

  • 不足してる相手の情報(思考性、社内での役割、本商談への関心)を明らかにすることにより、商談を効果的に進められる状態をつくる

  • そもそも初回商談の目的とアジェンダ(進め方)を示し、サブクロージングをしておく

整理してみると改めて、これができなかったとしたら初回商談がうまくいくわけもないのに、先程書いたように改善されずに放置されがちです。

セールスの知識やトークは全てnotionでまとめており、下記のようにチェックリストも全メンバーにシェアして商談の振り返りがしやすいようにしています。

インサイドセールスの段階でZoomのURLを送る際にフィールドセールスで初回商談を担当する営業の自己紹介資料を事前送付しているのですが、改めて自己紹介をするようにしています。
自己紹介だけでも奥が深く、かなり自己紹介資料のつくり方、話し方についてもレクチャーしたのですが、また別の機会にnoteに書くこととします。

よくあるのが一方的に相手の状況をヒアリングせずにスタートしてしまうことがあるのですが、相手のキャリアと現在担っている役割は必ず質問するプロセスにしています。
理由は相手と信頼関係を築くこともそうですが、相手のキャリアは思考性がおよそ掴めますし、担っている役割によって同じプロダクトでも価値の感じ方、導入ハードルの感じ方は変わりますので、確実に質問するトークスクリプトにしています。

その上で目的とアジェンダ(進め方)を示し、サブクロージングをするスクリプトにすることで誰がやってもパーフェクトな商談の入りができるようにしています。
(特別にこの部分だけスクリプトを公開)

一言一句誰でも実施できる状態にしていることと、解説を含めることで、なぜそのトークスクリプトになっているか?を納得感をもって得られるように工夫しました。


会社概要/サービス紹介

パーフェクトなオープニングトークが決まったら、次はいよいよ会社概要/サービス紹介のパートです。多くのSaaS企業が自社の営業資料をもとに15~20分くらい喋っているんじゃないかなと思うのですが、ourlyもサポートを始めた時にはそのような状態になっていました。

いくらプロダクト営業でもコンサルティング営業の要素が必要になり、コンサルティング営業ができるかどうかはここのパートにかかっています。ですが、一方的に話すだけでは絶対にコンサルティング営業にはなりません

※ コンサルティング営業については下記noteを参照

なので、自分たちが訴求したい機能や要素の部分で先方のニーズ喚起をする必要があります。また、そこで適切な事例や運用イメージを話すことによって、相手の解決イメージを膨らませられるだけ膨らませる必要があります。

まとめると下記のような状況を型化して会社概要/サービス紹介が盛り上がるように型を設計しました。特に自社プロダクトやサービスの売り込みたい要素がいくつかあるはずなので、その部分が鍵になります。

■ 自分たちが訴求したい機能の部分のパートで機能説明の前に質問をする
「ちなみに御社では〜〜の部分の運用はどのようにされていますか?」
「○○さんから見て、何がうまくいっていて、何に課題を持たれているか教えていただけますか?」
相手の言ったことや相手のことを承認するコメントを入れる

■ 訴求したい機能の説明をする(端的に説明する)

■ 機能の説明の後に、相手のニーズに合う企業事例、運用イメージを話す
「ちなみに御社と同じ規模のN社では、本機能を使って〜〜のような運用をされていまして…」
「例えば、御社で言うと□□を巻き込みながら、△△みたいな企画をすると良いかもしれないですね。理由は〜〜」
「こういった運用なんてどうでしょうイメージ湧きますか?」
相手が盛り上がってきたのを感じたらYESを引き出すサブクロージングをしておく
「こういった運用や効果が得られたら御社にとって価値がありそうですか?」 → 商談相手「はい、そうですね」

自社が訴求したいポイント3つほどで上記のように話を進められると会話のキャッチボールになり、相手は退屈しないですし、相手の中でニーズ喚起と解決イメージが膨らみ、”これは面白い!””これは価値がある!”というホットな状態になっています。

ここまでできていると実はヒアリングやディスカッションは本当に最低限で次回商談のクロージングに進めることができます。


次回の提案商談へのクロージング

前述の通り、ホットな状態ができたらヒアリングもせずにクロージングしてもOKです。
ourlyの初回商談は60分の枠でいただいていますが、45分~50分で終わるように型を設計しています。様々な理由がありますが、大きく分けると下記の3つです。

① 密度濃い商談ができれば30分でニーズ喚起と解決イメージの膨らましが可
② 残りの10~15分で次回商談(提案)のクロージングができれば充分
③ Zoomが普及したことで隙間なく商談/ミーティングが入っている人が多く商談相手に休息の時間が提供できる

オープニングトークと同じようにチェックリストを言語化してシェアしているので、振り返りの際にどこがうまくいかなかったか?ということがメンバーごとに把握しやすくなります。

「クロージングは詰将棋と一緒、簡単だ!」というのは私の恩師である前職の社長が何度も言っていたことで、まさしくクロージングには型があり一つ一つを会話によってクリアしていくだけ。シンプルにそれだけです。
トークスクリプトの実物は公開できないのですが、いくつかの分岐と応酬話法がありつつも、基本的なクロージングの流れは下記の通りです。

① 「本日お話させていただいたプロダクトやサービスにおいて御社と○○さんにとって価値がありそうだと感じていただいた部分はどんな部分でしょうか?」

価値がある部分を話してもらうことは相手が買う理由を自らの口で話すことになるので、とっても効果的。提案づくりでも膨らますことで好印象をつくれる

② 「もし仮に導入するとしたら、ハードルになりそうなことは何ですか?」

ハードルや懸念をヒアリングしておくと提案や運用サポートなどでカバーできるので、相手が提案の時に「そういえば…」となって受注を逃す可能性を減らせる

③ 「次回、今回話させていただいた運用イメージや当社のサポートなども含めて、当社のできるベストなご提案をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

・①②はオープンクエスチョンで③はクローズドクエスチョン
・クロージングはクローズドクエスチョンするからクロージングである
・”自分にとってのベストな提案”を聞きたくない人はこの世のほぼいない

ここまで書いてきたプロセスを踏んでいれば、ほぼ間違いなく「はい」「是非、お願いします」と回答が返ってくることでしょう。
実際にourlyでは本プロセスを全営業メンバーにインストールしてから次回商談(提案商談)へのステップアップ率が80%を越えています。
※ n数(商談数)は20商談以上ありました。

あとは次回商談日を決めて、提案に盛り込むべき内容をヒアリングして終了できます。
(細かいノウハウを含めると、クロージングだけでもnote書けそうですが…)

まとめ


インサイドセールスの改善のときにも感じたことですが、どんな若手でも適切な武器をマネージャーや会社側が提供できれば、きちんと成果出せるようになります。
もし、メンバーが成果なかなか出さないとか、なかなか成長しないとか思っている営業マネージャーがいたとしたら、「本当に戦う上で必要な武器を提供できているだろうか?」とマネージャー自身の能力を疑ったほうが良いかも知れません。
(コンサル時代の僕は全くできていなかったので自戒の意味も込めています笑)

ourlyの営業チームではこれらをホワイトボードを使いながら、ディスカッション形式(セッション形式)で全員にレクチャーしました。
レクチャー内容は、次に入ってくるメンバーのために全てを動画をnotionに蓄積しています。
(動画は中田敦彦さんスタイル笑)

メンバーだけで初回商談から提案へのステップアップ率が激上がりしたので、私自身はもう初回商談にほとんど出なくて良い状態にまでなりました。
次回は「提案バキバキ合宿」というものが開催されるので、そちらもまたnoteにしたいと思います。

ourlyでは営業に挑戦したい方や大学生でインターンを通じてバキバキに成長したい方をお待ちしております。


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