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【No.5がもたらす流動性】|マンチェスター・シティ×ブライトン|プレミアリーグ第9節|マッチレビュー

代表ウィークが終わりプレミアリーグが再開。マンチェスター・シティはホームにブライトンを迎えた。シティはなんとリーグ戦約5年ぶりの2連敗で今節を迎えることに。本当凄い数字だ。

首位に立つロンドンの2チーム(アーセナル、スパーズ)にこれ以上勝点を離されるわけにはいかないペップ・シティが、試合開始から攻撃的な姿勢を見せていった。

この試合から2人のシティの中枢が帰ってきた。怪我からの復帰のストーンズと3試合の累積警告が終わったロドリだ。この2人がボール保持の局面でチームに安心感と流動性を与えていった。

それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきたいと思います!


▪️ブライトンのボールを左へ誘導

試合開始から最後まで。両チームともに、ボール非保持局面はラインを非常に高く設定したハイプレッシャー合戦となった。

まずはシティのハイプレッシャーの解説。シティはベースの[4-3-3]から右IHのアルバレスが一列前に出て[4-4-2]の陣形でプレッシングを仕掛けた。

ブライトンの攻撃はGKを加えて相手のプレスを引きつけて引きつけてひっくり返し、レイオフでの前進やWGの斜めのランニングからの裏とりが特徴の一つ。

それを実行するために準備されたボール保持時の陣形が[2-4-2-2]のような陣形だ。ブライトンの最終ラインは2CBにGKを加えての3バックになり相手のファーストプレスを引きつけて剥がしていく。

そこに2CHが縦に落ちるアクションで縦パスを受けてGK→CH→CBを前向きにしたり、GK→CH→CHで前向きを作ったり。CB→CH→落ちるトップへフリック。そんなアクションを織り交ぜて集めたプレスを剥がし、最後はワイドの高い位置で待つWGへボールを展開して一気に攻撃のスイッチを入れるのがブライトンのやり方だ。

そしてこの戦術を実行する上でのブライトンのキーマンはCBのダンクとグロス。ブライトンの攻撃は2人が関わり出すとスイッチが入る。

特徴的なデ・ゼルビ・ブライトンを止めるべく今季もいろんなチームがいろんな対策を講じてきた。それではこの試合のシティはどんな狙いを持ってブライトンの特徴をもみ消していったのか?

シティはブライトンがボールを持つと前述で少し触れたが、[4-4-2]の陣形でハーフコートマンツーマン気味でボールと人へ圧力をかけにいった。

この際ブライトンのボールを左へ左へ誘導していった。シティ側からみて右サイドへ。それは右CBダンクにボールを渡さない為であり、ハーランドが2トップのダンク側に位置取っている理由からブライトンのボールを左へ誘導していったと推測している(アールバレスの方が連続した守備うまいからそっちへ誘導してボールを奪おう!という狙いかと)。

そしてGKスティールへのプレスはやや抑え気味にする狙いもあった。それGKに食いついた瞬間ブライトンのお得意技である、GK→CH→CBのレイオフを織り交ぜたファーストプレス回避が発動されるのでそこを踏まえて、アルバレス、ハーランド、ロドリ、ベルナルドは自分のマーカーをしっかり抑えながら、ゆっくりジリジリとGKスティールへの距離を縮めていった。

このシティが準備した左へ誘導するハイプレスは功を奏しブライトンは自陣でボールをロストするシーンが目立っていった。

しかしそうなれば当然ブライトンも前のめりのシティに対して長いボールを使ってプレスをひっくり返すプレーも見せるが、そこもシティにはおり込み済みだった。

シティの最終ラインに並ぶバック4は右からウォーカー、ストーンズ、アカンジ、グヴァルディオル。どの選手も高さと強さ。速さを兼ね備える選手たち。ブライトンの長いボールでハイプレスを掻い潜るという術も消し去っていった。

▪️プレスをずらすGKとアルバレス

シティはボール保持局面でもブライトンを翻弄していった。

シティはボールを保持すると右CBに入ったストーンズが一列前に位置どり偽CBを発動。ロドリと共に2CHを担い後方[3-2]を形成。

これに対してブライトンもシティ同様にボール非保持はハイプレスを仕掛けた。シティのストーンズの偽CBを用いた後方[3-2]陣形に対して明確に人をぶつけて数的優位を作らせない。

このブライトンのプレスに対してすぐさまシティが動き出す。IHのアルバレスが列を降りてボールを引き出す。2CHのロドリとストーンズと同じ高さま落ちることでブライトンのプレスの基準をずらしていく。

アルバレスが列を降りたことでシティはビルドアップ局面で7vs6の数的優位を作り出すことに成功。その影響でブライトンのプレスのずれが要所で発生。シティがハイプレスを掻い潜り敵陣でボールを保持する時間を増やしていった。

そしてビルドアップを終えるとシティは中央から左サイド。もしくは右のフォーデンから左の幅で待つWGドクへボールを供給。オープンな展開を用意された左WGドクは積極的にドリブルで仕掛けてサイド深くを何度も抉ってチャンスを量産。

シティの先制ゴールもそんなドクのドリブルから生まれた。

▪️ブライトンの修正

シティは前半ブライトンのスローインから高い位置でボールを奪ってハーランドのミドルシュートで点差を2に広げてハーフタイムへ。

リードを奪ったシティは後半に入っても優位にゲームを進めていった。しかし後半中盤。65分ギルモアとアンス・ファティの投入でブライトンの攻撃が一気に蘇る。

ブライトンはボール保持の陣形を変化。これによりシティのハイプレスのずれを作り出しビルドアップからフィニッシュ局面へ移行できる回数を増やしていった。

後方でボールを持つとSBを高い位置へ上げて、その開けたスペースに中盤のグロスが斜めにダウン。CBからグロスがボールを受ける回数が増え、彼から前線へパスが送り込まれるように。

またSBが高い位置に上がったタイミングで左WGの三笘が中に入り縦パスを受けるシーンも。このポジションチェンジでシティのプレスがわずかに遅れたタイミングを逃さず三笘が中央で起点となりブライトンが前進するシーンも作り出していった。

三笘は中央で起点になるだけでなく、SBが高い位置をとったことでより高い位置へ。背後へのアクションを増やしシティのゴールへ迫る回数をどんどん増やしていった。

途中交代で入ったファティとのコンビから三笘サイドからどんどんチャンスを作り出していていったブライトン。そして73分そんな三笘の左サイドからのドリブルを起点に最後はファティが押し込みブライトンが1点を返す。

▪️おわり

1点差に詰め寄ったブライトンはその後も後世に出るも、シティの牙城を崩すことはできずにタイムアップ。シティがリーグ戦の連敗を2に止めホームのサポーターと共に勝利を分かち合った。

この試合先発に戻ってきたCBジョン・ストーンズ。ボール保持では中盤に入ってロドリと共にシティの攻撃の中枢を担い、大いに攻撃を循環させていった。本当にプレーエリアが広いし、サポートに動く場所とタイミングが絶妙だった。そんな彼のお陰で、右WGフォーデンと右IHアルバレスはアーセナル戦よりも流動的に。自分の持ち場を離れてのプレーが可能に。それにより左サイドで数的優位ができ、多くのドクのドリブル突破のシチェーションにもつながった。右サイドの2人が左サイドへ移動すれば当然右サイドが手薄になる。しかし思った瞬間にはもうすでにストーンズが右のハーフスペースに立っておりそんな悩みを解決。

本当に戦術眼にたける選手であり、本当にCBの選手なの?とこの試合でも私たちがイメージするCBという概念をいつものように壊してくれた。

そしてストーンズと共に戻ってきたロドリの安定感は凄まじかった。彼がいなかった試合を見たからこそ感じる彼の存在感。本当に頼もしい2人が帰ってきてくれた。

リーグ戦の次節の相手はマンチャスター・ユナイテッド。舞台はオールドトラフォード。マンチェスター・ダービー。あぁ楽しみすぎる。早く週末になって欲しい。次節もペップ・シティらしい戦いを是非見せてほしい。


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