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【プレスの先へボールを運べ!】ペップ・シティ考察|アーセナル×マンチェスター・シティ|プレミアリーグ第8節|考察
プレミアリーグ第8節。シティはアーセナルの本拠地であるロンドンへ乗り込んだ。結果は途中交代で入った左SB冨安が起点となり86分マルティネッリのミドルシュートが決まりホームのアーセナルが1-0で勝利をおさめた。
この試合シティは思い通りにフィニッシュの形へ持ち込めなかった。その要因を私なりに考察してみた。
どうやったらもっと決定機を作れたか?
アーセナルのハイプレスを交わし集めるまでは作り出せたシーンもあった。しかし問題はそこから先。アーセナルのプレスを集めた後ろの背後や逆サイドへボールをどうすれば展開できたのか?そんな考察をこのnoteでは話していきたいと思う。
そしてそんな考察を考えるほどロドリの不在の傷の大きさを痛感することになった。
▪️アルバレスのレーン移動・ピッチ横断
アーセナルはシティが自陣でボールを持つとハイプレスを仕掛けた。ウーデゴールが中盤から一列前に上がりトップのエンケティアと共にファーストプレスを務る[4-4-2]をベースにしたハイプレスでシティのビルドアップを高い位置から妨害しに出た。
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それに対しシティは4バックと中盤3人+GKエデルソンの8人の選手を有してボールを動かした。骨太の屋台骨を形成したことで、アーセナルの強度高いハイプレスの嵐をしっかり受け止められるシーンを作り出していった。
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ハイプレスをしっかり受け止められると何が起きるかというと、背後やボールサイドとは逆のスペースに大きなスペースを作り出せることになる。
シティはウーデゴールのファーストプレスをGKエデルソン→落ちるベルナルド→アケの三角形で交わす→アーセナル右WGのジェズスがアケへプレスに出てくる→左CBアケは横に広がった左SBグヴァルディオルへパス→アーセナル右SBホワイトがプレスに出る→フォーデンがボールを受けに落ちる→アーセナル中盤ジョルジーニョor CBサリバが出てくる。
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この様にシティはアーセナルのハイプレスを受け止めながらボールを右サイドに一つ一つ繋いでいった。繋いでいく度にアーセナルの選手が集まってくる。しかしこの試合のシティはプレスを集めた先を中々作り出せなかった。
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前述した通り後方の屋台骨は骨太だったので、アーセナルのプレスが集まった局面でボールを奪われてもショートカウンターへつながるシーンも少なかった。ここも後方の屋台骨に多くの人を割いた理由だったはずだ。アーセナルの攻撃をスピードアップさせたくない。それは後述でも話すがハーランドへのロングボールの少なさの理由になったと憶測している。
やや脱線したので戻します。
それではシティにどの様なアクションがあったら、アーセナルの連動性高いハイプレスを、このプレミアでも随一の精度と強度を兼ね備えたプレッシングを超えて決定機まで繋げられるのか。そんな私の見解をここからは話していきたいと思います。
▪️アルバレスのレーン移動・ピッチ横断
まず一つ目がアルバレスのレーン移動のアクション。自分の持ち場を離れて逆サイドまでボールサイドに寄っていくピッチを横断するアクション。
アーセナルのプレスをシティの左サイドに集めた時、SBのホワイトも積極的にプレッシングに参加。時にはCBのサリバも前に。(でもジョルジーニョが前半早い時間帯にイエローカードをもらった後から、ややサリバが前に出るプレッシング設計を変えたんだよねアルテタ監督は)そうなれば当然開くのが背後のスペース。
そこへもっとハーランドが裏へ抜けるアクションも欲しかったが彼は当然密着マークに合っている。そこで登場するのが逆サイドのIHのアルバレス。
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この試合ボール保持の際には右サイドから内側に入ってプレーすることが求められたアルバレス。自分の持ち場を離れてもっともっと逆サイドまでボールサイドに寄っていくピッチを横断するアクションを見せても面白かったなと感じた。
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ペップ・シティを長らく観察している人からすればあのアクションね。デ・ブライネやギュンドアンがIHに入った時よく行うプレーだよねと記憶が蘇ると思います。
逆サイドのアルバレスが左サイド自分の持ち場を離れてボールサイドに寄っていくことで数的優位を作ったり、相手のプレスを分散させる効果が。こんなアクションがあったらアーセナルのハイプレスを超えられたかもしれないですね。
▪️左から右へ。横への展開。
左サイドの背後に加えて開くスペースがあった。それは逆サイドのスペース。集めた左からウォーカーの待つ右サイドへボールを展開できれば、アーセナルの集めたプレスの先へ進めたはずだ。
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しかしこちらも中々左から右へシティがボールを進めることは少なかった。アーセナルの左WGトロサールがシティの左サイドにボールがある時にはしっかりと内側に絞ってリコ・ルイスを監視しており、逆サイドへ展開する起点の一つを潰していたことも、シティが横へボールを運べなかった要因の一つ。
そして左から右へボールを展開出来なかったもう一つの要因として考えられるのが右利きアンカーの不在。まさにロドリの不在が痛かったなと感じるシーンだったでもある。
右利きWGグリーリッシュがいても、相手のプレスを背負いながらボールを右足で隠しながらカットイン(左サイドから中へのカットイン)→左から右の幅をとるフリーのウォーカーへボールを展開出来たのかなと思った。また右利きの左サイドバックをこなせるカンセロみたいな選手がいてもそんな展開に出来たのかもなと感じた。
▪️ハーランドへのロングボール
次はこの試合GKエデルソンを含めて、最終ラインからアーセナルのハイプレスをひっくり返す様な長いボールが少なかった理由を考えてみた。
アーセナルが人に重きを置いたハイプレッシャーを仕掛けて来たならば当然、シティの最前線に待つハーランドは数的同数の状況になるシーンは少なくなかった。
確かにマッチアップしていたCBサリバやガブリエルは対人守備も強い選手だが、ハーランドのスキルを考えれば数的同数の状況になっているならばもっと彼への長いボールを頻繁に使っても良かったのではないだろうか。
シティの後方GKエデルソンを含めて、ハーランドにロングボールを蹴れる状況、時間があるシーンでもそれを選択しないシーンは多かった。
それではなぜ数的同数のハーランドへのロングボールを蹴る回数が少なかったのか?
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それも不在のロドリの存在が大きかったのかなと考察している。
前述した通りシティはビルドアップ時にGKエデルソンを含めて8人の選手をビルドアップの配給役を担わせた。ビルドアップに関わる人数を多くすることで数的優位を作り出して相手のプレスを外していく狙いに加えて、ボールをロストした際に相手にカウンターを打たせない狙いも隠されている。
シティ最大のフィルター役になれるロドリの不在。それに伴い相手に出来るだけスピードアップさせた攻撃をさせない設計。カウンターを打たれない為のトランジション局面の設計。
そのことを踏まえてこの試合採用された戦術が後方で8人の選手を有したビルドアップ→ショートカウンターを発動する時間とスペースの搾取。
そしてハーランドへロングボールの少なさにもその影響が及んだのかなと私は思った。
ハーランドへの一本のロングボールで確かにアーセナルのハイプレスを超えられ、一気にゴールへ突き進むプレーが出せる。しかしその一方、そのボールを跳ね返されて、セカンドボールを回収されればショートカウンターを受けるリスクが倍増。
しっかりセカンドボールを拾えるように中盤の押し上げをすればいいのでは?しかしシティはこの日8人(GKエデルソンを加えて)の選手がビルドアップに関わっているのことを考えると、どうしても前線のハーランドと中盤の間に大きなスペースが空いているのは想像がつくはずだ。
そういったことが踏まえられてハーランドへのロングボールが少なかったのかなと私は考察した。
▪️おわり
試合を終えて、試合を見返すほどロドリ不在の影響は大きかったのかなというのが感想だ。この試合右の幅をとる担当を担ったウォーカーが相手SBの背後から斜めに走り込む、バックドアのアクションが少なかったのも右利きのロドリの不在が影響してるんだろうなぁ…
ロドリの出場停止期間はこの試合で終了。ロドリが出場停止となった3試合でペップ・シティは見事に3連敗。ペップ・シティで一番失ってはいけない男の存在を知ることとなった。ロドリ不在でできる戦術も確かにある。チームも色んな闘い方を試みた。しかしロドリがいないことでペップ・シティが実行できる戦い方の幅が狭くなることをこの3試合でチームは痛感したはずだ。もしかしたら冬の意識マーケットでこれを踏まえた補強が見られるかもしれないね…
この試合の敗戦によりシティは首位の座をトッテナムに渡すことに。リーグ戦は2連敗に。リーグの連敗はなんと5年ぶりだったようだ。これまたすごい数字。負けたことで浮き彫りとなった凄まじい功績。これもなんだかペップ・シティらしいというか、彼らがどれほどの功績を積み上げてきたのかシティファンは感じたはずだ。
ストーンズもこの試合出場。デ・ブライネ以外のスカッドも戻りつつあるペップ・シティ。リーグ戦8試合を終えて6勝2敗。シーズン序盤のペップの実験タイムも終わり、いよいよ今季の戦い方の方向性を年末にかけて作り上げていくはずだ。
アーセナル戦はこれで連敗(コミュニティーシールドと今回のリーグ戦)。次戦うときはこのハイプレスを超えた先にどんどんボールを運んで、迫力満点の攻撃力をお見舞いしてもらいましょう!それではまた!
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