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【課題と収穫】いざ!本番へ! 親善試合 日本代表×カナダ代表|マッチレビュー

カタールW杯前最後の親善試合となったカナダ戦。

怪我人、コンディション不良、手札を隠す…両チーム共に色んな思惑がひしめく90分となった。

アピール出来た選手、上手く機能した戦術、そして見えた課題。

残念な結果に終わってしまいましたが、この試合の課題をしっかり受け止め、是非本番では日本代表戦士たちには大いに暴れて欲しいと思います!

それでは簡単に試合を振り返りながら、この試合で見えた【課題と収穫】を話していこうと思う。

▪️足りなかったのは連動性なのか?強度なのか?タイミング?

◎カナダの2-2ビルドアップ

両チームのスタメン!

日本の陣形は4-2-3-1。ボール非保持時にはトップ下の選手が一列前に上がり、4-4-2の陣形でカナダのボールへ積極的に出ていった。

高い位置へのプレッシングでカナダのボールを奪ってチャンス!というシーンもつくったが、それ以上にカナダのビルドアップが成功し、前進されるシーンが目立った。

見ている人も、中でプレーしている選手の声を聞いても、この試合の日本の課題はボール非保持局面での振る舞いだったように感じる。

カナダの陣形は4-4-2。実況の人が3バック!3バック!という連呼に引きずりこまれそうだったが、強い気持ちで4バックだよな!と自分に言い聞かせた。

カナダはボールを持つと、4バックの両SBが自分の持ち場を離れ、ボールに関与していった。

左SBのサム・アデクグベは主に左の高い位置に上がり幅をとる。時には中に入って中央でボールに関与するシーンもありこれまた日本の厄介の種になった(本番はこのポジションに、バイエルンの世界一速い左SBアルフォンソ・デイヴィスが入るのでカナダはもっと強いんでしょ?恐るべしカナダ!)

右SBのアリスター・ジョンストンは、日本のプレスの出方に合わせてポジションをとるのが非常に巧みだった。

中に入るのはもちろん、右サイドで幅をとるタジョン・ブキャナンと同じレーンにわざと立って、日本の左SB伊藤がプレスに出れない位置でボールを受けたり、日本の中盤を引きつけて、中央からの楔のパススペースを作ったり。

日本にとって、本当この選手はビルドアップ局面で憎い存在となっていた。

両SBが自分の持ち場を離れることで開くスペースが出来上がる。そこに中盤の2枚が落ちてボールを引き受ける。カナダの後方からの前への球出しを担ったのが、2CBとこの2人の中盤だった。

2-2(2CB+2CH)が後方でボール動かし、前線で待ち受ける2トップ+左の幅をとる左SB+右の幅をとる右SHにボールを届けて前進していった。

ここで名前の上がらなかった右SBジョンストは状況を見て、後方か前線へのルプに入る役割を担った。

◎分断された日本のプレス

このカナダの2-2ビルドアップに対して、日本のプレッシングが段々とはまらなくなっていった。

先制点を早々にとった日本だが段々とカナダの土俵へ引き摺り込まれていった。

先程少し触れたが、日本のボール非保持陣形は4-4-2だ。カナダの2CBにはプレスが噛み合う設計だが、カナダの中盤から斜めに落ちてくる2CHをつかまえられなかった。

カナダの中盤を監視していた柴崎と田中がそこまでついていけば、斜めに落ちるカナダの中盤にパスが通らなかったはずだが、中々そこまでついていけない。

そこまでついていってしまうとライン間(DFと中盤の間のスペース)が開いてしまう縦パスが入るスペースを開けてしまうからだ。

そしてここでビルドアップ局面での一番の厄介者の登場。カナダの右SBジョンストが中に外に巧みに立ち位置をとることで日本のプレスは定まらなくなった。

カナダの落ちる中盤に対して左SHの久保が前に出てプレスに出る。

そうするとカナダの右SBジョンストがワイドに下がってボールを受ける。一列前の右SHのブキャナンと同じレーンに立つことで、左SBを務めた伊藤も連動して前に出れずに、右SBのジョンストがフリーとなった。

左SBの伊藤が前に出れないんだったら、中盤の柴崎がサイドに流れて対応するよ!とアクションを起こせば中盤に縦パスを通すカナダ。

後方から細かな繋ぎに加えてカナダは、背後を突くパスも織り交ぜて来るのでさらに日本は苦しかった。カナダの右サイドに日本を集めると、左SBの伊藤の背中をとるアクションを起こし、長いボールで一気に前進するチームも。

やはりW杯に出てくるチームなだけあり、カナダのチームとしての完成度の高さが伺えた。

◎日本のプレスのポイントはタイミング?

日本のプレスが全く機能しなかった訳ではない。日本の先制ゴールは、カナダに前から圧力をかけたことがきっかけ。カナダに長いボールを蹴らせて、回収して前向きを作り、柴崎からのパスに抜け出した相馬が奪ったゴールだった。

それではもっと機能的に日本プレスが発揮される為には何が必要だったのか?

私が挙げたいポイントは

「タイミング」

前からプレスを仕掛けるのに、いつ、どこで、どんな状況でプレスのスイッチを入れるのか=タイミングが非常に重要になる。

単騎で1人でプレスに出れば中盤、背後に大きなスペースが開いてしまうリスクがあり、連動性が求められる。

体力消耗も激しい。

強度も求められる。

連動してプレスに出れる状況なのか。体力ゲージは足りているのか。そこがしっかりマッチした状態で前からプレスを仕掛ければ、もっとカナダのビルドアップを妨げられたはずだ。

プレスがバラバラになり剥がされてしまうシーンが後半目立った。体力ゲージが足りなければ交代枠を使うのか、プレッシングを行うためにボールを保持する戦い方も必要になってくるだろう。

本番ではよりタイミングのあったプレッシングから、世界の強豪国を後退りさせて欲しい!

▪️ボールの奪われ方

短期決戦やトーナメント戦になればセットプレーの重要性は当然高くなる。リスクをかけずに1発のセットプレーで勝機を狙う戦い方をするチームも多くなる。

この試合日本代表が奪われた2失点ともにセットプレーだった。セットプレーでの守備の改善は急務なのは間違いないが、この2失点ともに「ボールの奪われ方」が非常に悪かったことにもしっかり目を向ける必要があると思う。

1失点目は後方から細かくボールをつないで、トップの浅野への縦パスをカナダのCBに前向きで奪われて、右サイドを抉られて与えてしまったCKから。

2失点目はカナダのCKからロングカウンターを発動。しっかりゴール前までボールを持ち運ぶも、今度はカナダのロングカウンターを食らってしまい、最後は山根が相手をペナルティエリアで引っ掛けてしまい返上したPKから。

どちらの失点も「ボールの奪われ方」が悪かったことがきっかけだった。ボールの奪われ方が悪いとはカウンターを打たれてしまうボールのロスト。トランジションがかけられずに一気にスピードアップされる。守備ブロックが形成できない間に攻め込まれてしまうボールロスト。

反対にカナダはボールの奪われ方が悪いシーンはあまりなかった。数字として日本よりも2倍以上コーナキックの数が多かったこともそれを意味しているのではないだろうか。

「ボールの奪われ方」を改善すれば自然とセットプレーの数も減っていくはずだ。また「ボールの奪われ方」悪く相手にスピードに乗られた攻撃をされても、慌てずに不用意なファールをしないことも重要になるだろう。

本番ではこの試合の反対で、あっと驚くセットプレーからゴールを奪うことを期待している!

▪️プランB【3-4-2-1】

ここまでやや日本の課題の話が多くなってしまったが、最後はちょっぴり明るい話題をお届け。

試合終盤日本代表はプランBをお披露目。南野に変えてCBの吉田を投入。これにより陣形を3-4-2-1に変化。攻撃時には前線に5トップを形成し5レーンアタックで攻め込む。

カナダの4バックに対して前線5人が攻め込み、中盤柴崎から右の幅をとる山根が抜け出し決定機を演出。これは惜しくもバーを叩きゴールには至らなかったが、プランBがもたらしたチャンスだった。

プランBがあることで状況に合わせた戦い方の幅が増える。本番ではこのプランがなるべく実行されないことを祈りつつ、新たな日本の形が見えて本番への期待が一層膨らんだ。

おわり

カタールW杯前に行える試合が全て終わった。後は本番に向けて、少しでも良いコンディション、細かなディテールの確認等の準備をするだけだろう。

ドイツ、コスタリカ、スペイン相手にどんな戦いをしてくれるのか非常に楽しみだ。是非!世界を驚かせて欲しいですね!

本気の本気の世界の戦い!4年に一度の祭典W杯。こちらも本気で楽しみたいと思います!

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