兎る虎

たったひとつの詩を求めて、試作る。

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記事一覧

「 子ども舌 」

今日の晩ごはんは たらこ スパ スパ 舌もこえあげ、ハスハスハス 食後のデザートに タバコ スハ スハ 隠し味に、満たされるひと時 このひと手間が大事なんでい 大事な…

兎る虎
3日前
2

「 隣人 」

おらのむねはね、 あったけえんだ おらのめにはね なんもかんも こびとさんが いっしょけんめいに まわしてみえんだ だもんで きみのむねもね、 あったけえんだ

兎る虎
8日前
6

「 散歩 」

用水路に流れる 水は 水のりみたく、 何層もの膜で ひかりを遮っていて 不純物まんてんだ だのに どこか 何カラットの輝きを 映していた

兎る虎
1か月前
11

「 日常とさけび 」

今朝も聴こえた お風呂から、洗濯機から 生活にまぎれた 助けて、とふり絞るような 不気味な音 夜が明けると、 昨日の私たちは用済みで 日常のなか 違う何かが 成り変わ…

兎る虎
1か月前
13

「 静寂 」

目を、耳を澄ましてみる 色とりどりの小人の演奏会 時計が針を刻むように 気付いて、と 音を立て始めるのがわかった いままで気にも留めなかった 彼らの息づかい それはま…

兎る虎
1か月前
11

「 日々 」

鏡にうつる お髭ひとつ 生長する命を踏みつぶして 今日も、生活がはじまる 誕生を祝福できないこと、 死は事実になりさがったこと 洗面台に振り返るだけで 当たり前じゃ…

兎る虎
2か月前
9

「 灰のなかで 」

誰も彼もが踊っている 熱といっしょに踊ってる 燃え尽きるまでの一瞬を 逃れようもない抗いようもない 生まれたときから そう決まっていたのだ いや 熱のない暗がりを 確…

兎る虎
2か月前
8

「 ひかり 」

誰かひとりに 倚りかからぬ夜がほしい 醒めたさめた 朝がくる あの、陽だまりに眩るまでは なければ、を手放して いきたここち

兎る虎
2か月前
11

「 子ども舌 」

今日の晩ごはんは
たらこ スパ スパ
舌もこえあげ、ハスハスハス
食後のデザートに
タバコ スハ スハ
隠し味に、満たされるひと時
このひと手間が大事なんでい
大事なんで欠かせないんじゃい
ワシのフルコース、
おいしかろ うまいじゃろ
(なんだトゥ!)
満足いかねえおめえさんには
こいつでどうだ!
最終奥義、お子さまプレート!
オレンジジュースも付けちゃろまい
うまかろ おいしいじゃろ
どうでい 

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「 隣人 」

おらのむねはね、
あったけえんだ
おらのめにはね
なんもかんも
こびとさんが
いっしょけんめいに
まわしてみえんだ
だもんで
きみのむねもね、
あったけえんだ

「 散歩 」

用水路に流れる
水は
水のりみたく、
何層もの膜で
ひかりを遮っていて
不純物まんてんだ
だのに
どこか
何カラットの輝きを
映していた

「 日常とさけび 」

今朝も聴こえた
お風呂から、洗濯機から
生活にまぎれた
助けて、とふり絞るような 不気味な音
夜が明けると、
昨日の私たちは用済みで
日常のなか 違う何かが
成り変わっているのではないか
そんな予感

今日の私が 私らしく寝坊して
私だけはもとのまま、という
わけでもないのに
他人がいっそう怖くなる
いつか、いつかの好奇心で
手を伸ばしてしまったとしたら
今日の私もいなくなるのだろうか

ああ そ

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「 静寂 」

目を、耳を澄ましてみる
色とりどりの小人の演奏会
時計が針を刻むように
気付いて、と
音を立て始めるのがわかった

いままで気にも留めなかった
彼らの息づかい
それはまるで
彼らには彼らの
定めた、
六十秒があるようにも思えて

時計を失ったら 僕らも
その日暮らしのばか騒ぎ、に
きっと 夢中で取り掛かれる
仲間はずれなんて、いない
一生を

  「 日々 」

「 日々 」

鏡にうつる お髭ひとつ
生長する命を踏みつぶして
今日も、生活がはじまる

誕生を祝福できないこと、
死は事実になりさがったこと
洗面台に振り返るだけで
当たり前じゃないか、と囁かれる

今日の僕は誰の何を奪ったのか
それすら定かではないけれど
人の迷惑、なんて言葉
生きるためには言えなくなった

いただきますと、ごちそうさま
おはようと、おやすみ
なくしてしまった 生活のおと

 「 灰のなかで 」

「 灰のなかで 」

誰も彼もが踊っている
熱といっしょに踊ってる
燃え尽きるまでの一瞬を
逃れようもない抗いようもない
生まれたときから
そう決まっていたのだ
いや 熱のない暗がりを
確かめたくはないから
そう決めたのだったか

灰のなかを夢にみる
線香花火のような
星を追うのではなく、
ただひとつの燻る宝物を
持っていられたのなら、と

いまはまだ 熱のなかで

  「 ひかり 」

「 ひかり 」

誰かひとりに
倚りかからぬ夜がほしい

醒めたさめた 朝がくる
あの、陽だまりに眩るまでは

なければ、を手放して
いきたここち