兎る虎

たったひとつの詩を求めて、試作る。

兎る虎

たったひとつの詩を求めて、試作る。

最近の記事

「 子ども舌 」

今日の晩ごはんは たらこ スパ スパ 舌もこえあげ、ハスハスハス 食後のデザートに タバコ スハ スハ 隠し味に、満たされるひと時 このひと手間が大事なんでい 大事なんで欠かせないんじゃい ワシのフルコース、 おいしかろ うまいじゃろ (なんだトゥ!) 満足いかねえおめえさんには こいつでどうだ! 最終奥義、お子さまプレート! オレンジジュースも付けちゃろまい うまかろ おいしいじゃろ どうでい どうだい そうかい こんなもんで満たされるのかい こんな、笑顔になっちまうのかい

    • 「 こころ、ね 」

      深呼吸をする理由は、 私という肉体の鼓動に 鈍感であるためだ 呼吸を学べば、 お前の話も聴けるのに 深く息を吸うことが、 正常とされている 私は! お前の生きていること、 その脈ドウさえ 深く沈めることで 忘れ去っていたのだ! ああ、今日も お前の ドウ哭が聴こえてくる 正常を取り払って 私は…

      • 「 散歩 ③ 」

        木に生えるくものいと それはまるで むしくわれた、 木の生長を支えるようで なにげない利己が 善行と解釈される、 自然さを目の当たりにした

        • 「 アシトマラズ 」

          ちょうちょもとりもはしやすめ ぽつぽつぽつとまえのめり きづかずかれらのテリトリー いまさらくつをぬいだって かれらはもう、つぎのたびゆき

        「 子ども舌 」

          「 隣人 」

          おらのむねはね、 あったけえんだ おらのめにはね なんもかんも こびとさんが いっしょけんめいに まわしてみえんだ だもんで きみのむねもね、 あったけえんだ

          「 隣人 」

          「 はやるき 」

          そらをとぶ たおるひとつ へやかくれる くつしたひとつ したたるひかりをおうたのに なにわすれたかも さだかでない

          「 はやるき 」

          「 芯は冷ややかで 」

          身体のひとりが 限界だと寒さを訴える 途端、いちばん奥 芯のアルデンテまで 寒さは伝わり ガクガクブルブル 孤独に震えだす 走馬灯に似た、 通りあらしのなか 身体は 次第に丸みを取り戻して 自分を自分で抱いてやる ポーズを取る これを 愛と呼ぶことにしよう 寒さと孤独の子ども 愛は咲いたのだ

          「 芯は冷ややかで 」

          「 最も身近な死 」

          K、君は夜の眠りを 小さな死だと言っていたね。 その死骸の積み重ねで 私たちは構成されているのだと。 ならば、私が眠れないのは、 今日に!この世に! まだ未練があるから、だろうか。 そんな不安も 掻き消すように、 暗闇の足あとは 無遠慮に広がってゆく。 また、明日の私も 小さな死に悩むことになるだろう。 なにも置いてはゆけない 心残りも、そっと抱かれて…

          「 最も身近な死 」

          「 我が霊峰にて 」

          ああ、やはり ここはよい 忙しない人の流れ 風とともに感じることは 心地がよい 自分だけ置いていかれたような 仲間はずれも忙しなさが連れてゆく 待つ、君も 同じ気持ちを味わったろうか 働きびとの帰路に交じりながら

          「 我が霊峰にて 」

          「 散歩 ② 」

          雑草のチカラづよさみるやいなや 僕はこう呟いた、 「 弟子にしてください 」 咄嗟に見倣わねばならぬ、と 思ったのだろう いのちのかがやきに 恋していたのかも知れない 一生のおわり、 今日からのリザルト画面 屈んでいる時間は自然と多かった

          「 散歩 ② 」

          「 からっぽや 」

          いつだろう、昨日だろうか 置いていかれることに孤独を感じた頃は いつだろう、昨日だろうか 置いていかれることに平気になった頃は 待つ。楽しみがなくなった たった、それだけのこと それだけで 心のなかに空洞ができたよう 必死に蒔いた灰だって 雪と散りゆく 待つ、に倚りかかりたくはなかった 空しさだけ何も訊かずに寄り添った

          「 からっぽや 」

          「 散歩 ① 」

          用水路に流れる 水は 水のりみたく、 何層もの膜で ひかりを遮っていて 不純物まんてんだ だのに どこか 何カラットの輝きを 映していた

          「 散歩 ① 」

          「 次の季節でも 」

          桜、お前は春になると 一所懸命に命を咲かせる 私は一瞬のお前だけを捉えて 持て囃すけれど 過ぎ去った春のなごりにだって お前は次の季節の準備に大忙しだ 一所懸命に命を実らせる 私と同じ 四季を生きる木々よ花々よ いっしょの季節に 喜怒哀楽で応えてくれて 生きて、いてくれて ありがとう

          「 次の季節でも 」

          「 日常とさけび 」

          今朝も聴こえた お風呂から、洗濯機から 生活にまぎれた 助けて、とふり絞るような 不気味な音 夜が明けると、 昨日の私たちは用済みで 日常のなか 違う何かが 成り変わっているのではないか そんな予感 今日の私が 私らしく寝坊して 私だけはもとのまま、という わけでもないのに 他人がいっそう怖くなる いつか、いつかの好奇心で 手を伸ばしてしまったとしたら 今日の私もいなくなるのだろうか ああ それはとても さびしいような、気がする

          「 日常とさけび 」

          「 静寂 」

          目を、耳を澄ましてみる 色とりどりの小人の演奏会 時計が針を刻むように 気付いて、と 音を立て始めるのがわかった いままで気にも留めなかった 彼らの息づかい それはまるで 彼らには彼らの 定めた、 六十秒があるようにも思えて 時計を失ったら 僕らも その日暮らしのばか騒ぎ、に きっと 夢中で取り掛かれる 仲間はずれなんて、いない 一生を

          「 静寂 」

          「 日々 」

          鏡にうつる お髭ひとつ 生長する命を踏みつぶして 今日も、生活がはじまる 誕生を祝福できないこと、 死は事実になりさがったこと 洗面台に振り返るだけで 当たり前じゃないか、と囁かれる 今日の僕は誰の何を奪ったのか それすら定かではないけれど 人の迷惑、なんて言葉 生きるためには言えなくなった いただきますと、ごちそうさま おはようと、おやすみ なくしてしまった 生活のおと

          「 日々 」