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【お仕事図鑑 vol.2】 食品業界の商品企画職〜大人気のマーケティング関連職〜

食の流行と顧客のニーズを捉え、自分のアイデアを活かす仕事。
自分の考えた商品が店頭に並び、美味しそうに食べる人たちの顔が浮かぶ・・・。

そんな、業界の中でもトップクラスの人気を誇る商品企画。
最近は健康を意識した商品も多く、マーケティング志望の方だけでなく、管理栄養士の方からも注目が集まっています!

でも、実は「商品企画」といっても、その業務内容は企業・商材によって全く異なります。

元転職エージェントがお伝えするお仕事図鑑シリーズ第2回目。
今回は、食品業界の商品企画職について、解説します。


商品作りに関わる人たち

はじめに

食品業界の「商品」は、原料から添加剤、中間加工品、最終品まで幅広く、どの商品を扱うかにより、求められる知識も業務内容も異なります。
そこで今回は、「最終品」に絞って、商品企画職の解説をしたいと思います。

※ここでの最終品は、「消費者が直接口にする加工食品」を想定しています。
 具体例としては、カップ麺やペットボトル飲料、ケーキなどの”お店”で売っているものや、飲食店で提供されるメニューがあります。

商品企画の業務範囲は曖昧

商品を作るときは、決めることが沢山あります。
・誰に売るか
・何を売るか
・いくらで売るか
・どうやって作るか
・どうやって売るか
は、最低限決めないといけません。

この内、「誰に・何を・いくらで売るか」を決めるのが、商品企画職の仕事です。
ちなみに、「どうやって売るか」を考える人は、販促企画・プロモーション企画職、「どうやって作るか」を考える人は商品開発職などと言われます。

※なお、商品作りに関しては、企業や商材により業務の境目が異なります。
そのため、本記事でご紹介する内容は中核業務をメインとし、実際は会社ごとに業務の幅も各業務の比重もばらつきます。予めご了承ください。

商品企画はどんな仕事?

一言で言えば、マーケティング職の1つで、商品の方向性を決めていく人です。
マーケティング、販促・プロモーション部門や商品開発、製造部門と連携しながら、ターゲットや商品コンセプト、パッケージデザインなどを決めていきます。

以下では、具体例として、業界と商品のライフステージの観点から、業務の内容や違いを解説していきます。

業界から見る商品企画の違い

最終品を扱う企業には、大きくメーカー、商社、小売、飲食店があり、商品の作り方がそれぞれ異なります。

1)メーカー
メーカーで作る商品には、自社商品(NB品)と、OEM(PB商品など)があります。 
NB品は、いわゆる全国展開されている自社ブランドで、どこのお店でも販売されています。
自社商品なので、過去のナレッジや経緯も社内に資料があり、関係部署との連携も含め、自社内で完結しやすいのが特徴です。
※パッケージデザインや一部原料を外注することはあります。

一方、PB商品はプライベートブランドの略で、「セブンプレミアム」のように、小売店などが独自に持つブランドの商品を指します。
この場合は、顧客である小売店などから、ブランドの方向性やコンセプトの概要を伝えられ、それに沿って企画を考えます。
そのため、消費者に加え、顧客のニーズも踏まえた商品作りが必要になります。

2)商社・小売業
商社はあらゆるメーカーの商品を仕入れて小売店等に販売しているため、マーケット情報が入手しやすい立ち位置です。
また、小売店も実際に来店する生活者の購買データを持っており、生活者のニーズを把握しやすい立ち位置です。

こうした背景から、既存のメーカー商品で物足りなさを感じた商社や、自社のブランディングを強化したい小売店は、自分達のオリジナル商品を作ります。
商社・小売は共に自社工場を持たないため、商品企画担当者は、コンセプト作りから、製造を委託する工場の選定・管理も担う場合が多いです。

3)飲食店
飲食店の商品企画は、上の2つとは毛色が少し異なります。
なぜなら、上2つは商品棚に並べて売る商品ですが、飲食店で扱う商品は、注文を受けてから店舗で調理し、購入者が食べるものだからです。

そのため、商品を企画する際は、提供する店舗の設備や調理者の動き、他商品とのバランスなどを考慮する必要があります。
特にチェーン店の場合は、商品コンセプトだけでなく、実際に調理する店舗スタッフとの調整や商品導入時の指導などが含まれることもあります。

商品のライフステージによる違い

一般に商品を企画する際は、商品のライフステージごとに3つに分けられ、下に行くほど工数が増え、難易度が上がります。
・既存商品のリニューアル
・期間限定品・ラインナップの増加
・完全な新商品

既存商品のリニューアルは、既にある商品の改良がメインです。
お弁当のおかずの差し替えや、容量変更、原材料の変更など、一部を変える方法です。
比較的業務負荷が低く、新人が最初に経験することも多いです。

2番目の期間限定品やラインナップ増加は、既存のブランドにおいて、フレーバーや形態を変える方法です。
季節限定の味や、ポッキーの「極細」などが当てはまります。
ベースのブランドや製造方法が決まっているため、それらを踏襲しつつ、実験的に新しいことができ、最も多いタイプの商品企画です。

最後の”完全な新商品の企画”は、全て0ベースで作り上げます。
ブランドコンセプトやターゲット選定、ニーズの探索に始まり、必要な材料が仕入れられるのか、技術的・キャパシティ的に自社工場で対応できるのか、など様々な吟味が必要になります。
業務負荷が高いため、一定の経験値が必要となります。

商品企画職のやりがいと大変さ

商品企画は自分の仕事の成果が日常生活の中で見えやすく、やりがいを感じやすい仕事です。
一方で、産みの苦しみや、締切(決められた発売日)との戦いもあります。これらをまとめると、商品企画のやりがいと大変さは以下の通りです。

<やりがい>
・常に新しいものに触れることができる
・自分が考えた商品が形になり、消費者に届く場面を見られる
・家族や友人に、自分の仕事を見せられる

<大変さ>
・利害関係が異なる多くの部署と連携があり、調整が大変
 (製造部門、マーケティング部門、店舗、販促、取引先など)
・企画においては、材料の調達のしやすさ、原価、工場設備など様々な制約がある
・商品サイクルが短い商品を担当していると、過重労働になりやすい
 →半年に1回、複数商品をリリースする企業もあれば、毎週新商品案を
  出さないといけない企業まで様々。
・企業により、量産化に向けて工場への出張が発生することがある

商品企画職で必要なスキル・キャリアパス

商品企画職で必要とされる(身につけられる)スキル

商品企画職では、一般に以下の知識が身につきやすいです。
未経験から挑戦する場合は、これらの素養アピールすると良いでしょう。

・toCマーケティングのスキル(各種調査に基づいたコンセプト立案など)
・社内外との調整、ディレクションスキル
・納期までに商品を作るプロジェクトマネジメント力
・食品表示、広告表示の知識
 ※食品は明記すべき内容(原料、アレルギーなど)や、過度な煽り広告の禁止などがあり、パッケージやメニューの表記・デザインを考える際に一定の法律知識が必要になります。
・その他、原料や食品の製造工程等に関する知識(職務範囲による)

商品企画職のキャリアパス

商品企画職は新卒から配属されることは珍しいです。
勝手なイメージですが、顧客や商品作りを知っている、営業・営業企画職や、商品開発職から異動する方が多いように思います。

転職の場合は、食品業界経験者の他、化粧品や日用品などの生活者向けのマーケティング・商品企画経験があると、チャレンジしやすいです。

商品企画職のその後のキャリアとしては、商品企画のスペシャリストか、販促業務も経験しながら、プロダクトマネージャーやブランドマネージャーへとキャリアアップして行くことが多いです。

まとめ

以上、食品の商品企画職の概要を解説しました。
一言で「食品」といっても、生み出し方は様々です。

商品企画を目指す方は、どんな商品が作りたいか商品作りのどの部分に関わりたいか、を自分に問いかけておくことをお勧めします。

次回は、商品企画との連携が多い「商品開発職」を解説予定です。
更新は7月11日予定です。お楽しみに!

お仕事図鑑シリーズでは、マーケティングや品質保証などの技術職も含め紹介していきたいと思います。
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