SBMを勉強してみた Part 10 メディアと政治とSBM

SBMについてのレクチャーは今回の10回目で最後になります。今回はメディアと政治とインチキ医学(科学)の関わりについてです。科学と医学とは何か?というのは今までのレクチャーでわかったような気になりましたが、今回挙げられた具体例なんかを改めて聞くと(知ると)、いかに我々は普段からメディアや政治家にインチキ医学を刷り込まれてきたかがわかると思います。そしてメディア(の記者達)や政治家達が、いかに科学を知らないかもわかると思います。

内容自体はアメリカでの代替療法への規制強化を訴えているのが中心ですが、日本でも私は必要なのかな、と思った次第です。なぜあいも変わらずエビデンスゼロのサプリ、健康食品が◯◯に効く!と謳って売られているのか?なぜあいも変わらず怪しいバカ高い健康器具が売られているのか?もっというと、整体師、怪しい気功師、鍼灸師などが「俺は◯◯(たいてい難病)を治す!」と謳っているのは許されていいのでしょうか?私の患者さんの友人の方もそういう怪しい気功師を信じてしまい、初期のガンだったのに、末期ガンまで医療を受けずに亡くなってしまいました・・・。


科学に基づく医学(Science-based medicine、SBM)とは何も難しく考えることはないが、その反抗勢力(科学を否定するかのような人達)はある。それはメディアであったり、政治家であったり、SBMを理解していない医師達であったりする。今回のレクチャーでは、私達の健康に危害をもたらす社会でのトレンドについて話す。

統計によると、一般の人達は明らかに科学について無知だとわかる。アメリカ人の40%しか、進化論を受け入れていないし、大人の50%しか、地球から太陽まで行くのにかかる時間をしらない。53%のアメリカ人は電子が原子よりも小さいと知らない。(ここでDavid Colquhounの記事を引用し、Dr Hallがコメント。簡単に纏めると)大昔、迷信を信じていたり、教祖や権威のある人の言ったことを盲目的に信じていた人間の思考が、科学のおかげで「進化」し、そういうことを信じなくなった。しかしここ30年、人々はインチキ医学、インチキ科学を信じてしまう傾向にあり、思考が「劣化」してしまったのではないか、と嘆き悲しんでいる、ということ。(注:リンクをDeeple等で訳して読んでみてください。)

このレクチャーではメディア、政治、代替療法の免許制度、そしてQuackademia(インチキ科学を取り入れた学問・学校)の4つについて話していく。

以前、Mark Twainはこう言った
「もしあなたが新聞を読まないのなら、あなたは何も知らないことになる。もしあなたが新聞を読んでいるのなら、あなたは間違った情報しか知らないことになる。」

Dr Hallは「それは1世紀以上前に言われたことだが、今でも同じだ!」と嘆いている。特にメディアで報道されている科学については信頼できない。記者は科学についてよく知らない。例えばこういう報道はよくある。「研究室での実験で、癌細胞が◯◯を使って10%消えた!」が、記事のヘッドラインでは「癌が消えた!」となるなど。これは明らかにミスリード以上の誤報。科学を知らない記者達はプレスリリースを読んで、あまり理解しないまま記事にしてしまうことがよくある。新聞の目的は読者に情報を与えるのではなく、新聞を売るため。だからセンセーショナルに書いたり、論争を呼ぶような書き方をする。また記者は自分の信念にあうような記事を書いてしまう。
その一例:

・新しい研究でグルコサミンとコンドロイチンが関節炎の治療に効果が
 あると示された

・新しい研究でグルコサミンとコンドロイチンが関節炎の治療に効果が
 ないと示された

その2つは全く逆のことを言っている。しかしその記事のソースは全く同じ。ではどうやってその結論が導かれたか?

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