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NOと言うことは、責任。


FARMYの日吉です。
今日はいつもとは、ちょっと角度を変えた視点から、書いてみたいと思います。

「不正にNOという責任」

一昨年、私は自然農において、とても重要な要素を3つ教わりました。

① 土
② 種
③ 人の意識

土と同様に、種はとても大切なわけですが、
そのときに紹介されたのがヴァンダナ・シヴァさんでした。
世界的に著名な環境活動家です。

そのときに、シヴァさんのDVD「ヴァンダナ・シヴァの いのちの種を抱きしめて」を見て、とても感銘を受けました。

そしてつい先日、あらためてその映像を見返す機会があったんですが、前回とは全く違った印象と気付きがありました。

この1年半、実際に自分たちで農業をやって、自然と毎日触れ合い、向き合い、たくさんの方々から知恵を授かり、成長して同じメッセージに触れると、こんなにも違って見えるんだな・・、と驚きました。

インド人である彼女の哲学の土台になっているのは、建国の父ガンジーの思想です。
その原理は大きく以下の3つです。

①スワラージ:自由と自治 種、食、大地、水の自由。
②スワデシ:自給と地産地消 自家採種し作物を育てること。産業に依存せず地元の市場を核とする経済。
③サティヤグラハ:不正にNOという責任。権力の脅しや暴力に屈せず「私は従わない」と言うこと。

その中でも今回私は、「不正にNOという責任」という言葉がとても心に残りました。

「反抗は社会資源である」

独立思想家の山口周さんが、Voicyで「反抗は社会資源である」という面白い話をされてました。

「世界競争力ランキング2022」と、「イノベーションランキング2021」の上位国の大多数が、プロテスタント国だということです。
プロテスタントというのは、キリスト教でカトリックという伝統・権威に対してできた宗派で、いわば反抗というイデオロギーが根底にあります。

この「権力との向き合い方」は映画や音楽といったコンテンツ産業にも大きく影響があって、例えば、ロックの名盤のほとんどはプロテスタント国で生み出されていて、イタリアやフランスからは出てこない。

イノベーションもロックも権力や権威(主流派)に対する反抗ですよね。
つまり、反抗を失った社会は弱くなるんじゃないか?というのが、氏の考え。

片や日本は、非常に権威に人がおもねてしまう。
つまり、お上が言っている事は常に正しいという傾向が強い。

これがドラマや映画にも妙実に現れていて、困ったことが起きるとそれを解決して弱きを助けてくれるのは、日本の場合、だいたいいつも政府。

50年以上支持され続けた長寿番組の水戸黄門、暴れん坊将軍、ウルトラマンの科学特捜隊、シン・ゴジラ、ピンチを解決するのはだいたい政府(お上)なんですね。

アメリカ映画では、政府は能無しで、頼りになる解決するのは無名の民間人。(ジョーズやダイハードなど。警官ではあるけど)
日本人がもともと権威主義的だからこういうコンテンツがウケるのか、それとも、こういうコンテンツを見せ続けられるから助長されているのか、ということをお話されていました。

さらに、最後はけっこう衝撃です。

福島の原発事故調査委員会の海外向け英語版レポート。
日本語版とは中身がずいぶん違うという、その冒頭からの引用。

『この大惨事の背後にある、過失を促したマインドセット。これが日本であったからこそ起きた大惨事であることをわれわれは重く受け止め、認めなければならない。
その根本原因とは、日本文化に深く染み付いた慣習、すなわち、権力への盲目的服従、権力に異を唱えたがらないこと、権力が定めた計画を何が何でも実行しようとする姿勢、集団主義、閉鎖性、これらの中にある。』

権威を盲信してしまう日本人のDNAとは?

山口周さんの話を聞いて僕が思ったのは、
これは『民衆こそが国の宝』という、日本の国の成り立ちに起因する側面もあるんじゃないかということです。

世界の常識と違って日本は、天皇(王様)と国民は歴史上、対立関係にありませんでした。王が力で支配して国を統治するのではなく、日本は国民同士が相互扶助しながら生きていこう、というのが建国の理念です。

神武天皇が国をひとつにしたときに争った形跡がなく、全て話し合いでまとめたそうです。

各地域が米を備蓄し、災害や飢饉の時にそれを公平に分配するための中央機関をつくり、宝である民衆を守るのが国の務めだとしました。

「日本全国がひとつ屋根の下で暮らす家族のように、お互い助け合って生きていこう」。
「八紘一宇」です。

そのため、天皇を倒そう、引きずり下ろそうと考える国民はおらず、平城京や藤原京、平安時代から明治初期までの1000年以上機能してきた京都御所には城壁もお堀はない。(いまの皇居は江戸城の跡地なので、たまたまあるだけ)
だからこそ、2000年以上も皇室は続いてきたのですね。

この思想が脈々と受け継がれているので、「お上はいつも正しい」は、日本人には本能的にとてもしっくりきます。

ですが、いまの時代、実務的には天皇中心の社会ではありませんし、だんだん平時から有事へと、なんだか空気感が変わりつつもあります。
日本人の本能のままにするのではなく、「お上」の言うことには少し注意をして、盲目的に服従せず、ときには異を唱えていくことが大切なのではないでしょうか。

例えば過去には、こんな過ちを「お上」はしてきていますよね。。
水俣病、サリドマイド、スモン、アスベスト、薬害エイズ、、。
数え上げれば実は、キリがありません。

畑あそぼ村FARMYは、いざというときのディフェンス的な意味合いも持っています。

ヴァンダナ・シヴァさんの言う「不正にNOという責任」「権力の脅しや暴力に屈せず「私は従わない」と言うこと」。
NOと言うことは、責任なんですね。

能動的に情報を取り、しっかりと考えて、積極的に声をあげ、行動していく姿勢。
今こそ、それが大切な時なのではないでしょうか。

【予告篇】ヴァンダナ・シヴァの いのちの種を抱きしめて
https://youtu.be/NjO9if9kF6Q

【DVD】ヴァンダナ・シヴァの いのちの種を抱きしめて
https://amzn.to/3Ma7ZHs

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