ファームエイジ 小谷栄二

「放牧の専門家集団」ファームエイジ株式会社代表。持続可能な農業「放牧」を普及するため、…

ファームエイジ 小谷栄二

「放牧の専門家集団」ファームエイジ株式会社代表。持続可能な農業「放牧」を普及するため、35年以上にわたって活動中。創地農業21代表。一般社団法人エゾシカ協会理事。当別町農村都市交流研究会代表。

マガジン

  • ファームエイジ これまでの実績

    【放牧の専門家集団】ファームエイジ㈱が過去に取り組んだ事業などをまとめています。

  • ファームエイジ 5つの夢

    ファームエイジが掲げる理念をご説明しています。

最近の記事

当別町の新牧場「ジャージーの箱庭」 小規模酪農が拓く未来

大変長らくご無沙汰しておりました。ファームエイジ㈱小谷です。 この1年間は、お客様のところへ足を運びながら、新たな種をまいて回る期間として、忙しいながらも大切に過ごしていました。 この4月から再び、noteの更新を少しずつ進めていこうと思います。よろしくお願いいたします。 今回お話しさせていただくのは、とある牧場の誕生についてです。 その名も、ジャージーの箱庭。2023年から設営が始まり、ついこの間にWebサイトもオープンした、まさしく出来たてほやほやの牧場です。 ファー

    • 【NZ北海道羊協力プロジェクト】日本の羊文化を守っていくために

      以前、「ニュージーランド(以下、NZ)北海道酪農協力プロジェクト」について、少しお話ししたかと思います。 https://note.com/farmage/n/n7e9db95a76cd 北海道の酪農家に先進的な放牧ノウハウを取り入れてもらうことを目的とし、2年間の徹底的な調査と2年間のコンサルを行った結果、農業所得が3倍、労働時間が3分の2になったという内容です。 今回は、その羊バージョンとして現在も進めている「NZ北海道羊協力プロジェクト」について、簡単にご紹介させ

      • 2023年朝礼 ファームエイジという船に乗って

        遅ればせながら、新年のご挨拶を申し上げます。 2023年、早々からいろいろなことが新しく動き出し、また私自身は少し体調を崩すなどして慌ただしいスタートを迎えました。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 昨年も仕事始めの社内朝礼の内容を掲載していましたので、今年の分も載せてみようかなと思います。短めですが、よろしければお付き合いください。 新年、あけましておめでとうございます。 さてお正月、私が何をして過ごしたかというと、あの有名な「ONE PIECE」のアニメを見

        • 日本で初めてNZ放牧牛の凍結精液を輸入

          私の背中を大きく押してくれたのは、別海町の今井さん(酪農家)でした。 今井さんとは創業前からの付き合いで、私がニュージーランド(以下、NZ)に放牧を学びに行く際も、何度かご同行いただきました。日本の放牧普及を共に推し進める同志です。 そんな彼に言われました。「NZのような牛を日本でも飼えるようにしてほしい。お前が入れないで誰が入れるんだ」 そこから、放牧型の牛づくりへの長い戦いが始まります。 NZは酪農が盛んで、乳製品は国の主要な輸出品目の一つとなっています。 そんなN

        当別町の新牧場「ジャージーの箱庭」 小規模酪農が拓く未来

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        • ファームエイジ これまでの実績
          12本
        • ファームエイジ 5つの夢
          5本

        記事

          放牧を世界へ。希望のモンゴル渡航

          今年の9月に、牧場事業への協力のためにモンゴルへ行ってきました。 その所感と今後の展望について、記憶の新鮮なうちにここへ書いておきたいと思います。 今回の渡航の目的このモンゴル渡航のきっかけとなったのは、皆さんもよくご存じの日馬富士(元横綱、現地での周囲の呼び名に合わせて以下「横綱」と表記)です。 順を追って説明しますと、 ① 横綱が生まれ故郷のモンゴルで牧場事業を始めようと考える ② そこで日本各地の牧場を視察して回った結果、十勝しんむら牧場のファンになる ③

          放牧を世界へ。希望のモンゴル渡航

          小笠原諸島(父島)で世界初のプラナリア用電気柵を開発したときのこと

          小笠原諸島が世界自然遺産に登録されたのは、2011年(平成23年)6月。 今回お話しするのは、そのさらに3年前、2008年の出来事です。 ミッション:プラナリアから島を守れある日、会社に一本の電話がかかってきました。 「プラナリアをなんらかの手段でコントロールしたいのですが、できますか?」と。 これだけでは何のことかさっぱりわからないと思いますので、順を追ってご説明しましょう。 まず、小笠原諸島には100種以上のカタツムリ(陸産貝類)の仲間が生息しており、そのうち9割以

          小笠原諸島(父島)で世界初のプラナリア用電気柵を開発したときのこと

          知床五湖の電気柵がつなぐ、ヒグマと人の共生関係

          クマ用電気柵への挑戦「ヒグマの生息する知床五湖に電気柵を」という話が立ち上がったのは、確か2004年(平成16年)のことだったと記憶しています。環境省からの依頼でした。 人間が知床の自然の中に入っていけるような遊歩道をこれからつくりたい。そのためには、ヒグマが登ってこられないような仕組みが必要である、というわけです。 ここでのテーマはあくまで、「観光客の安全」と「ヒグマとの共生」。 排除のためではなく、なるべくヒグマのあるがままの姿を守りながら、それを安心して観察できるだけ

          知床五湖の電気柵がつなぐ、ヒグマと人の共生関係

          【持続可能な農を考える】フィールデイズ・イン・ジャパンが再開します

          お知らせ 2022年9月17日(土)に、農業と食とエコロジーのイベント、第17回フィールデイズ・イン・ジャパンが開催されます。 詳しくは創地農業21のこちらの投稿をご覧ください↓ 感染症の影響から、実に3年ぶりの開催となります。 これまでは当別町のファームエイジ本社と恵庭市のえこりん村を隔年で会場にしていたのですが、今年は心機一転、道の駅とうべつの外の広場をお借りして行うことになりました。 今年は「グラスフェッドを食べる」ことをテーマとし、グラスフェッド食材を用いたチ

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          【パワーフェンシングワールドチャンピオンシップ】日本で唯一の出場レポート

          表題の大会を、みなさんはご存じでしょうか。 おそらく答えは「いいえ」でしょう。ここはひとつ、小話としてご紹介させてください。 Power Fencing World Championshipsとは日本語で言うなら、柵張り世界選手権といった具合でしょうか。 放牧地に設置されるような頑丈なフェンスを、いかに早く、正確に、美しく張ることができるかを競う大会です。 ドイツの会場にて行われ、毎年、世界10カ国ほどの代表者が集まります(ここ数年は自粛)。 この大会に、私は一度だけ出場

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          ヒグマがとうとう会社の近くに現れた

          相次ぐ市街地でのヒグマの出没を受け、2022年4月、北海道に「ヒグマ対策室」が設置されました。 周囲からの期待はとても大きいようです。 その期待に応えるべく、北海道は関係各所に協力を仰ぎ、捕獲の専門家・生態学の専門家・電気柵の専門家などの意見を集めて、総合的なヒグマの生態マネジメントに着手しようとしています。 ファームエイジも、野生動物コントロールに長年取り組んできた身として、このヒグマ管理に積極的に参画させていただくつもりです。 さて、本題はここからです。 先月、20

          ヒグマがとうとう会社の近くに現れた

          放牧を推進する会社が、あの「びっくりドンキー」を経営するようになるまで

          前身は岩手県から始まり、北海道で人気に火が付き、今や全国で愛されるハンバーグレストラン「びっくりドンキー」。 40年以上にわたって親しまれているファミリーブランドで、総店舗数は300店を超えています。 しかしそれほど有名なブランドでも、普段訪れる店舗がどのように経営されているのか、意識しながら利用している方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。 なぜ私がこんな話をしているのか。 それは、私が代表を務めるファームエイジ株式会社が、ハンバーグレストラン「びっくりドンキ

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          旭山動物園に電気柵を 動物を見つめる者同士の結びつき

          はじめに 私が訪れた頃、1994年(平成6年)の旭山動物園は、こう言ってしまってはなんですが、ほぼ壊滅状態でした。 その最も大きな原因は、エキノコックス症です。 経営難に加えて人気動物の病死、風評被害と悪い事態が続くわけですから、園にとって一番のピンチだったのではないかと思います。すべてを払拭して立て直すには、園の動物たちを野生のキタキツネから守る必要がありました。 この「キツネを園内に入れない」対策の一つとして、電気柵の設置をご提案させていただいたところから、ファー

          旭山動物園に電気柵を 動物を見つめる者同士の結びつき

          「NZスタディツアー」の目的 やってみること、継続すること

          ニュージーランド(以下、NZ)は言わずと知れた放牧酪農の先進国です。 一年中温暖な気候を生かして栄養豊富な牧草を育て、牛や羊などの動物を集約的に、効率よく飼育しています。 輸出品のうち約6割は農林水産品が占めており、特に乳製品の輸出量は、世界でもトップクラスのシェアを誇っています。 そんなNZの放牧を生で見て、触れて、体験型で学んでいただこうという取り組みが「NZスタディツアー」です。 期間は基本的に6泊7日(うち1泊は機内)。本場の土づくり、草づくりや搾乳技術など、多

          「NZスタディツアー」の目的 やってみること、継続すること

          ニュージーランドと日本&北海道の調印に、実は少し関わっていた話

          ニュージーランドと日本が調印を結ぶまで あれは8、9年前のことだったでしょうか。TPP関連の騒ぎが非常に大きかったときに、ニュージーランド(以下、NZ)の新しい駐日大使が北海道にいらっしゃいました。 こういうとき、通常は道知事が対応するのですが、なにせTPPの真っ只中。公の方々はみな記者対策で慎重になっており、ならば民間でなんとかせねばということで、NZと関わりの深い私に声がかかりました。 大使は普通では考えられないほどフランクな方で、「北海道の農業などの実態が知りたい。

          ニュージーランドと日本&北海道の調印に、実は少し関わっていた話

          「FAR夢ビレッジ」とは

          私は、当別町農村都市交流研究会という団体の代表を務めています。 これは、環境に配慮した農的な暮らしがしたい人を全国から募集し、多様性のある新しい農村モデルをつくるための研究会です。 ファームエイジが本社を置いている当別町金沢地区は、平坦な農地となだらかな里山に挟まれた、ひだの多い山すそ部分に位置しています。 里山に季節風が遮られるほか、夏も林の効果で比較的涼しいという特長があり、居住に適している土地であると言えます。 事実、ニュージーランド(以下、NZ)のメーカーの社

          「FAR夢ビレッジ」とは

          「グラスファーミングスクール」の使命

          創地農業21が主催する、グラスファーミングスクール。 日本にいながらニュージーランド(以下、NZ)の集約型管理放牧を本格的に学べる唯一の機会として始まったものです。 ここで第一に目指すのは、放牧の知識・技術に加え、商品化、さらには経営全般に精通する、全方位型の“強い”酪農・畜産生産者の育成です。 早いもので、2022年春現在で42回を迎えているスクールですが、参加者の方々の農業に対する想いはいつの年も熱く、主催側も背筋の伸びる思いです。 私たちがスクールを開校するにあた

          「グラスファーミングスクール」の使命