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当別町の新牧場「ジャージーの箱庭」 小規模酪農が拓く未来

大変長らくご無沙汰しておりました。ファームエイジ㈱小谷です。
この1年間は、お客様のところへ足を運びながら、新たな種をまいて回る期間として、忙しいながらも大切に過ごしていました。
この4月から再び、noteの更新を少しずつ進めていこうと思います。よろしくお願いいたします。


今回お話しさせていただくのは、とある牧場の誕生についてです。
その名も、ジャージーの箱庭。2023年から設営が始まり、ついこの間にWebサイトもオープンした、まさしく出来たてほやほやの牧場です。

ファームエイジが本社を構える地元・当別町に生まれた新事業ということで、私たちも非常にワクワクしています。
こちらの立ち上げに際してはいくつか協力をさせていただきましたので、牧場のここまでの道のりについて、少しご紹介できればと思います。


ジャージーの箱庭の代表である藤田さんからは、はじめ、電話かなにかで相談を受けたのだったと思います。
当別で新規就農を考えているのですが、というお話だったので、一度うちの会社へ来てもらって、グラスフェッドミルクへの価値の付け方や放牧の環境貢献についてなど、ぜひ心に留めておいてほしいことを数点、セミナー形式で簡単にご説明しました。

その後、一緒に就農予定地を見に行くことに。
経験上、新規就農に向いている土地のポイントというのがいくつかあるのですが、その予定地はどれもきちんとクリアしているように思えたので、よし、ここなら良いでしょうと太鼓判を押す形となりました。

箱庭の牛たちには1頭1頭名前がついています

それからも、土壌分析の専門家を紹介したり、役場へ話を通しに行ったりと、開業に向けての様々な段階をお手伝いさせていただきました。
その中で感じたのは、藤田さんは経営者として恵まれた才能をお持ちだということです。とても決断が早く、また人を頼るのがうまい。

他にも候補地はいくつかあったような話だったので、「なぜ当別を選んだのか」と聞いてみたところ、「ファームエイジが当別にあるからです」と答えられまして。
これは上手くやられたなと思うのですが、まあ、悪い気はしないですよね。


役場へ一緒に行ったときも、藤田さんの人柄もあってか、「町は全面的に協力します」とか「道の駅で牛乳を売るのはどうだ」とか、まあ話が進む進む。まだ牛もいないのに、です。

私も過去に社屋の隣の敷地で牛を飼い、牛乳(グラスミルク)を配達販売していたことがあります。卸を通さずにやっていく場合、衛生検査をどうするとか、過在庫をどう売り切るとか、常に課題は山積みでした。
その頃の苦労を思うと、彼のスピード感は少し危なっかしいというか、怖いくらいでしたが、同時に若さの特権を十分に生かしているともいえます。

そういえば私が会社を立ち上げたのも、1985年(昭和60年)ですから、25歳のときです。当時の自分も、リスクは承知の上で、勢いに任せて行動することがありました。彼のチャレンジ精神は私の初心でもあるわけで、その姿に少し眩しさを感じています。


ジャージーの箱庭の牛は現在9頭、面積8ha。
これから藤田さんの経営がうまく軌道に乗れば、小規模でも酪農業は成り立つということの証明になっていくのではと思います。
8haくらいなら耕作放棄地を組み合わせれば確保できる程度の面積ですから、本州にも適用できるモデルになるかもしれません。

立派な牛舎と大型機械と、という従来の設備投資モデルだと、億単位の初期費用が必要になります。これが新規の参入ハードルを大きく上げている要因です。
これが3,4千万の投資で比較的小さく始められるとなれば、酪農のスキマ産業としての需要は高まっていくでしょう。

ただ、新規就農者というのはどうしても足元を見られやすいというか、土地や設備の適正価格に詳しくないことも多いので……。

一番間違いないのは、前経営者のもとで仕事を学び、そのまま引き継ぐという居抜き方式です。これが最もリスクが低い。
もしそれができない場合は、小社のように農家ネットワークを持っているところへ、予算と地域などを早めの段階から相談していただければ、各所を上手くつなぎながら進めていくことが可能です。
そういった情報提供は常に惜しまずやっていくつもりですので、お気軽にお話をいただければと思います。


以前に小社の顧問をしていただいていた久保さんという酪農家の方も、牛14頭で4000万の借金を返し切ったというご経験をお持ちです。圃場面積は10haほどでした。
このエピソードは『はじめたくなる酪農の本(副題:小さな牧場の大きな夢)』という作品でも紹介させていただいています。

小さくても十分やっていける。そういう酪農経営がこれからの日本に広まっていけば、業界の未来も明るいことでしょう。

ジャージーの箱庭の成功を心から願っています。


ここからまた、志の輪は広がっていきます


余談ですが、さっそくファームエイジでも藤田さんの牛乳の定期配送を予約しました。未来への一歩を存分に味わいたいと思います。


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